仙台→札幌→福岡→名古屋→大阪と、まだ5公演を残しているのでセット・リストの詳述は控えますが、1stブロックから一発KO狙いというか、容赦なくアッパー・チューンを畳み掛けていくUNCHAIN。ワンマン初日とはいえ3月からのライブ行脚でバンドのコンディションは十分にワームアップされていて、幾何学的ともいえる緻密なアンサンブルを時にクールに、時に熱情的にプレイしていく。オーディエンスも腕を力いっぱい突き上げて応戦。「ワンマンだけあって、今日はみんな味方やな(笑)」と谷川もすっかり顔をほころばせるアット・ホームなムードのもと、どこまでも一体感を高めていくBLITZであった。
ソフィスティケイティッドなサウンドで酔わせる一方、MCではタイムリーな新型インフル・ネタでひと盛り上がり(彼らの地元・大阪では店頭からマスクが消えていて、マスク代わりにブラジャーしてる人もいるとか……遅ればせながら、なにを言うとんねん!笑)。「音楽もね、人から人へ伝染していって……」と続ける谷川のロジックにはかなり無理があったけれど、「僕たちは音楽で世界を変えてやろうと思っているので、そんな気持ちを曲にしました」と力強いイントロダクションから中盤にはブランニューな新曲“Music”も披露(“make it glow”の系譜に連なるブライトなグッド・ソング!)。「OK、もっと踊ろうぜ! カモン!!」、「心を解放しろっ!」と曲中でもアドバンテージを取ってオーディエンスを引っ張っていく谷川には、フロントマンとしてどんどん覚醒していっていることを感じた。加えて、最後尾からバンドを支える吉田のドラミングも冴え渡っていて、時にトリッキーな妙技も交えながらパワフルかつ安定したフォームで疾走。新鋭ロック・バンドの中でも秀でたセンスとスキルを持ったドラマーのひとりだと思う。そんな貫禄と自信を増したバンド・パフォーマンスに駆られて、フロアの熱も右肩上がりに上昇。最高潮のテンションで本編はフィナーレを迎えた。
「パーリー! パーリー!!」と熱烈な掛け声に応えて、アンコールでもBLITZを再びダンス・ヘヴンと化してみせたUNCHAIN(最後はギター・佐藤の軽やかなバック転と共に盛大にフィニッシュ!)。この夏は昨年に続いて『ロック・イン・ジャパン・フェスティバル』に出演、そして「夏が終わった頃にはまたCDを出したい」(谷川)とのことなので、引き続きアンチェの動向に要注目!(奥村明裕)