●セットリスト
Majestic
1.Stardust
2.Mix it Up
3.Pulse
4.光りの街
5.Ode to Joy
6.Singin’ in the Rain
7.Walk with Dreams
8.TIME OF YOUR LIFE
9.Circle
10.Headbang
11.Faceless
12.The Live
13.Beside You
14.静かな日々の階段を
15.Jump
16.百合の咲く場所で
17.Fantasista
18.Lily
19.A Hundred Emotions
(アンコール)
EN1.Viva la revolution
EN2. Drugs can't kill teens
EN3.繋がりSUNSET
EN4.Curtain Call
「1999年に、ここでライブをやりました。19年前ですか? 19歳の時にやって、今38歳ですから。ダブルスコアですよ! すごくない? 19年後、38歳の時にまだこんなに愛されて、ロックバンドを続けてられるなんて思ってなかったんで……最高です!」
満場の歓喜があふれ返る横浜アリーナへ向け、万感の想いを語りかける桜井誠(Dr)の姿が、オーディエンスの情熱をよりいっそう高ぶらせていく――。
荒ぶる衝動が渦巻くカオティックな狂騒感と、ひたむきに理想を追い求め闘い続ける意志が生み出す神聖なまでの多幸感――それらが渾然一体となって至高の高揚空間を繰り広げていった。ロックだからこそ描き得る、ロックにしか描けないエモーショナルな極限の風景が、この会場には確かにあった。
BOTS(DJ)がサンプラー越しに繰り出す“威風堂々”の旋律に続けて、アルバムのオープニングトラック“Majestic”から“Stardust”の清冽なる轟音へと流れ込んだ瞬間から、Kj(Vo・G)/桜井誠/BOTS/HIROKI(G)/ATSUSHI(Dancer)/DRI-V(Dancer)&鉄壁のサポート=KenKen(B)の7人は、スタンディングエリアも客席も一気に魂のクライマックスへと導いてみせた。
そのミクスチャーロックを構成してきた音楽的要素のひとつひとつが、格段に鍛え上がったバンドサウンドの「今」の熱量によって融解し、驚愕&感激必至の剛性と輝度を誇るDragon Ash唯一無二のロックへと結晶化された――最新作『MAJESTIC』に刻まれたそんなバンドの在り方が、雄大なスケール感とともに展開されていく図は、それ自体が感動的だった。
横浜アリーナに立つのは今回が2回目、日本武道館でのライブも2014年に1回のみという、バンドの規模感を考えれば明らかに少ないアリーナ会場でのワンマンライブの本数はそのまま、彼らがライブハウスという場所、ロックという音楽表現に対して抱き続けてきたロマンの切実さをリアルに伝えている。
そして、会場を眩いサウンドスケープで包み込んだ“Beside You”からライブは終盤へ。ハンドマイクスタイルでKjが歌う“静かな日々の階段を”に巻き起こった大歓声を、続く“Jump”では横アリ一丸のジャンプとタオル旋回へとつなげてみせる。さらに、激しさと美しさが共存するアンセム“百合の咲く場所で”で「お前らがいればライブハウスみてえなもんだな!」と呼びかけるKjに応えて、次々にクラウドサーフが巻き起こっていく――。
「俺20年ロックバンドやってきて、今の時代が一番、ロックバンドでカッコいいやつが多いと思ってて。平日だろうが休日だろうが、ライブハウスに行けば、絶対カッコいいロックバンドがいるから」……そんなKjの言葉に拍手喝采が広がったところで、キラーナンバー“Fantasista”炸裂! 横アリ激震の狂騒感と祝祭感が、珠玉の一夜を熱く彩っていった。
「『やっぱりバンドってカッコいいな』って、ツアー中ずっと思ってました。こういうラウドロックバンドで、こんだけ大きい会場でやらせてもらえるっていうのは、本当に稀有なことだと思ってるので。ありがとうございます!」と感謝の想いを伝えていた桜井の「せっかくアンコールなんで、19歳の時にやってた曲を……」という言葉に続けて『Viva La Revolution』からもう1曲披露したのは“Drugs can’t kill teens”。ソリッドな疾走感に満ちたパンクロックが、むせ返るような会場の熱気にスリリングな躍動感を与えていく。
己のロックを真摯に磨きながら、苦境も乗り越えシーン最前線をひた走り続けてきたDragon Ashと、その音楽を愛し支え続けてきたオーディエンスとの揺るぎない信頼関係が、この上なく高純度なロックの絶景を生み出した、歴史的な名演だった。(高橋智樹)
終演後ブログ