monobright @ SHIBUYA-AX

monobright @ SHIBUYA-AX
monobright @ SHIBUYA-AX
一瞬、ここは武道館か!? と疑ってしまった。SHIBUYA-AXでこんな凝った登場の仕方は初めて見た。

monobrightの脱皮作となったアルバム『monobright two』を携えてのツアー『monobright LIVE TOUR ブライトンロック2009 〜NIPPON TWO-LLING〜』のファイナル公演。アルバムのオープニングを飾る4つ打ちダンス・ナンバー“SGS”をSEに、なんとステージ後方に設置された高台に中央から1人ずつ現れたのだ。4人が横一列に並ぶと会場からは歓喜の声が沸き起こり(桃野があまりにキメキメなポーズを取るもんだから、若干笑いも混じりつつ…)、高台の左右にある階段からそれぞれステージに下りて定位置についた。「おはようございます! monobrightです!」と、桃野がいつもの調子で挨拶すると“踊る脳”でライブはスタート! 初っ端から変態度200%で飛ばしまくり、フロアをかき回す。

それにしても4人の堂々たる出で立ちは本当に頼もしい。昨年、赤坂BLITZでのワンマンでは若干の緊張もあったり、色々な仕掛けや飛び道具的な見せ場などがあったりしたが、今回は最初の登場で仕掛けがあった以外は、ほぼ真っ向勝負で4人が演奏に没頭し、monobrightというバンドにそれぞれが向き合っていたように思う。アルバム『monobright two』を完成させ、白ポロシャツ/メガネ/黒ジーンズからの脱皮により、成虫へと成長し自由に羽ばたいている4人の姿は逞しかった。

「『monobright two』の世界をお見せしてもいいですか?」と、甘酸っぱさ漂う爽やかなナンバー“あの透明感と少年”、アコギで奏でられる生々しい性描写が哀愁漂う“物語”、サビのコーラスが印象的なストレートなポップソング“The2”と立て続けにアルバムからの曲を披露。この3曲だけを聴いても分かるように、これまでのmonobrightの殻を破ったかのような自由度を増した楽曲のバリエーションが素晴らしい。そんな、カラフル・モードに突入した彼らが、白ポロ時代のことをすでに懐かしく思っているのが面白かった。「今回のツアーで脱皮という名の、ポロシャツを脱ぐ作業を行ったんですよ。白ポロなんて思い出深いなー。気持ち的には96年前くらいから? あんな良い曲いっぱい作ったなっていう自画自賛的ナンバーをメドレーにしました!」と言って始まったのは、全7曲を約10分でダイジェストにしたメドレー・タイム! 松下の弾けるギターフレーズから始まる“20th Century Lover’s Orchestra”で幕を開け、これまでにリリースされたアルバム『monobright zero』『monobright one』からの楽曲やシングルのカップリング曲といったワンマンでしか聴けないような楽曲のいいとこ取りを次々と繰り出していった。メドレーの最後は再び“20th Century Lover’s Orchestra”で締めくくられ、脱皮前の隠れた名曲を一気に堪能できるという粋な計らいだった。

その後に語られた桃野の「上京物語」が最高にとっ散らかっていて、最高に身に沁みて、最高に面白かった。上京前夜の桃野の妄想劇場はどんどん膨らんでいき、不安と期待に苛まれた桃野の頭の中の状況を音にすると…それは、“歌と僕との妄想”の妖しく揺れる松下のギターフレーズだった。思春期特有の不安や焦燥感、自らの存在意義を問う歌“涙色フラストレーション”、そして、アコースティック・ギターで爪弾かれた前半から、バンドが加わって壮大な展開を見せた“別の海”で完全に桃野の青春時代にフラッシュバックしたかのような感覚に。バラードに溶け込む松下の轟音ギターが涙腺を緩ませる。「楽曲を表現する」という点で、これまで以上に真摯に楽曲を向き合い、高度な表現力を身につけたことを教えてくれる。

「音楽っちゅうのはダンス・ミュージックなんじゃないかと思うわけですよ」と、ダンスについて熱く桃野が語り出した。桃野が思うダンスを思いつきで後方の高台に上ってゆらゆら〜と踊ってみては会場&メンバーからは失笑を買ってしまうという相変わらずなグダグダ感も含めて、「やっぱりmonobrightはこうでなくちゃ!」と思えてしまうところがいい。「はっきり言って今までのmonobrightはウソ! ここからが本当のmonobrightだーーーー!」と叫び、ニュー・アルバムからのダンス・チューンをノンストップで放出。“SGS”で会場はダンスフロアと化し、手を挙げて踊り狂うオーディエンスが続出。そのまま“頭の中のSOS”へと雪崩れ込み天井にはミラーボールが出現! フロアの熱量が最高潮に達した時、桃野は「今日は最高だーーー!」と叫んだ。達成感と野望に満ちた叫びだった。

アンコールでは、なんと重大発表が飛び出した。10月18日(日)に日比谷野外大音楽堂にてワンマン・ライブが決定したという告知が! 「今年の俺たちは容赦ないぜ!」と破竹の勢いで駆け抜けていくmonobright。見事な脱皮の次は何を見せてくれるのか、野音が楽しみで仕方がない!(阿部英理子)

1.踊る脳
2.週末アンセム
3.WARP
4.あの透明感と少年
5.物語
6.The2

7.20th Century Lover’s Orchestra
8.バタフライングリップス
9.魔法のライター
10.道標側ソウル
11.少年 in the sun
12.優しさが丘の画家
13.music number
14.20th Century Lover’s Orchestra
(※7〜14までメドレー)

15.歌と僕との妄想
16.涙色フラストレーション
17.別の海
18.モーニングスターター
19.ヒーローヤング
20.SGS
21.頭の中のSOS
22.アナタMAGIC
23.music wonder

アンコール
24.未完成ライオット
25.紅色ver.2
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