そういう意味で特に印象的だったのが“星のうつわ”。アウトロの尺を延ばして行われた全身全霊のセッションは、吹き荒ぶ嵐のようであり、あちこちで火花が弾けているようでもあり、ただただ圧倒された。「ライブは生き物」って、きっとこういうことを言う。ステージ中央の大橋は歌っていない間、その場でジャンプしたり、突然マイクから離れて両手をギュッと結んだりしている。常田の打鍵も強く重くなっていく。その動作に衝動が――バンドの演奏に対する感情の昂りが表れているようだった。NHKホールといえば『NHK紅白歌合戦』ということで、MCの話題は、『紅白』初出演時の裏エピソード、生放送で大橋が緊張してしまう理由、今日は渋谷に2人のタクヤがいる(※代々木第一体育館で木村拓哉がライブをしていた)という話など。「僕らのヒット曲はあの曲とあの曲ぐらい」などと自虐を交えながら喋る大橋は常田から「楽しそうだね(笑)」と言われるほどテンションが高く、しまいには「何か分からんけど、すっごいおなかすいてきた!」と飾り気のない発言までし始めるほど。この日のMCはおよそ20分。ライブ盤にMC集のCDが付いているくらいだし、今日もとりとめのない話が続くとみんな分かっているのだろう、MCに入ると観客もサポートメンバーもスッと着席をする。
ライブの終盤に達してもなおバンドの勢いは衰えず、むしろみずみずしさを増していくばかり。大橋の歌声もよく伸びている。観客も特大のシンガロングや手拍子をし、場内の幸福感がどんどん膨れ上がっていった。「めちゃめちゃ声出てるね!」と観客を讃えるのは大橋。穏やかな表情で客席を見渡しうんうんと頷くのは常田。本編最後の曲では大橋が客席に下り、通路を練り歩いたり、上階の観客に手を振ったりしながら歌う。大橋が締めるまで曲が終わらないため、アウトロが長いこと続くが、その間ステージ上では、バンドメンバーが笑い合いながら有機的なセッションを繰り広げていた。アンコールでは、映画『2分の1の魔法』の吹替声優を務める志尊淳、城田優が登場。2人とともに同映画の日本版エンドソング=“全力少年”を演奏するサプライズがあった。ゲストが去ったあと、大橋は「全部(2人に)持っていかれた感じする(笑)」と言っていたが、次の曲の冒頭、ドラムのリズムのみであの曲だと察した人たちの上げた大歓声が「いやいや、そんなことないぞ」というみんなの気持ちを物語っていたように思う。そんなふうに、それぞれの曲の愛され具合、ステージと客席を結ぶ信頼関係の太さを感じられる場面がこの日たくさんあったのだ。
自らの曲をアップデートさせながら音楽の楽しさを伝えること。飾らず偽らずにステージに立つということ。それらの姿勢に基づいた観客との温かな関係性。「POPMAN’S CARNIVAL」とは、そういったスキマスイッチのライブの魅力を高濃度で堪能できる場所である。まだツアーも終わっていないのに気が早いかもしれないが、vol.3の開催も楽しみなところ。「もう終盤戦ですけど、ツアーがずっと続けばいいのにって思いますね」(大橋)という言葉からもこのツアーの手応え、そしてスキマスイッチの今現在の充実感を読み取ることができた。(蜂須賀ちなみ)
●セットリスト
0.POPMAN'S CARNIVALのテーマ2
1.ふれて未来を
2.ユリーカ
3.Revival
4.アイスクリーム シンドローム
5.時間の止め方
6.青春
7.雨待ち風
8.東京
9.小さな手
10.きみがいいなら
11.星のうつわ
12.キレイだ
13.スフィアの羽根
14.パーリー!パーリー!
15.全力少年
16.Ah Yeah!!
(アンコール)
EN1.全力少年
EN2.パラボラヴァ
EN3.未来花(ミライカ) for Anniversary