Dragon Ash/横浜アリーナ

Dragon Ash/横浜アリーナ - All photo by shimboyuki、mao Yamamoto、michitogoto、TAKAHIRO TAKINAMIAll photo by shimboyuki、mao Yamamoto、michitogoto、TAKAHIRO TAKINAMI

●セットリスト
Majestic
1.Stardust
2.Mix it Up
3.Pulse
4.光りの街
5.Ode to Joy
6.Singin’ in the Rain
7.Walk with Dreams
8.TIME OF YOUR LIFE
9.Circle
10.Headbang
11.Faceless
12.The Live
13.Beside You
14.静かな日々の階段を
15.Jump
16.百合の咲く場所で
17.Fantasista
18.Lily
19.A Hundred Emotions
(アンコール)
EN1.Viva la revolution
EN2. Drugs can't kill teens
EN3.繋がりSUNSET
EN4.Curtain Call


「1999年に、ここでライブをやりました。19年前ですか? 19歳の時にやって、今38歳ですから。ダブルスコアですよ! すごくない? 19年後、38歳の時にまだこんなに愛されて、ロックバンドを続けてられるなんて思ってなかったんで……最高です!」
満場の歓喜があふれ返る横浜アリーナへ向け、万感の想いを語りかける桜井誠(Dr)の姿が、オーディエンスの情熱をよりいっそう高ぶらせていく――。
Dragon Ash/横浜アリーナ
最新アルバム『MAJESTIC』を携えて、昨年6月から開催してきた「Dragonash Live Tour 2017 MAJESTIC」のグランドフィナーレを飾る横浜アリーナワンマンライブ=「Dragonash Live Tour MAJESTIC Final」。
荒ぶる衝動が渦巻くカオティックな狂騒感と、ひたむきに理想を追い求め闘い続ける意志が生み出す神聖なまでの多幸感――それらが渾然一体となって至高の高揚空間を繰り広げていった。ロックだからこそ描き得る、ロックにしか描けないエモーショナルな極限の風景が、この会場には確かにあった。
Dragon Ash/横浜アリーナ
冒頭に記した桜井のMCの通り、1999年10月17日以来となる横浜アリーナの舞台に立ったDragon Ash
BOTS(DJ)がサンプラー越しに繰り出す“威風堂々”の旋律に続けて、アルバムのオープニングトラック“Majestic”から“Stardust”の清冽なる轟音へと流れ込んだ瞬間から、Kj(Vo・G)/桜井誠/BOTS/HIROKI(G)/ATSUSHI(Dancer)/DRI-V(Dancer)&鉄壁のサポート=KenKen(B)の7人は、スタンディングエリアも客席も一気に魂のクライマックスへと導いてみせた。
そのミクスチャーロックを構成してきた音楽的要素のひとつひとつが、格段に鍛え上がったバンドサウンドの「今」の熱量によって融解し、驚愕&感激必至の剛性と輝度を誇るDragon Ash唯一無二のロックへと結晶化された――最新作『MAJESTIC』に刻まれたそんなバンドの在り方が、雄大なスケール感とともに展開されていく図は、それ自体が感動的だった。
Dragon Ash/横浜アリーナ
“Mix it Up”、“光りの街”など『MAJESTIC』の楽曲をすべて盛り込み、トータル約2時間半のステージの強靭な軸を構築してみせた一方で、THE MAD CAPSULE MARKETS“Pulse”のカバーや、亡きIKÜZÖNEのラストレコーディングとなった“Walk with Dreams”、盟友SBKの解散に寄せたナンバー“TIME OF YOUR LIFE”など、デビュー以降20年に及ぶ闘いと連帯の歴史を物語る楽曲を披露していたのが深く印象に残った。
Dragon Ash/横浜アリーナ
言うまでもなく、Dragon Ashは一貫して「ライブハウスの自由」と「ロックの自由」を追求してきたバンドだ。
横浜アリーナに立つのは今回が2回目、日本武道館でのライブも2014年に1回のみという、バンドの規模感を考えれば明らかに少ないアリーナ会場でのワンマンライブの本数はそのまま、彼らがライブハウスという場所、ロックという音楽表現に対して抱き続けてきたロマンの切実さをリアルに伝えている。
