ACIDMAN@日本武道館

ACIDMAN@日本武道館
ACIDMAN@日本武道館
序盤にドラマーのイチゴ(なぜメンバー名表記がカタカナなのかは後述します)が「こんな年の瀬の平日にお集まり頂いてありがとうございます!高望みしちゃいますよー。今まで観た武道館ライブの中で、最高のステージにしませんか皆さん!」などと不敵にも煽り立てていたけれど、あながちそれがビッグ・マウスとも取れないような素晴らしいライブだった。新作アルバム・ツアーとしても見事な内容だったし、「ACIDMANのライブ」としても完璧だった。つまり、09年の彼らの足取りを総括し、同時にACIDMANがACIDMANであることの存在意義を、その場に居合わせたオーディエンスの存在とともに分かち合うようなライブだったのだ。

オープニングSEにアルバムの導入部でもあった“A beautiful greed(introduction)”を用いてシンプルなステージに姿を現した3人は、そのままアルバムの流れどおり“±0”から演奏をスタートさせた。ここが武道館であることを一瞬忘れさせるような、空間を一瞬で埋め尽くす音圧で聴く者に迫る。別に今に始まったことではないが、だからこそ、ACIDMANは最初から、これぐらいの規模で鳴るロック・サウンドをまるで逆算するように、デザインして生み出してきたのではないかと考えてしまうのである。

ステージの上方、高い位置に、3人の表情を捉えるカメラ映像が映し出されたスクリーンがあって、更にステージ奥の一面には、楽曲ごとにそれぞれ異なったイメージ映像やCGアニメーションが映し出されている。「音と光」の相乗効果が生み出すものもまた魅力的な彼らのライブ・パフォーマンスだが、今回は一見シンプルなように見えてかなり凝ったものになっていた。イチゴのドラム・ソロでスタートしてoiコールとハンド・クラップを巻き起こした“FREE STAR”では、会場の宙空でミラーボールが煌めく。この光がドーム型をした武道館の天井に映り込んで、まるでプラネタリウムみたいで素晴らしく奇麗なのだ。徹底してクリアに制御されたサウンドでACIDMANならではの静謐な音世界を披露しつつ、“星のひとひら”でのオーロラと星空や、“ファンタジア”でのPVを更に拡大解釈したような壮大なCGアニメなど、視覚的にもその世界観を叩き付けて来る。

「今回のツアーで久しぶりにやっている曲があって、この曲はメロディが出来たときに、何か懐かしいような、どこかで聴いたことがあるような、そういう感じがしました。俺たちも、みんなも、空気も全部、宇宙が始まったときはひとつだったんだよね。」とオオキが語り、そして歌い出したのは“銀河の街”だ。歌は、音楽は、どこから生まれてどこへ行くのだろうか。奇跡的にタイムレスな力を持ったメロディに触れると、そんなことを思うことがある。そしてバンドはインスト曲でイマジネーションの世界を押し広げ、オオキの穏やかな英語詞の歌が耳を劈くような轟音に取って代わられる“HUM”へと傾れ込んでいった。

「えー、ディープな、オオキが心を込めて歌った曲のあとに、ペラッペラな、僕のトークの時間がやってきてしまいました。いつもライブ終わった後に確認とかの意味で録った音を聴くんですけど、自分のMCを聴くのは、地獄です」。とイチゴ。「いいから早く先に行けよ、長いんだから」と突っ込むのはサトマである。「自分の姓名判断における国際基準での運勢の悪さについて考えた結果、今回のツアーのアンケートで改名の案を募集しました。漢字の浦山一吾とはお別れです。皆さんありがとう!今日からはカタカナのウラヤマ イチゴです!アンケートの項目で、ふざけてウラヤマ テンピュールに入れる人が多くて。ツアー中盤まではウラヤマ テンピュールになりそうだったんだけど。僅差でウラヤマ イチゴに決定です」。「ってことは、俺らもカタカナに戻さなきゃいけないよね?いや、バンド愛だよ」。オオキ、美しく締めた。そういうわけで、カタカナ表記でレポートしております。

この後さらに笑える話題があったのだが、今回のライブはいずれDVD化される予定であり、それの特典映像について触れるものだったので、割愛します。DVDをお楽しみに。「はい、おフザケはここまで!」とか急に言われても、その話が面白過ぎて“I stand free”に集中できない。今回のライブ唯一の失態だと思う。が、ここから終盤にかけてのアンセミックなアッパー・チューンの固め撃ちは、真に凄まじいものだった。

「形あるものは終わる。それはこの3次元のルールで、何が大事なのかわからなくなるときがあるけど、でも、だからこそ、やっぱり今を全力で生きるってことが、すべての生き物にとって一番大切なことだと思います。“OVER”っていうこの曲のタイトルは、終わり、っていう意味もあるけど、その向こう側へ、という意味でもあります」。本編最後の曲が終盤に差し掛かり、ステージ奥の白幕が上がって姿を現したのは、女性ストリングス隊だ。美しく荘厳なハーモニーと、オーディエンスの温かなクラップが、オオキの歌を支えている。

「こんな曲が日本のシーンにあってもいいんじゃないかな?」というオオキの言葉に続いて、アンコールの最後に披露されたのは“廻る、巡る、その核へ”だった。バンドの演奏が突然の轟音へとシフトする瞬間にも、音とリンクして激しく蠢き出す神秘的な映像。それはまるで、ロックの定型を越えたところで生命の迸りを描き出そうとする、ACIDMANそのもののようであった。(小池宏和)

セットリスト
1.±0
2.world symphony
3.Who are you!
4.Bright&Right
5.FREE STAR
6.color of the wind
7.スロウレイン
8.星のひとひら
9.ファンタジア
10.銀河の街
11.ucess(inst.).
12.Slow View
13.HUM
14.I stand free
15.Under the rain
16.CARVE WITH THE SENSE
17.造化が笑う
18.飛光
19.OVER

アンコール
20.赤燈
21.ある照明
22.Your song

アンコール2
23.廻る、巡る、その核へ
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