【特集】HIKAGEが盟友たちとともに時代を切り拓く──史上最大キャパに挑戦したフリーイベント「HIKAGE Pre. P.H.S Vol.4」の熱狂をレポート!

【特集】HIKAGEが盟友たちとともに時代を切り拓く──史上最大キャパに挑戦したフリーイベント「HIKAGE Pre. P.H.S Vol.4」の熱狂をレポート!
遡ること約1年前──2025年8月22日、渋谷clubasia。HIKAGEのGEN(Vo)が、「来年7月、『P.H.S Vol.4』やります! 会場は……Zepp Shinjuku!」と宣言した時のざわめきと大歓声を今も覚えている。歓喜とともに、本当に可能なのか?という疑問が誰しもの頭に浮かんだだろう。しかし1年後、蓋を開けてみれば見事にソールドアウトを達成した。チケット代が無料とはいえ、倍以上のキャパシティを埋めるのは簡単なことではない。1年の間に、HIKAGE、See You SmilePromptsの3バンドがそれぞれの道を邁進して成長したからこそ掴んだ、揺るぎない「結果」である。

「P.H.S」は、HIKAGEが発起人となり、Prompts、See you smileとともに立ち上げたイベントだ。2023年に代官山UNITで始まった時から無料ライブとして開催され、2024年、2025年と歴史を重ねてきた。clubasiaでGENが「マジでみんなの協力が必要だから!」と叫んでいたが、3バンドの信念と、そこに賛同する観客──いや、仲間たちの存在がなければ生まれなかった歴史だ。
ひとつの到達点と言えるZepp Shinjukuには、バンドと仲間たちが作り上げるいつもと変わらない遊び場があり、同時に過去最大の熱狂が渦巻いていた。

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トップバッターを務めるのはPrompts。ステージ背面のビジョンとフロアを囲むLEDパネルに映像が映り、SFテイストな世界観でスタートした。解き放たれる爆音とともに、一気にバンドの世界観に引き込まれる。もともと映像演出にこだわってきた彼らだけに、クラブのような雰囲気もあるZepp Shinjukuとの相性は抜群だ。
いきなりモッシュピットとヘッドバンギングを大量発生させたメタルコアナンバー“Sun Eater”はもちろん、ダイナミックなグルーヴとメロディで包み込む“Drowing”や、壮大に広がっていくバラード“Death Of Me”と、最新EP『Parasite Dream』からの楽曲郡が光る。貪欲に進化し続けるヘヴィミュージックに圧倒された。
「最初は100人くらいだった」と「P.H.S」の歩みを振り返りつつ、ソールドアウトした会場に向かって「ここで新たな歴史が始まってることを見せつけようぜ!」とPK(Vo)。ラストはHIKAGEのISSEI(Dr)がゲスト参加しての“Edgerunner”で、堂々イベントの開幕を飾った。

十分に温まりきったところで、2番手のSee you smileが登場。「やっちゃうしかねえな!」というRui(Vo)の言葉を合図に、1曲目の“In and Out”から「SYS!」コールで会場を揺らす。“Y.D.S”、“Do It”と極上のポップパンクを立て続けに放ち、空気を自分たちの色に染めあげていった。
サークルピットで走り回る“Superman”や、全員で座ってから一斉にジャンプする“Shining”など、とにかく全力で一緒に楽しむのがSee you smile流。歌ったり踊ったり自由なムードに、ステージにもフロアにも笑顔が広がっていく。
ダンサブルなハードロック“Smoking Kills”でHIKAGEのYASUI(G)とWataru(B)がゲスト参加するなど、パーティーは加速する一方。そんなフロアを見渡しながら、Ruiが「自分のことを信じて、みんなのことを信じてやっていきますんで、ついてきてください。デカい夢語っていこうぜ! この3バンドならできる!」と叫ぶ。まだまだ先へ行くのだという「夢」を共有して全員で歌う“The Anthem”が眩しかった。

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2組の熱演を受け、ついにHIKAGEがステージへ。HIKAGEは、4月に『human. EP』をリリースし、直後に開始したロングツアーの真っ最中だ。昨年完成させた1stフルアルバム『True Colors』から、『human. EP』でさらに幅広い音楽性と表現領域に踏み込んでみせた彼ら。昨年の「P.H.S」より確実にレベルアップしたことを証明するべく、早速『human. EP』収録の“raw”で口火を切った。
ドラムンベースをフィーチャーしたけたたましいビートと、そこに重なるGENの攻撃的な日本語詞が刺さる。バンドが前のめりに生み出すヘヴィな音圧だけでなく、生々しい感情が乗って完成するラウドロック。リリックをデザインしたスタイリッシュな映像との相乗効果もあり、瞬く間にオーディエンスの心と体を掴んでいく。
ISSEIとWataruの鉄壁のリズム隊が牽引する“F.P.P”。PromptsのサポートとSee You Smileへのゲスト参加で本日3ステージ目のYASUIが一歩前に出てリフを刻めば、負けじとHalki(G)の音も暴れ回る“Before Sunrise”。5人の放つ気迫から、「P.H.S」の主催者としての覚悟が伝わってきた。

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「俺たちに興味を持って、ライブハウスに遊びに来てくれてありがとうございます!」と感謝しつつ、後方まで熱が立ちこめたフロアに向き合って「Zepp、小っちぇーな!」とGENがニヤリ。冒頭数曲ですっかり会場を掌握していた彼らだが、ここからさらに大きなスケールへと展開していくことになる。

