THE BAWDIES/日本武道館

THE BAWDIES/日本武道館 - All photo by 橋本 塁(SOUND SHOOTER)All photo by 橋本 塁(SOUND SHOOTER)

●セットリスト
1.EMOTION POTION
2.NO WAY
3.IT'S TOO LATE
4.ROCK ME BABY
5.SING YOUR SONG
6.LEMONADE
7.RAINY DAY
8.KEEP YOU HAPPY
9.A NEW DAY IS COMIN’
10.1-2-3
11.HOT DOG
12.KICKS!
13.I'M IN LOVE WITH YOU
-Drum Solo-
14.THE EDGE
15.B.P.B
16.YOU GOTTA DANCE
17.JUST BE COOL
18.FEELIN' FREE
(アンコール)
EN1.HAPPY RAYS
EN2.I BEG YOU
EN3.KEEP ON ROCKIN’


THE BAWDIES/日本武道館

「武道館に立ち続けて、ここが(ロックの)聖地だと叫び続けて、日本にロックンロールを根付かせていく」。アンコールで、ROY(Vo・B)はそんなふうに情熱を語った。「武道館は特別な場所である」と決めつけて、「特別」に相応しいパフォーマンスを届けるということ。それはありふれているようで、いつでも特別な体験をもたらすロックンロールそのものに他ならない。2004年1月1日に結成されたTHE BAWDIESが晴れて15周年を迎え、全国47都道府県49公演「Thank you for our Rock and Roll Tour 2004-2019」のファイナルとしてたどり着いた、日本武道館である。

THE BAWDIES/日本武道館

バンド名の電飾看板を背負い、耳をつんざく爆音とともに「うわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーっっ!!」とROYがソウルシャウター全開になる“EMOTION POTION”からして、4人が4人ともハミ出したマインドを抱えたまま取っ組み合って転がる通算3度目の武道館ワンマンは、全編をほぼそのままのテンションで駆け抜けるものだった。もちろん、昨年リリースのベストアルバム『THIS IS THE BEST』から必殺チューンの数々が畳み掛けられるライブだから、というのはあるだろう。でもそれだけではない。結成15周年を迎えても、ロックンロールの熱狂は上手に小綺麗に纏まったサウンドからは生まれてこない。いびつで、つんのめっていて、危うい、そんなロックンロールの境地を探り当て、THE BAWDIESはそこに立っているのである。

THE BAWDIES/日本武道館
THE BAWDIES/日本武道館

ド派手な演出の炎が吹き上がるメジャー初シングル“IT'S TOO LATE”の直後、ROYは「ロックンロールの糠に皆さんを漬け込んで、ロックンロールの漬け物にしてやろうと思います。おい、タクアン行くぞ」と笑わせて、TAXMAN(G・Vo)による“ROCK ME BABY”のリフに繋ぐ。豪快にオーディエンスを跳ね上げるグルーヴだが、ドリーミーなギターフレーズが練りこまれているところが心憎い。そして“SING YOUR SONG”というアンセム連打のえげつない流れだが、今度は負けじとJIM(G・Cho)のリフが火を点ける。興奮と歓喜に身を痙攣させるような彼のアクションこそが、THE BAWDIESの音像を最も正確に視覚化していると言えるだろう。

THE BAWDIES/日本武道館

一発一発が小爆発を起こして前線3人を突き飛ばすMARCY(Dr・Cho)は、まさにスリリングなアンサンブルの屋台骨を担っているというところだが、その音とは裏腹に寡黙な男である点はずっと変わっていない。ツアー中、誕生日直後の公演で珍しく挨拶したことや、台湾料理屋でうっかりひっくり返って大きな声を上げたこと(手にしていたもち米のチャーハンを被ってしまったらしい)などを、執拗にイジられる。それぞれにキャラ立ちした4人は、歴史上の優れたロックバンドがそうであるように、生身の人間でありながらどこかアニメのキャラクターのように眼に映る。

THE BAWDIES/日本武道館

アニメのキャラクターと言えば、今回の所謂「“HOT DOG”劇場」は、タクコちゃん(TAXMAN)とセイジ君(ROY)、そしてセイジの元カノ=トマトちゃん(MARCY)による、甘酸っぱいのを通り越して笑える三角関係ラブコメであった。JIMのナレーションが物語を高速展開させるさまは、5月にリリースされるこの日のライブ作品の映像に収録されるのではないだろうか。4人のハーモニーワークが映える“TWIST AND SHOUT”(ビートルズ)カバーの一節から傾れ込む“A NEW DAY IS COMIN'”は、時間にすればほんの一瞬だけれども、ロックンロールとTHE BAWDIESの途方もなくロマンチックなドラマが浮かび上がってくる。

THE BAWDIES/日本武道館
THE BAWDIES/日本武道館

“LEMONADE”の甘酸っぱいメロディでロックンロールに感謝を捧げたかと思えば、間髪入れずにTAXMANが“RAINY DAY”を歌い出すし、本当にこれが15年選手の姿なのかと思うくらい、THE BAWDIESは熱く勢いに乗ったままであった。MARCYのドラムソロを経て飛び込んだ“THE EDGE”は、まさにハミ出したマインドが音に乗り移って交錯する、爆音のアートだ。本編最後の、ベスト盤に収録された“FEELIN' FREE”まで、熱気冷めやらぬという形容はこんなステージにこそ相応しい。そんなライブであった。

THE BAWDIES/日本武道館
THE BAWDIES/日本武道館

さらにアンコールでは、昨年12月にリリースされた新曲“HAPPY RAYS”を、8名のストリングスセクションと共に披露。人肌の温もりを備えたウォール・オブ・サウンドとして奏でるさまが美しい。この日、シングル『HAPPY RAYS』の日本武道館公演記念パッケージに同梱されていた「HAPPY”わっしょい”法被」(ビートルズが羽田空港に降り立ったときのJALの法被を思わせるデザイン)を着用したファンもたくさん見受けられたが、最後にはメンバーもこの法被を着て記念撮影&TAXMANの「わっしょい」コールでフィニッシュである。本編中にROYは、こんなふうにも告げていた。「何か足んねえなと思ったら、俺らに会いに来てください。頼っていただけますか?」。この世には、頼りになる叫びが、ノイズまみれの爆音があるのだ。(小池宏和)

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