ウルフルズ @ 大阪・万博記念公園

ウルフルズ @ 大阪・万博記念公園
ウルフルズ @ 大阪・万博記念公園
しつこく私のブログでも実況しましたが、ウルフルズ、活動休止前最後のライブ、毎年恒例「ヤッサ!」2デイズの2日目。とりあえず最後だけあって、ぎっしり満員、2万人くらい。
あ、2万人というのは、トータスがMCで言っていた数です。あと、その「とりあえず最後」という言い方も、トータスによるものです。MCで、最初は普通に「最後」って言ってたんだけど、その度にお客さんたちからものすごい遺憾の意を表明されて、途中から「とりあえず」って付けるように切り替えていました。
その、「とりあえず最後」のライブ、セットリストはこんな感じでした。もう、ベスト・オブ・ベストみたいな曲の並び。

1.ウルフルズA・A・Pのテーマ
2.愛がなくちゃ
3.事件だッ!
4.ホンキーマン
5.サンキュー・フォー・ザ・ミュージック
6.ダメなものはダメ
7.バンザイ〜好きでよかった〜
8.あったかい
9.ワルツ
10.あの娘にあいたい
11.まいどハッピー
12.いつも元気
13.サムライソウル
14.あついのがすき
15.それが答えだ!
16.大阪ストラット
17.暴れだす
18.笑えれば
19.ええねん
20.ガッツだぜ!!

アンコール1
21.やぶれかぶれ
22.愛撫ガッチュー

アンコール2
23.SUN SUN SUN‘95
24.いい女

そして、「とりあえず最後」だけあって、仕掛けや演出、その他もろもろ、いろいろあったライブでした。覚えてること、箇条書きにします。

●まずオープニング。大阪万博のテーマ曲……「世界の国からこんにちは」ってタイトルだっけ、違ったっけ、ほら三波春夫が歌う、「♪こんにちは こんにちは 世界の国から」っていうあれです。あれがかかって、画面には過去の「ヤッサ!」のダイジェスト映像が映し出され、それを観ていたらステージ下手柵前からウルフルケイスケ、ジョンB、サンコンがそれぞれ御輿に乗って登場、歓声を浴びつつ、みんなににこやかに手を振りつつ、場内の通路をぐるーっと練り歩いてからステージに立つ。
と、いつの間にかセンターステージにチアリーダーたちが出現していて、あの“A・A・Pのテーマ”の頭のかけ声&ダンスをやったと思ったら、そのチアリーダーたちの中からトータスが現れ、曲になだれこむ。さっきまで御輿をかついでいた女の子たちも、ステージ両袖からダンサーとして総登場、踊りまくる! という、始まり方でした。
なお、この、やたらめったら人数の多いダンサーズは、“それが答えだ!”や、“SUN SUN SUN ‘95”の時にも登場、大いに盛り上げてくれました。

●8曲目と14曲目は、ウルフルズの「とりあえず最後」(しつこい)の新曲です。前者は、あの、シチューのCMの曲ね。この『ヤッサ!』、DVDになって11月11日にリリースされるそうで、そのDVDはCDとの合体商品だそうで、そのCDに入っているのがこの2曲だそうです。どっちも、しみじみと、とてもよい曲です。

●“ダメなものはダメ”の、ケーヤンとジョンBの「花柄のシャツや思うたらおかんのムームーやった」で終わるおなじみの掛け合い、久々に観ました。なお、ケーヤン、後半で台詞をかんでしまい、最後のMCでジョンBに「あそこ一番かんだらダメなとこですよ」と責められていました。

●8曲目から13曲目までは、サポート・キーボードの伊東ミキオミッキーFROM熊本(といつもトータスは紹介する)を除くメンバー4人だけで、センターステージに移ってプレイ。8曲目の“あったかい”は、トータス、ピアノを弾きながら熱唱。
“ワルツ”あたりの軽妙な感じもよかったが、個人的には後半の“いつも元気”“サムライソウル”のトータスのものっすごいボーカリゼーションが、ちょっと、鳥肌もんでした。

●“大阪ストラット”の曲中での、おなじみのメンバー紹介(今日はこの曲でした、過去、“今夜どう?”でやる時も多かったけど)。「ケケ、ケーヤン」「ササ、サンコン」と、お客さんにメンバーの名前をコールさせる、お約束のあれです。ここでケーヤンが阪神のユニフォーム&キャップに着替えて“六甲おろし”を熱唱、甲子園そのままに会場からロケット風船が飛びまくる、というのが例年の光景でしたが、今年はインフルエンザ流行のためロケット風船は自粛に(甲子園でもそうなっているそうです)。ケーヤンがひとりで飛ばしておられました。その瞬間、画面には、過去の『ヤッサ!』での、ロケット風船が飛びまくる映像が映し出されました。