Dragon Ash/横浜アリーナ
ステージ後方&上方に設置された巨大ビジョン、巨大な空間を飛び交うレーザー光線といった大会場ならではの舞台装置を除けば、この日のライブはあくまでロックバンド:Dragon Ashが「ライブハウス・横浜アリーナ」を可能な限り忠実に実現したものだったし、渾身の絶唱とともに終始晴れやかな笑顔でモッシュピットを見つめていたKjの姿からは、そんなひたむきなバンドのマインドが濃密に滲んでいた。
Dragon Ash/横浜アリーナ
横アリをヘッドバンギングと狂騒の坩堝へと塗り替えた“Headbang”。指先からレーザー光線を放つKenKenの「横浜、歌え!」のコールとともに一面のシンガロングが広がり、会場が大きく揺れる。
そして、会場を眩いサウンドスケープで包み込んだ“Beside You”からライブは終盤へ。ハンドマイクスタイルでKjが歌う“静かな日々の階段を”に巻き起こった大歓声を、続く“Jump”では横アリ一丸のジャンプとタオル旋回へとつなげてみせる。さらに、激しさと美しさが共存するアンセム“百合の咲く場所で”で「お前らがいればライブハウスみてえなもんだな!」と呼びかけるKjに応えて、次々にクラウドサーフが巻き起こっていく――。
「俺20年ロックバンドやってきて、今の時代が一番、ロックバンドでカッコいいやつが多いと思ってて。平日だろうが休日だろうが、ライブハウスに行けば、絶対カッコいいロックバンドがいるから」……そんなKjの言葉に拍手喝采が広がったところで、キラーナンバー“Fantasista”炸裂! 横アリ激震の狂騒感と祝祭感が、珠玉の一夜を熱く彩っていった。
Dragon Ash/横浜アリーナ
“Lily”の途中でバンドの演奏を止め、Kjのギターのみでメロディを観客の大合唱に委ねてみせた瞬間。「ありがとうございました!」のKjのシャウトに続けて、レーザー光線の輝きとともにアルバム最終曲“A Hundred Emotions”がひときわダイナミックに響いた瞬間――。それらすべてがロックの名場面として頭と心に刻まれる、そんなひとときだった。
Dragon Ash/横浜アリーナ
メンバーが舞台を去り、誰もがアンコールを待つ中に鳴り渡ったサンプリングのフレーズは“Viva la revolution”! 客電が灯され会場が真っ白に照らし出された中、世代を超えたキッズの歌声が、バンドの20年史を讃えるように広がっていく。抑え難く胸が震えた。
「『やっぱりバンドってカッコいいな』って、ツアー中ずっと思ってました。こういうラウドロックバンドで、こんだけ大きい会場でやらせてもらえるっていうのは、本当に稀有なことだと思ってるので。ありがとうございます!」と感謝の想いを伝えていた桜井の「せっかくアンコールなんで、19歳の時にやってた曲を……」という言葉に続けて『Viva La Revolution』からもう1曲披露したのは“Drugs can’t kill teens”。ソリッドな疾走感に満ちたパンクロックが、むせ返るような会場の熱気にスリリングな躍動感を与えていく。
Dragon Ash/横浜アリーナ
“繋がりSUNSET”でなおも大きなシンガロングの輪を描き出した後、正真正銘ツアーのラストを締め括った楽曲は、前作『THE FACES』の最終曲“Curtain Call”。《手を振って終わりにしよう goodbye》のフレーズに応えて、横アリ狭しとハンドウェーブが巻き起こる中、曲終わりではKjが感極まった表情で、この場所に集まったオーディエンスに激しく手を振る――。
己のロックを真摯に磨きながら、苦境も乗り越えシーン最前線をひた走り続けてきたDragon Ashと、その音楽を愛し支え続けてきたオーディエンスとの揺るぎない信頼関係が、この上なく高純度なロックの絶景を生み出した、歴史的な名演だった。(高橋智樹)

終演後ブログ
【速報】Dragon Ashツアーファイナル横浜アリーナ、荒ぶる魂の聖なる輝きを観た
獰猛なまでに轟然と渦巻くラウドの極みのミクスチャーサウンドが、どこまでも透徹した神聖なロックの風景を描き出していく――。 最新アルバム『MAJESTIC』を携えたツアーのラストを飾る横浜アリーナには、Dragon Ashが20年の闘いの中で鍛え上げ研ぎ澄ませてきたロックの核心と理想そのも…
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