「CUT NIGHT」lukiミニライブ/二子玉川GEMINI Theatre

「CUT NIGHT」lukiミニライブ/二子玉川GEMINI Theatre - All photo by 落合由夏(Ochiai Yuka)All photo by 落合由夏(Ochiai Yuka)

●セットリスト
01. サンサーラ
02. 新月とコヨーテ
03. 四角い箱にいた頃
04. ハイエナ
05. Love Of My Life
06. FAKE
07. Thanks


「CUT NIGHT」lukiミニライブ/二子玉川GEMINI Theatre

『CUT』誌主催による、トークとライブの複合イベント「CUT NIGHT」が、舞台を代官山から二子玉川に移し、5年ぶりに開催された。今回のプログラムは、「CUT編集長 渋谷陽一 映画『ボヘミアン・ラプソディ』を語る」、「lukiミニライブ」、「渋谷陽一×山田ルキ子 映画対談」という3部構成だ。

本稿ではlukiのミニライブを中心にレポートするのだけれども、まずはロック評論家としての本領を全開にしてクイーンを語りまくる渋谷陽一。“I Was Born To Love You”のフレディ・マーキュリーによるソロバージョンとクイーンバージョンの聴き比べをしながら、「人が好きになるアーティストと楽曲は実は別物で、クイーンはアーティスト性と楽曲、それぞれに強烈な魅力を備えていた」、「フレディの才能とアイデンティティを、3人のメンバーが愛し、支える構造があった」といった論旨を展開。約30分の熱弁を繰り広げた。

「CUT NIGHT」lukiミニライブ/二子玉川GEMINI Theatre

さて、渋谷陽一の呼び込みを受けたlukiのライブである。ミニライブとは言いながら、バンマス兼アレンジャーの円山天使(G)、山本哲也(Key)、張替智広(Dr)という馴染みのサポートメンバーを伴ったバンドセット。そして最新ミニアルバム『新月とコヨーテ』からラテンポップのソングライティングを活かした“サンサーラ”が切り出されるのだが、その手応えにびっくりした。

「CUT NIGHT」lukiミニライブ/二子玉川GEMINI Theatre

新作『新月とコヨーテ』は大人びたアコースティックポップ集で、てっきりライブもそれを踏まえたサウンドになると思い込んでいたのだが、今回の“サンサーラ”はすこぶるロックなアタック感をもたらすアレンジに生まれ変わっていた。鋭いビート、現代的なキーボードフレーズ、そしてluki自身による力強いブルースハープといったふうに、強烈な躍動感に満ち満ちている。

「CUT NIGHT」lukiミニライブ/二子玉川GEMINI Theatre

「代官山以来のCUT NIGHTで。クイーンやらなくてすみません。ツェッペリンでもなくてすみません」と挨拶し笑いを誘うと、新作のタイトル曲“新月とコヨーテ”へ。孤独な闇夜の中で新たな時の訪れに思いを馳せる、そんな歌に没入してゆく姿で観る者を惹きつけるluki。『CUT』誌上では山田ルキ子のペンネームで映画コラムを連載する彼女だが、今回は『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』で描かれる峰不二子の現代的な女性像を称賛するのだった。

「CUT NIGHT」lukiミニライブ/二子玉川GEMINI Theatre
「CUT NIGHT」lukiミニライブ/二子玉川GEMINI Theatre

「私の歌も成長していきます。峰不二子の気分で」と披露された“四角い箱にいた頃”は、サスペンスタッチのジャズ/ドラムンベースにリアレンジされていて驚く。間髪入れずにフラッシュライトの中から放たれる“ハイエナ”の野生的でスリリングなサウンドといい、コンテンポラリーなロックのパフォーマンスをがっつりと刻み付けてゆくステージが最高だ。

「CUT NIGHT」lukiミニライブ/二子玉川GEMINI Theatre

また『ボヘミアン・ラプソディ』に寄せて「音楽映画でこんなにヒットするのは珍しいですね。ミュージシャンとしての尊敬を込めて」と披露されたのは、クイーン“Love Of My Life”のカバーだ。映画の中では感動的な大合唱シーンを生み出したナンバーだが、むしろlukiの新作モードを踏まえた、優しくフォーキーなアレンジになっていておもしろい。

「CUT NIGHT」lukiミニライブ/二子玉川GEMINI Theatre

そしてライブ終盤は、“FAKE”から新作の最終トラックに配置されていた“Thanks”へと向かう。苦しい経験もポジティブなエネルギーへと転化させるように、夢見心地な導入部がサンバテイストのロック=サンバホッキに移行してゆく展開がドラマティックで素晴らしい。全7曲というボリュームの中で、lukiの作家性を存分に、パワフルに描くステージであった。

「CUT NIGHT」lukiミニライブ/二子玉川GEMINI Theatre

渋谷陽一が、ウルトラマラソンに挑戦し続けるlukiを「繊細なように見えて、実はとんでもない体育会系女でございまして」とあらためて紹介すると、2人の映画対談が始まる。山田ルキ子としての彼女はここで、ラミ・マレック(『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ役)が新作映画『パピヨン』で見せる好演ぶりを絶賛していた。ミュージシャンとしても、映画の語り部としても、見事な活躍ぶりであった。

「CUT NIGHT」lukiミニライブ/二子玉川GEMINI Theatre

7月11日(木)には、Shibuya LUSHで『新月とコヨーテ』のリリース記念ワンマンが行われる。今回のミニライブの内容からしても、また新しい驚きをもたらしてくれるのではないかと期待が膨らむところだ。また、lukiの公式サイト上では、luki自身による『新月とコヨーテ』曲解説を掲載している。読み物としても非常におもしろいので、ぜひ触れてみてほしい。(小池宏和)
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