総じて、みんなが聴きたい曲を、みんなが期待する全力のパフォーマンスでやりきった、本当にすばらしいライブだった。「とりあえず最後」の重圧や、万感の思いや、その他いろんなものに、メンバー全員、負けてなかった。で、そこから逃げてもいなかった。それらをすべて正面から受け止めて、全身全霊でもって投げ返していた、そんなライブだった。
だから、すごく感動的だったし、その分、感傷的でもあった。ラストのへん、ケーヤン、がまんできずに泣いているように見えた瞬間もあったし(実際どうかはわからず)、トータスもあったし(同じくわからず)、伊東ミキオもあった(同じく)。
あと、これはお客さんには関係ないけど、「とりあえず最後」だけあって、過去のスタッフも大集結していた。歴代のマネージャー、歴代のディレクター、歴代の宣伝担当、みんな大阪まで来ている。知り合いだらけ。なんか、ウルフルズに関わった人たちの同窓会、みたいなことになっていた。
というのも、こっちの感傷に拍車をかける。1曲1曲で、トータスがシャウトするたび、ケーヤンがソロをキメるたび、「ああ、この曲のこの部分、生で観て聴けることはもう当分ないのかあ」とか、いちいち思ってしまう。

今この瞬間は楽しくて幸せだけど、やっぱり休止はどうしようもなく悲しい。いつかまたきっと戻ってきてほしい、戻ってきてくれるよね、この4人とミッキーで、ステージに立ってくれるよね。終始、そんな空気が会場を支配していた。
当然だ。悪いことでもなんでもない。事実僕も、完全にそういう気分で観ていた。俺は基本的にこの休止に一切否定的な意見を持っていないんだから、せめて今日ぐらいそういう気分にひたらせてもらってもいいだろう、という、開き直りもあった。
しかし。それだけでは、がまんならない人もいるのだ。言うまでもないが、トータスだ。

2度目のアンコールのラスト、“いい女”をやる前、メンバー一人ずつ順番に、最後のMC。みんな、「また会おう」「いつかまた」というニュアンスのことを、口にした。サポートの、伊東ミキオミッキー、元グラウンド・ナッツで元セイリン・シューズ(といつもトータスは紹介しない。今日もしなかった。ただ僕が書いただけ)も、同じだった。
しかし、最後にトータスは、こういうような内容のことを言った。

うかつに「また会おう」とは、言えない。そんなん言えるくらいだったら、休止なんかしない、こんなにすごいバンドなのに。
でも、休止しないともう無理だから、休止するんだ。この先、またあるのか、ないのかはわからない。
でも、この休止は、ただの終わりじゃなくて、新しい始まりなんだと俺は思っている。それは、それぞれの始まりでもあるし、新しいウルフルズの始まりでもある。だから、期待してほしい。俺もめちゃめちゃ楽しみにしている。

「とりあえず最後のライブ」では、わざわざ言わなくてよかったことかもしれない。「またいつかね」「いつかきっとね」みたいなことを言って、終わっておけばよかったのかもしれない。
でも、長い付き合いのファンはみんなわかっているだろうが、心底トータスはこういう奴なのだ。頑固で、融通がきかなくて、本当に自分が思っていることを伝えないと気がすまなくて、「いいじゃん、ここはみんな感傷的ないい気分でいったん終わっておけば」という理屈が、通用しない奴なのだ。
つまり、ちょっとどうかと思うほど、バカ正直で、誠実な奴だ、ということだ。

そもそも、だからウルフルズは休止するのだとも言える。たとえ自分が今やっていることに納得がいっていなくても、「もっとやれるはずなのにやれていない」ってことがわかっていても、「まあまあ、それはそれとして」とか言いながらバンドを続けることができない奴だから、休止するのだ。自分やメンバーの生活のために、あるいは「終わる」「止まる」ことの恐怖を避けるために、とりあえず続ける、という選択肢もあったと思う。それができないのだ。そのことがファンを悲しませる結果になったのは事実だが、そんな作品やライブを生み出し続けるような、自分とファンと音楽に不誠実な行為をすることが、どうしても、がまんならない奴なのだってことだ、つまりは。
そんな奴の、そんな意志による決断を、どうするか。ファンなら、受け入れるしかないと思う。

“いい女”のエンディングの、トータスが去って曲が終わったと思ったら、また始まってケーヤンが「もう一回トータスに会いたいか! みんなの力でトータスを呼んでくれ!」って、「トータス」コールを求めて、またトータスが登場。っていう、ジェームズ・ブラウン・スタイルの、お約束の、もう何回観たかわからないあれ。今日は、あれを4回やって、曲が終わった。
そのあと、メンバー4人とミッキーで、ステージの両端まで行ってお辞儀をして、最後にセンターステージの先まで行って、ダンサーも全員登場して、みんなでウェーブみたいな一礼をした。と思ったら、ステージの上に花火が上がって、メンバー・ダンサー・お客さんみんなでそれを観て、それが終わったら大量にスタッフが走り出てきて、メンバーを胴上げして、約3時間半に及ぶライブのすべてが終わった。

終演後、楽屋挨拶に行った。ジョンBには会えなかったが、あとの3人には挨拶できた。サンコンは、やはり感無量な感じで、ギュッと握手した。俺の顔を見たらフラワーカンパニーズの話をすればいいと思っているフシがあるケーヤンは、「あの『深夜高速』カバーアルバム、むっちゃええなあ」と、「あんたなにも今この時にそんな話しなくても」みたいなことを、口走っていた。
トータスは、ひとこと、「長いことずっと応援してくれてありがとう!」と言った。
なんか、その言い方が終わりっぽくて気に入らなかったので、というか、「あんたさっき始まりだとか言ってたじゃん」とカチンときたので、「いや、これからでしょ、これから」と答えて、帰路につきました。
そして今、東京へ向かうのぞみの中で、これを書き終えました。これからです、これから。(兵庫慎司)
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