King Gnu/新木場 STUDIO COAST

King Gnu/新木場 STUDIO COAST - Photo by 小杉歩Photo by 小杉歩

●セットリスト
SE Sympa Ⅰ
1.Slumberland
2.Sorrows
3.Vinyl
4.McDonald Romance
5.ロウラヴ
6.Bedtown
7.NIGHT POOL
8.白日
9.Sympa
10.Hitman
11.Vivid Red
12.Flash!!!
13.Don't Stop the Clocks
14.It's a small world
15.破裂
16.Tokyo Rendez-Vous
17.Prayer X
18.あなたは蜃気楼
19.Teenager forever
20.The hole
(アンコール)
EN1.サマーレイン・ダイバー



King Gnu/新木場 STUDIO COAST - Photo by 伊藤洸祐Photo by 伊藤洸祐
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King Gnu初の全国ツアー。そのファイナルにあたる4月12日の新木場STUDIO COAST公演。バチバチと化学反応を起こしまくる井口理(Vo・Key)、常田大希(G・Vo)、新井和輝(B)、勢喜遊(Dr・Sampler)のアンサンブルは瞬間ごとに化けていき、超満員のフロアは瞬く間に「今ヤバいものを観ているぞ」という昂揚感で充満していく。引火に次ぐ引火。「熱狂」とはこういうことを指すのだろう。知性とスキルを下地にしながら、ロックバンドとしてのロマンを爆発させる90分間にKing Gnuの「今」を見た。

King Gnu/新木場 STUDIO COAST - Photo by 伊藤洸祐Photo by 伊藤洸祐
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ビル群の頭上にぽっかりと浮かぶ、月のようなバンドロゴ。暗転のなか、アルバム『Sympa』の1曲目のインストトラック“Sympa Ⅰ”をSEにメンバーが入場すると、勢喜のドラムロールを機に“Slumberland”が始まった。拡声機を片手にステージを練り歩く常田は、夜の街を徘徊しているみたいだ。キメとともにものすごい光量を放つ照明に目が眩むのも束の間、井口ボーカル曲“Sorrows”が爽快に響く。MVを彷彿とさせるピンク色の照明で次の曲を察した人が多かったのか、“Vinyl”では演奏開始と同時に大きな歓声が上がった。今回のツアーは『Sympa』のリリースに伴うものだが、それ以前にリリースされた楽曲もどうやら観客に浸透している様子。そのリアクションひとつで、みんながこの日を如何に心待ちにしていたのかが伝わってきた。

King Gnu/新木場 STUDIO COAST - Photo by 小杉歩Photo by 小杉歩
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勢喜は打音の一つひとつがきらびやかで、華やかなプレイスタイルのドラマーだ。常田はここぞというタイミングで音を歪ませ、ギターを掻き鳴らしながらバンド全体をドライブさせる。新井は潤滑油的な役割を果たしているように見えるが、時には歌うようなメロディを挿し込んでくることもある。井口の澄んだ歌声はやはり格別な存在感を放っている。特に“McDonald Romance”の冒頭で「みんなで大合唱しましょう!」と促すも、多くの人が彼のハイトーンに聴き入っていたのが印象的だった。このようにKing Gnuには個性際立つプレイヤーが4人も揃っている。そのうえ、4人とも大胆にアドリブを入れてくるタイプであるため、観ているとして側は「誰を追えばいいのかわからない!」と嬉しい悲鳴を上げたくもなるし、耳と目があと3セットずつ欲しいような気持ちにもなる。7曲目“NIGHT POOL”までは畳みかけるように演奏。すぐ先の展開の予想がつかないような、ロックバンドのライブならでは、生物ならではのスリルが、序盤から私たちの心を掴んで離さなかったのだ。

King Gnu/新木場 STUDIO COAST - Photo by 伊藤洸祐Photo by 伊藤洸祐
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そんな彼らによるライブだから、それぞれの楽曲は、音源とはまた違った表情を見せてくれる。「ここでKing Gnu史上最もファンキーでご機嫌なあの曲をやりたいと思います。“白日”」(井口)というまさかの曲紹介から始まった“白日”は、生で聴くと4人のグルーヴを肌から体感できるため、音源で聴いた時よりも腰から揺さぶられる。“Hitman”は常田の鍵盤ソロの後に披露することにより、一層神聖さを増していたし、転調後、音程をずり上げるようなロングトーンを境に井口が炸裂させたスキャットは情熱的なものであった。サンプラーも使用した勢喜による変則ビートのドラムソロに、新井、常田が加わり、次第に“Flash!!!”に突入していく場面は最高にカッコよかったし、照明が激しく明滅するなか、思いきり声を張る井口&常田のツインボーカルがバチッと噛み合う瞬間も堪らない。さらに“Don't Stop the Clocks”、“It's a small world”、“破裂”はアコースティック編成での演奏(常田はアコースティックギター、新井はコントラバス、“Don't Stop the Clocks”のみ勢喜はフィンガースナップ)。息するように下ネタを言うMCから一転、急転直下の美声を響かせる井口のボーカルと旋律の美しさが存分に活かされたアレンジだ。

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初の全国ツアーがバンドにとって相当大きな経験となったのだろうか。バンドとはツアーを通じて進化していくものだけど、この日の彼らの演奏は、そういう成長曲線を大いにはみ出していくような化け方をしていて、様々な人々・事象を巻き込みながらここからさらに化けていきそうな予感さえあった。獣のような獰猛さと炎のような儚さを兼ね備えながら、自らの音を燃料に、バンドが生まれ変わる瞬間を何度も目撃してしまったならば、オーディエンスも当然ハイにならざるをえない。「歌えー!」と井口がフロアにマイク向けるたび、オーディエンスは大きな歌声を返している。井口は「僕らも初日から変わってきていると思いますけど、みなさんもかなり仕上がっている感じですね!」と驚きながら喜んでいた。そうして場内の大合唱を食らいながら肥大化していった“Tokyo Rendez-Vous”、“Prayer X”、“あなたは蜃気楼”を経ての“Teenager forever”では、センターに躍り出た井口のボーカルも、その後ろでガシガシと刻む他3人の演奏も、エネルギッシュで力強い。クライマックスに控える転調もその勢いを後押しした。

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本編ラストには“The hole”を演奏。アンコールに“サマーレイン・ダイバー”を披露したあと、もう一度ステージに登場し、全員揃ってお辞儀をしてから去っていった4人。井口は、満員のフロアを見渡しながら「いや~、爽快ですね。ありがとうございます!」と伝え、「King Gnuが立つべき今をみなさんにお届けできたことを嬉しく思います。これからもっともっとすごい景色を見せていきたいと思いますのでついてきてください。よろしくお願いします!」と宣言。その言葉通り、King Gnuは私たちをまだ見ぬ熱狂へと連れていってくれることだろう。そんなことを強く確信させられた、抜群のライブだった。(蜂須賀ちなみ)

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