ROSE RECORDS presents トキメキNight! vol.2「Perfect!」release party @ 代官山UNIT

昨年末にROSE RECORDSより発売された、コンピレーション・アルバム『Perfect! -Tokyo Independent Music-』のリリース記念パーティとして開催されたトキメキNigth!vol.2。ちなみに、このイベント『トキメキNight!』のvol.1は曽我部恵一BANDとTHE BEACHES というラインナップで、11月28日に下北沢CLUB QUEで開催されている。今後も2月4日に第3弾が、第4弾が4月11日に企画されており、この先の展開が楽しみなライブ・シリーズでもある。今夜の出演アクトは、のべ16組。東京近郊を活動拠点とするインディ・アーティストの作品を多数収録したコンピのコンセプトを踏襲し、多彩な顔ぶれが揃った。場内には3つのステージが設置されている。B2Fのライブ・スペースには<メイン・ステージ>と客席右脇にしつらえられた<サブステージ>が。B3Fの<SALOON>ステージは、DJブースがメインだが、ラウンジでライブも行なわれる。お客さんはタイムテーブルとにらめっこしながら、階段を上下移動する。また約6時間におよぶ長丁場イベントとあって、B1Fには、ファンにはおなじみの下北沢のカフェCITY COUTRY CITYによるチーズケーキなどの販売や、ウーピーゴールドバーガーによるハンバーガーの販売があって、腹ペコ対策がちゃんと講じられていたところもうれしかった。開演17時からということで、17時前に入場したところ、場内ほぼ満員。溢れんばかりの活気に、一瞬嫌な予感が・・・、そして予感的中。なんとB2Fではすでに藤原ヒロシと曽我部恵一がアコースティックで松田聖子“Sweet Memories”のカバーをパフォーマンスしているところだった。曲のメロディの美しさを前面に浮上させていくメロウなカバーには、あるレベルに到達した一握りのアーティストでしか出せない渋みと味わいがある・・・と思っていたところ、なんと二人のパフォーマンスはここで終了。フロアの壁に貼り付けてあったタイムテーブルを確認したところ、急遽16時に開演が変更されたようだ。そのため、藤原ヒロシと曽我部恵一のパフォーマンスに加え、16時からスタートしていたFUZZ DADDYのDJと、ランタンパレードのDJも観られませんでした。帰宅後ROSE RECORDのブログを確認したところ、前日にタイムテーブルが投稿されていたよう。悔やまれる・・・。自分も楽しみにしていたパフォーマンスだっただけに、レポートをお届けすることができず本当に申し訳ありません。続く、ホテルニュートーキョーは、大所帯バンドならではのダイナミックな躍動感と、一夜の夢の高揚と儚さを音像化したような、起伏に富んだパフォーマンスで、フロアに熱気を呼んでいた。終了後、間髪入れず、ヒップホップの新鋭=環ROY(タマキロイ)のパフォーマンスが、<サブステージ>でスタート。フロアのお客さんの顔ぶれは変わっていないが、アーティストが変わるごとにフロアの空気感が一変していく。まさにアーティストの個性がフロアを染め上げていくのだ。そうなっていくのも、今日のオーディエンスの間には、能動的に音楽と向き合いながら、ニュートラルにアーティストとの出会いを楽しんでいこう、というフェスティバルのオーディエンスにも通じるヴァイブが漂っているからだ。一元的なヒップホップ観に対する批評を笑いへと昇華させた、環ROY。あれをオープン・マインドで笑い飛ばせるフロアの空気感も今日のオーディエンスならではだと思う。1マイク+ビートボックスという、1MCスタイルで、お決まりの“ヒップホップ”的な掛け合いなどなくても、軽やかで、スピード感満載の、オリジナリティ溢れるラップ・スタイルで、フロアを惹きつけていた。お見事!続く七尾旅人のライブも独自の世界をみせてくれた。キラキラのスパンコールがちりばめられた黒いセーターと、前髪を結い上げたヘアスタイルが強烈で、フロアからの視線もまずはそこに。