まずは、ミュージックビデオを公開したばかりの最新曲“Sanctuary”。バウンシーなミクスチャーサウンドで踊らせ、新曲とは思えない盛り上がりを見せる。メンバーをモチーフにしたダークポップなアニメーションの映像も新鮮だ。
そのままなだれ込んだ“YAIBA feat.タナカユーキ(SPARK!!SOUND!!SHOW!!)”では、タナカユーキがサプライズ登場! GENとともに《不味い飯食って良い音楽やる》のパンチラインを放ち、兄貴分としてイベントに毒々しい華を添えた。続く“傷”も“YAIBA〜”と同様ジャパニーズハードコアのパッションを孕んだ楽曲で、約1年前に発表され、前回の「P.H.S」で新しい起爆剤となっていた印象が強い。当時はチャレンジングに感じた2曲が今やキラーチューンとして定着し、これほどの威力を持ってライブで轟いているとは。バンドとオーディエンスで磨き上げてきた賜物だ。

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一方、この先もっと育っていくに違いないと確信したのは、やはり『human. EP』の楽曲たちだ。淡く儚げな映像を経て始まった“tiny flower”は、シューゲイズのアプローチを取り入れた意欲的な1曲。YASUIとHalkiが掻き鳴らすギターの轟音と、GENが歌い上げるメロディが伸びやかに響く。
先ほどまでの個々がぶつかり合うような尖ったアンサンブルではなく、5人が一体となって練り上げるグルーヴが心地よい。かつてない没入感と表現力に驚かされた。“YAIBA~”や“傷”の成功例をベースに広げていくのではなく、まったく違う方向で挑戦を続けるHIKAGEの貪欲さに脱帽だ。
とはいえ、《2026 誰かを叩きゃ救われる?/2026 疑似経験で語るあいつ》と時代を切り取ったGENの歌詞はどこまでもリアルで、音楽性は違えど芯は変わらないことがわかる。だからこそ、オーディエンスもHIKAGEの新しいサウンドを受け入れられるのだろう。グルーヴに身を委ねてモッシュする人もいれば、手を差し伸べて歌と共鳴する人、立ち尽くして浸る人など、いろいろなスタイルで楽しんでいるのが印象的だった。

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「北海道のクソ田舎で生まれた俺が、大都会のド真ん中のZeppでこんな光景が見れるとは思ってませんでした。ほんとにありがとうございます」と感極まった表情のGEN。「もっと高みを目指して、前へ進んでいきたい」と決意を語ったあと、「True Colors Records」をインディーズレーベルとして立ち上げること、第1弾作品として『human. EP [deluxe]』をタワーレコード限定でフィジカルリリースすることが発表された。大歓声で讃えるオーディエンスを真っすぐ見つめ、GENが赤裸々に叫ぶ。
「インディーズバンドにはみんなの力が必要です。俺たちの音楽は、必ずこうやって目の前に人がいなきゃ成り立たない。だから、おまえらの声とその拳を貸してくれませんか! 一緒に音楽やろうぜ!」
現実は、理想だけでは立ち行かない。でも、「仲間がいれば進んでいける」という「理想」は紛うことなき真実だ。HIKAGEは今までもずっと、仲間を増やしながら、鼓舞し合って一歩一歩進んできたのだから。

誰しもの背中を押すエネルギーに満ちた“CALLING”を挟み、最後に贈られたのは“human.” だった。絶叫とブラストビートで爆走するポストハードコアから、美しいメロディパートへと繋がり、降り注ぐ音に包み込まれる。

《今でも痛いけど でもまだ愛したい/この世界を歌ってる》
《迷いながら 間違いながら/君の声も 連れていくよ》

GENの歌声にメンバーのコーラスと観客のシンガロングも加わって、“human.”という曲が完成していく。優しくピースフルな空気を残し、「P.H.S Vol.4」は幕を下ろした。

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変わらない絆を武器に辿り着いた、1年前とはまったく違う光景。成し遂げた最大動員記録。この一夜が「P.H.S」という物語のハイライトシーンになることは間違いないが、まだエンディングではない。この場所を新たなスタートラインとして3バンドはそれぞれの道へ歩き出す。再び集まるその日まで。

「大赤字です!(笑)」とオチをつけてステージを降りたHIKAGEは、『human. EP』をひっさげた全国ツアーの後半戦へ旅立った。並行しての対バンライブやフェス出演に加え、10月には「human. TOUR 2026 FINAL SERIES」と銘打った東名阪のCLUB QUATTROを回るツアーも控えている。休む暇もなく全国を駆け回るインディーズバンドは、きっとあなたの住む街の近くにも現れるはずだ。彼らの生き様を、ぜひあなたの目で目撃してほしい。(後藤寛子)

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●セットリスト
HIKAGE Pre. P.H.S Vol.4
2026.7.2 Zepp Shinjuku (TOKYO)

01.raw
02.F.P.P
03.Before Sunrise
04.Sanctuary
05.YAIBA feat.タナカユーキ(SPARK!!SOUND!!SHOW!!)
06.傷
07.tiny flower
08.CALLING
09.human.

●リリース情報

human. EP [deluxe]

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10月7日(水)タワーレコード限定発売

●ツアー情報
提供:HIKAGE / True Colors Records
企画・制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部

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