MY FIRST STORY/横浜アリーナ

MY FIRST STORY/横浜アリーナ - All photo by TAKASHI KONUMAAll photo by TAKASHI KONUMA
「正直言うとさ、ずっと不安だったんだ。でもメンバー、スタッフ、何よりも2日間来てくれたみんな――ずっと独りだと思ってたけどこれだけの仲間がいるんだと気づきました。そろそろ自分を信じてもいいかなって思えました。だから、いつまでも一緒に歩いていこう」

昨年7月から続いていた「S・S・S TOUR 2018」のツアーファイナル。「2日間でセットリストの被りはなし」という挑戦的なスタイルで臨んだ横浜アリーナ2デイズの2日目。本編のラストに演奏された“不可逆リプレイス”の最中、Hiro(Vo)はそのように胸中を打ち明けた。自身の物語と向き合い、身を削るように音を鳴らしていたこのバンドから「いつまでも」という言葉を聞く日が来るなんて、誰が想像していただろうか。自分たちのことを必要としてくれる人にとっての光になりたいのだと語りながら、夢を掲げ、前に進もうとするバンドの姿がそこにはあった。

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この日の1曲目は、ツアースタートと同日にリリースされたシングルの収録曲“lonely”。オープニングは音数が少なく緊張感があるが、気持ちの昂ぶりを抑えられないのか、途中でオーディエンスが手拍子をし始めた。それに伴いバンドもブースト。ステージの一番高いところからKid'z(Dr)が放つダイナミックなビート。頭を大きく振りながら、楽器を掻き鳴らすTeru(G)。マイクに向かって力一杯叫ぶNob(B)の声には気合いが滲んでいる。ステージ横にある大型スクリーンには、アイコンタクトを取り合いながら、笑顔を覗かせる彼らの表情が度々映されていた。そして「お前らの最高にデカい声、聞かせてくれ!」(Hiro)と“ALONE”へ。Hiroのボーカルとオーディエンスによるシンガロングが掛け合いを繰り広げるシーンを終えると、ステージ上ではスクリームとともに轟々と炎が上がる。アリーナ前方のスタンディングエリアではクラウドサーフが多数発生。スタンド席はヘドバンの海と化していった。

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曲が終わり音が止んだ途端、メンバーを呼ぶ声があちこちから飛んでくるほど、オーディエンスのテンションは高い。“The Story Is My Life”までの序盤ブロックでは、「Singing!」とオーディエンスを促し、みんなで各曲を歌うような形でセットリストは進んでいった。MCでは、NobとKid'zのコメントが真面目すぎるとにHiroがツッコミを入れ、それ以降、4人はフランクな調子でたわいもないトークをしていた。アリーナ中央付近にあるサブステージにて、アコースティック編成で届けた“「花」 -0714-”、“We Are Never Ever Getting Back Together”、“Calling you”は、いつになくやわらかくて温かい。そのあとのTeru、Nob、Kid'zよるセッションは、メジャーキーで、光の方へ向かっていくような明るい響きをしていた。

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全体として、この日彼らは、とても開放的な空気感でステージに臨んでいた。その理由は終盤のMCにて「俺らはあと何回歌えるんだろうって思ったら、自分に嘘をつくのはやめようって、周りを気にするのはもうやめようって思えました」と語られた通りだ。後半戦スタートの合図として始まった“monologue”で、Hiroは「お前らは運命って信じるか?」と問いかけながら、「俺らはそんな不確かなもんでここに立ってるんじゃない。音楽が好きって気持ちでここに立ってる」とバンドの意思を言葉にする。続く“虚言NEUROSE”ではカラフルな照明とともにバンドのサウンドが躍動していった。「本気でかかってこい!」(Hiro)。「横アリまだまだ行けんだろ! 全員飛べ!」(Nob)。ものすごい数のレーザー光線が上空を行き交うなか、オーディエンスは勢いよくジャンプをしたり、タオルをブンブン回したり、大きな声で歌ったりしながら、バンドの熱量に応えている。その光景は確かな絆の存在を感じさせるようなもので感動的だった。だからこそ、「僕らを支えてくれた大切な仲間」と紹介したさユりとのコラボ“レイメイ”も、今が必然のタイミングだったように感じられる。火花を散らしながら交わるツインボーカルが、大きなエネルギーを生み出していく様子は圧巻だった。

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アンコールでは、2016年の武道館公演にサプライズ登場して以来、表舞台に姿を見せることのなかった、そして今年2月のFC会員限定ツアーでは限定復活をすると予告しているSho(G)も登場。ALS患者であるファンの青年とともに作った新曲“光り輝ける場所”、そしてその青年に出会ってから書いた曲なのだという“With You”が演奏された。因みに“光り輝ける場所”は横浜アリーナ2デイズの会場限定で発売されたCDに収録されているもので、CDの売上はすべてALS団体に寄付されるとのことだ。この決断に至るまでの過程と葛藤は、直前のVTRや、HiroのMCによって説明された。

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この2日間で一番最後に歌われた言葉は《I will be with you forever in your heart》だった。今回のアンコールでは一人の青年にスポットが当たったが、彼に対してのみならず、「自分たちを必要としてくれる人の光になりたい」という気持ちが今のマイファスを突き動かしているようだ。かつてとは違う意味の上で「必ず東京ドームに立ってやるから、楽しみにしてろよ、お前ら!」(Hiro)と、かねてからの野望を叫べるようになった今、ここから彼らはどのような未来を選んでいくのだろうか。新たな始まりを感じさせる、良いツアーファイナルだった。(蜂須賀ちなみ)

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