HIKAGEが発起人となり、
Prompts、
See You Smileとともに立ち上げたフリーイベント「HIKAGE Pre. P.H.S Vol.4」を、史上最大規模となるZepp Shinjukuで成功させたHIKAGE。その場で自主レーベル「True Colors Records」の立ち上げを発表するなど、自分たちの意思で居場所を切り拓いている。
変化を恐れず挑戦し続ける姿勢は、バンドのスタンスだけではない。新世代のラウドミクスチャーを確立した1stアルバム『True Colors』に続き、今年リリースされた『human. EP』では、シューゲイズやドリームポップ要素を取り入れ、壮大で叙情的な世界を作り上げてみせた。さらに、「サブスク配信なし」を掲げた最新曲“Sanctuary”で、進化した生々しいグルーヴと攻撃性を提示。ダーク&ポップなアニメーションのミュージックビデオにもこだわりが詰まっている。独自の道を進むHIKAGEの原動力はどこにあるのか? 刺激的な新曲群をひっさげて全国ツアー敢行中の5人に、現在地を語ってもらった。
インタビュー=後藤寛子
後ろにいる人たちの気持ちも感じられて、しっかり届いている感覚があった(GEN)
──「HIKAGE Pre. P.H.S Vol.4」の手応えはいかがでしたか?GEN(Vo) clubasiaからZeppに行くのは大きな挑戦だったし、ソールドしているとはいえチケットは無料なので、実際開演するまではどれだけの人が来てくれるのかわからなかったんですよ。でも、蓋を開けたら本当にたくさん来てくれていて、この1年で興味を持ってくれる人がこんなに増えたんだと実感できて嬉しかったです。
ISSEI(Dr) とにかく1年かけて準備してきたので、無事に終わってホッとしました(笑)。この規模の自主企画は初めてだから、勝手がわからなくて大変だったんですけど、結果的に大成功で終われて本当によかった。
Wataru(B) 同世代3バンドが集まって、東京のZeppで自主企画イベントをやれるとは、地元の札幌にいた頃は考えたこともなかったので、誇らしいなという感動がありました。
Halki(G) Zeppで初めての自主企画ということで、始まる前までは緊張していたんですけど、始まってしまえばいつも通り楽しむだけでしたね。背景の映像とか、普段見せられない一面も見せられてよかったです。
YASUI(G) 映像込みでライブをやってみて、普段よりもっと深く曲のメッセージを伝えられたように感じました。個人的には⋯⋯この1年間のライブ量や、メンバー全員で音楽にコミットしてきた熱量は、3バンドの中でHIKAGEがいちばんだと自負しているので。See You Smileにも、自分が(メンバーとして)所属しているPromptsにも、背中を見せられたらと思っていました。だから、達成感はありつつも、これからはこの規模で普通にできるようにしていかないといけないなという気持ちです。
──映像演出も含めて、Zeppのスケール感がバンドに見合っている印象でした。フェスなどではもっと大きいステージも経験していますし、Zeppのサイズ感は無理なく使いこなせている手応えがあったんじゃないですか?GEN そうですね。確かに、直近でも「DEAD POP FESTiVAL」や「BLARE FEST.」に出させてもらっているので、キャパ的には違和感はなかったです。でも、「P.H.S Vol.4」ではお客さんのレスポンスがすごく伝わってきて、フェスとちょっと違う感じがしたかもしれないです。後ろにいる人たちの気持ちも感じられたというか、しっかり届いている感覚がありました。ここでワンマンもできるんじゃないかっていうビジョンが見えましたね。

photo by oct osawa

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新譜をリリースするからには、絶対に何かひとつは新しい要素を入れないと、同じことのアップデートだけでは意味がない(YASUI)
──自主レーベル「True Colors Records」を立ち上げた経緯は?GEN 「True Colors Records」という名前自体は以前から使っていたんですけど、これからも自分たちの自由な表現を続けていく土台として、自主レーベルというかたちで提示することにしました。基本的なスタンスは変わらないです。フィジカルリリースは会場限定でやることが多かったんですけど、レーベルの第1弾作品として、『human. EP [deluxe]』を初めてタワーレコード限定で置いてもらえることになったので、気合いを入れて挑みたいなと思っていますね。やっぱり、CDを手に取って聴いてほしいんですよ。今は配信がメインになって、みんなどんどん新しいものを求める状態になっているけど、ちゃんと時間をかけて作った作品を手に取って大切にしてほしいという気持ちがあります。
──改めて『human. EP』を振り返ると、前作『True Colors』とはガラッと変わり、シューゲイズやドリームポップの要素を取り入れた作品になっていて。Zeppでも、特に『human. EP』の曲のスケール感が会場に映えていましたね。YASUI そうですね。でも、大きい場所でやるためとか、聴かせる曲を作りたいというビジョンがあったわけではなくて。EPを作っていた時にハマっていた音楽と、その時の感情に合うのがそういうジャンルだったんです。ちょうどいいタイミングで大きい会場のライブがあって、しっかり映像つきでやることができてラッキーでした。
ただ、新譜をリリースするからには、絶対に何かひとつは新しい要素を入れないと、同じことのアップデートだけでは意味がないと思っています。大先輩のバンドを見ていると、キャリアを重ねるほど、そのバンドの王道的な曲が求められるようになっていて。キラーチューンがあるのはめっちゃかっこいいんですけど、若いうちからそれを意識すると作曲がつまらなくなるじゃないですか。もしかしたら軸のないバンドと受け取られるかもしれないけど、今はとにかくその時好きなものをもとに書いたほうが、後々「HIKAGEらしさ」みたいなものに縛られなくて済むんじゃないかなと。
──いざ挑戦してみていかがでしたか?Wataru 自分で聴くことはありましたけど、ベースは目立たないジャンルなので(笑)、自分がやるとは思っていなかったです。でも、実際にライブで弾いたらめっちゃ気持ちいいことに気づきました。特にZeppみたいな大きい会場だとすごく気持ちよかったですね。
ISSEI 僕としては得意な方面だったので、最初から楽しかったです。“human.”のブラストだけは絶望しましたけど(笑)、最近は馴染んできて、ライブも楽しいです。(オーディエンスの)表情を見てもしっかり伝わっているのがわかって、感極まりますね。大きい会場もよかったですけど、個人的には狭い会場でやるとより伝わってきてグッときます。
Halki シンプルにコードを弾き続ける曲が多い分、コーラスで参加するパートが増えて、HIKAGEの中での新しい立ち位置を見つけるきっかけになりました。あと、ライブ中にメンバーと目を合わせられる機会が増えましたね。
YASUI 音数が少ないから、ライブ中にメンバー同士で心を通わせるほうに労力を割けて。
GEN そこは変わったところだよね。