じっくり聴けるようにとの配慮で、満員のフロアのオーディエンスは、全員床ずわり。一音一音丁寧に紡がれていく、ギターの音色。力強い歌声は、言葉の一つ一つに込められた、生々しく重い意味を蘇生させていくかのよう。そうした深遠なサウンドの魅力と「昨年は、一人“ウィー・アー・ザ・ワールド”というのをやりまして、20人分一人で歌いました。ブルース・スプリングスティーンのパートが難しかったです。シンディ・ローパーはもっと大変です。練習だけで声枯れちゃいました。簡単なのはビリー・ジョエルです」という、彼の日常や制作歴を振り返る、飄々とした語り口のMCとが渾然一体となって、独創的な磁場を生み出していた。途中、石橋英子がピアノとドラムで、加藤雄一郎がサックスで参加。それ以降のジャズの即興を思わせる息をのむような掛け合いも、スリリングだった。いろいろ楽しみたい自分は、B3FからB2Fをこまめに移動。少しずつしか観られなかったけれど、DJブースもなかなかの盛り上がりをみせていた。DJ YOGURTの日本のロックとハウスの間をスムーズに行き来する流れは、なんとも中毒性が高い。また、やけのはらのDJには、ゲストMCとして七尾旅人が登場。やけのはらが繰り出す、縦横無尽なビートにのせて、先ほどのステージともまた一味違う、グライムMCっぽい、フリーキーなマイク・パフォーマンスでフロアを煽りまくっていた。イベントのラストを飾った、Traks Boysも硬質なエレクトロニック・サウンドでじわじわと上げてくれた。メイン・ステージには、いよいよライブ・ラストを飾る、曽我部恵一BANDの登場だ。のっけから、とにかくテンションの高い4人、エモーションがはちきれて、まさに全力疾走中といった感じ。それを受けるフロアも、跳ねて、両手を掲げてハンド・クラップしてと、ステージ上のメンバーに追いつけとばかりにエンジン全開に。曽我部は「トキメキNight!」「トキメイてる?」と何度も叫んでいたけど、今のソカバンの音からは、“トキメキ”が弾け飛んでくるよう。サウンドに、ロックに対する瑞々しい、前のめりな衝動がみなぎりまくっているのだ。また同じ温度感を共有したメンバー間の一体感が、演奏をより強固なものにしていっている。約45分のセットということで、スピーディーな展開。「輝いてるかい?」という曽我部の問いに、「Yeah!!」と一斉に応えてみたら、「『Yeah!』なんていわなくても、輝いてるよ」と返される。ちょっと笑っちゃうけど、弱った心にじんわり染み入る魔法的MCも彼らのライブの醍醐味。そんなMCに続けて“キラキラ”がパフォーマンスされるんだからたまらない。「昨年アルバムを出しましたが、今年も出そうと思って作っています」「1曲できたので披露します」と、ライブ初披露となる新曲“長い夜”もやってくれた。これが、ザ・ストゥージズやラモーンズを想起させる、これまでにないほど疾走感溢れる剥き出しのロック・ナンバー。そんな剥き出しの曲に続けて繰り出されたのが“青春狂騒曲”。しかも超スピーディ、パンキッシュなアレンジで。この繋ぎがなんとも、彼らの現在のテンションを感じさせてくれた。彼らはすでに色々なことを成し遂げてきた存在だけど、まだまだこんなもんじゃない、とばかりに「どうにもならんよ」といいながら、先を目指していくのだ。“長い夜”は、今後アルバムに向けてアレンジが変わっていくかもしれないけど、2月に予定されている単独ツアーで披露される可能性は大きいと思う。様々な面において、唯一無二といえるスタンスで活動を続ける曽我部恵一。近くて遠い、点在するシーンの横軸を意識的に繋いでいく、という今回のイベントのコンセプトは、彼のこれまでの活動を振り返れば、その流れに連なる自然な成り行きともいえるかもしれない。けれど、やっぱり、アルバムという一つの作品に残せたことは大きかったと思う。曽我部は、「(出てもらっているのが)好きなアーティストばっかりでうれしい」「また来年もこのイベントやりたい!」と本当に嬉しそうに話していたけど、コンピ第2弾とあわせて、是非実現させて欲しい! (森田美喜子)
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