すでにニュースで紹介されている通り、King Gnuの常田大希が、N.HOOLYWOODのブランド20周年、NYに発表の場を移して10年という記念すべき年にNYコレクションでチェロを演奏した。
実は現場で目撃するという幸運な体験をした。Masonic Hallという築115年の歴史ある会場で、ダークかつクラシックなスタイルを貴重としながらも、「フォーマルの再構築」と言える今の解釈がされたスーツなどが基本となったショーで、常田の、伝統の重さと最新の感性が重なり合うサウンドが素晴らしく共鳴していた。
彼がイスに座って息を吸い込んだ瞬間から、終わって拍手が鳴り終わるまで、この空間に独自の緊張感を生み出していた。何より、これだけ世界中から一流のアーティストが行き交い集まるNYという場所で、衝撃と感動を刻むあまりにドラマチックなサウンドを鳴らしたことに、感銘を受けた。
ワンカメで撮影されたショーの全編はこちら。
https://youtu.be/pkRqUOTWFmQ
過去のショーを観ると、後からさらに編集された映像がポストされているので、今後も要チェックだ。
また私の席からiPhoneで撮った映像。音も映像も悪いのであくまで参考までに。
常田のツイートによると音源は3月にミニアルバムで発表される予定だそう。
ショーが終わった直後にバックステージで、常田とN.HOOLYWOODのデザイナー、尾花大輔にコメントをもらえたので以下掲載。NYの空気が合っていたようで「住んじゃおうかな」と言っていたのが印象的だった。
常田大希
●終わっての率直な感想「久々に弾く機会だったので、緊張しましたね」
●NYについて
「スタジオとか使っていたんですけど、こっちの。ちょっと住んじゃおうかなあと(笑)」
●曲のインスピレーション、制作過程
「King Gnuで作る曲は、J-POPという型があるので、今回はもっと自由に、直に絵の具を乗せていくようなイメージで作ってみました」
「(ファッション業界は)自由度が高いし、音楽への感度が高い業界なんで、久々自由に好き勝手やって(笑)」
「(スティーヴ・)ライヒはNY(出身)だし、そういうのもオマージュしつつ。ライヒより今日やった方が熱があるというか。もっとドラマチックになっちゃましたね(笑)」
「尾花さんは、基本全任せしてくれるというか、好きにやってくれという感じで。でも今年はスーツだぞと、それでチェロだ、というのは最初に言われたこと。スーツラインでいくから、チェロ弾いて欲しいと」
「(結果)いい感じに全部がかっこ良くなっていて良かったですね」
●普段ファッションに興味は?
「いやあもう本当スウェットしか着ないんで。スウェットだけですね(笑)」
●King Gnuもありmillennium paradeもある中での今回のようなソロの位置付け
「映画音楽とかも、今後やっていくでしょうしね。いろんなジャンルのことをたぶん間違いなくやっていくので、音楽家的に必要だと思っているので。なのでそれの始まり、じゃないけど。今年からちょっと色々自由にやっていこうかなと」
●Netflix『攻殻機動隊 SAC_2045』の主題歌などが世界に届くことについて
「そう、だからそういう方にも。King Gnuである程度成果を上げたから、そういう方にもアプローチし出そうかなと」
●今年は世界的な挑戦がしたい?
「うん、いろんな作品を発表できるんじゃないかなあという感じで」
「(今回のショーがその)良いきっかけ。超良いきっかけ」
尾花大輔
●今回(常田に)依頼することになったきっかけ「ただの飲み友達だったんです(笑)。飲み友達から始まって、『僕これからアリーナ・ツアーもあるんです』と言われていたんだけど、『へえ』という感じで、あまり音も聴いたことなかったんですよ。それでライブに行ったら、若者達がすごくたくさんいて、聴いたことがあるようでないような音の作り方をしていたから、『面白いなあ。すごいなあ』と言って。それでまた飲んでる時に、また話をしてたら『僕、5歳くらいからチェロ弾いていて』って言った瞬間に、ちょうどこれを作っている最中だったんで、バッチリでしょうと思って。だから『やる、一緒に?』と言ったら、『マジやりたいです』と言ってくれて。でも言った瞬間くらいから、どんどん売れていっちゃって、紅白だなんだってなっていっちゃったから、大丈夫かな、みたいな。だから途中で『本当にやるの?』って。『全然やりますよ』って言ってくれて。全然時間ないのにね。でもできましたね」
●スーツというテーマで、あとは自由に曲作りをお願いしたことについて
「ただのフォーマルなスーツだったら、恐らくベタベタだったと思うんですよ。でも今回、自分のスーツの現代のあり方みたいなものを表現したかったので、それでいくと彼も所謂チェロのクラシックをそのままというわけではなくて、多重で入れていくとかトライアルをしているので。正直今シーズンは、ヘアも演出もみんなそうなんですよ。『それぞれの持っているスキルを全部出してくれ』と言って、本当にコラボレーションだったんですよね。50/50のコラボレーションでやるというものだった」
●インスピレーションについて
「コレクションのラインじゃないので、物と対峙するブランディングでずっとやっているので、リアルにディテールをひとつずつ追求していくようなラインなんですね。なのでインスピレーションというのは対洋服ですかね。だから時代感とかでもないし。元々僕古着屋だったので、でも古着の要素も全然ないし」
●どんな人達が着ることをイメージしているか?
「まったくないですね(笑)。これはコレクションもこのシリーズも一貫していることなんですが、着る人が一番でいて欲しいので、あくまでも洋服は引き立てる側なので。服が歩いてるのは気持ち悪いじゃないですか。だからそれは自分の根底にありますね」
●ショーを終わっての感想
「当然、カッコ良く終わっただろうなあと思っています(笑)。今回は特に。自分も良い年齢になってきたので、これくらいのやつをさらっと着るがのいいし、それがスタイリングにも出ていたと思うので。めちゃ感動しているとかもなく、当然だなあと思っています。生意気ですけど、予想通り(笑)。ただ会場で見たら予想以上のことになっているんじゃないかなとは思います」