LITE @ 渋谷クラブクアトロ

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ライブ中のMCで武田(G)が語っていたように、今回のツアー終了後の3月より、盟友マイク・ワットと共に2度目のアメリカ西海岸ツアーへ向かうことが決定しており、日本をしばし離れることとなったLITE。昨年12月よりスタートしたレコ発ツアー『LITE「Turns Red」Release tour』のツアーファイナル、会場は渋谷クラブクアトロ。昨年10月の『Turns Red EP』リリース後、リリースパーティやライブイベントの出演はあったが、東京でのワンマンは意外にも約1年半ぶりである。暗転したステージにメンバー4人がゆっくりと登場。1年半ぶりの東京のワンマン、LITEが選んだ1曲目は武田のギター・アルペジオで始まる“I Miss Seeing All”だった。柔らかなオープニングだが、徐々にツイン・ギターとベースの単音フレーズが幾何学的に折り重なっていくと、緊張感の高い音の塊が瞬時に会場を包み込んでゆく。2本のギター、ベース、ドラムの音は、それぞれが拮抗しながらもそれぞれが突出することはなく、弦、タム、ハイハットが鳴らされるたびに空気振動が聞こえてきそうなほど一音一音がクリアに響いてくる。それに集中していると、転調を重ね、めまぐるしく変化する曲展開にあっという間に取り残されてしまう。だから、彼らの音楽を真正面から受け止めるにはすごく集中力がいるのだけど、催眠術のように反復される各楽器のフレーズを聴いていると、少しずつ脳内でストーリーが構築されては転調と同時に解体され、その繰り返しが聴き手の想像力を高め、刺激し、無意識のうちに体が揺さぶられていく。ある意味ミニマル・ミュージックやテクノのロジックにも当てはまるLITEの音楽は、やはり他のポスト・ロックやインストバンドと一線を画している。武田が「思いのほか飛ばしすぎました」と挨拶代わりの一言を済ませて披露された“Spiral Gate”では、ユニゾンしたかと思えば離れていく流麗なツイン・ギター・アルペジオの連鎖でひと時のチルを演出。そして、初めてシンセを導入した『Turns Red EP』の3曲“The Sun Sank”、“Tomato”、“Vermillion”が収録順どおりにプレイされる。シンセを操るのは、いつも寡黙そうにギターを奏でていた楠本だ。これまでのLITEの楽曲には、2つのギター、ベース、ドラムと、どの楽器も曲の主体性を担うことはなく、主旋律らしいメロディも少なかった。しかし、このシンセが通常のバンドで言うところのボーカルの役割を果たしているようで、主旋律が現れたことから他の3つの楽器は明らかに音の自由度を高めていた。武田のギターは空間を浮遊し、シューゲイズし、時にはメロディすら奏でるようになり、今までのLITEにはなかった一面が見られた瞬間だった。やはり圧倒的だったのは、終盤の3曲。「これから古い曲をやりますので心して聴くように」と相変わらず武士みたいな武田の生真面目MC(見た目もなんとなく武士っぽい)で会場を和ませると“Ef”、“Infinite Mirror”の2曲で、バンドは一瞬にして演奏のテンションをトップ・ギアにぶち込み、フィジカルでソリッドな轟音を鳴らす。続く“Ghost Dance”のミステリアスなリフとパーカッシヴなドラミングへ雪崩れ込めば、フロアもステップを踏みながら身体を揺らしてゆく。印象的だったのは、ラストへ行くにつれて演奏のテンションを高めるバンドと体のアクションが徐々に大きくなっていくオーディエンスとが互いに呼応しあって、会場全体のテンションを加速度的に増幅させてゆく瞬間が何度もあったことだった。この日のアンコールは“Contemporary Disease”、“...Still, It Is Quiet Around Here”の2曲。それが終わっても鳴り止まない拍手の中、メンバー4人が再度登場し「きみたち最高です!けどライブは終わりです。5月にまた会いましょう!」と武田が一言。あと、今宵のライブはUSTREAMに生中継されていたらしい。武田は、途中のMCで「今日のライブはいろんな催しものがあってライブが生中継されているようです。Twitterだっけ?おれもよくわかんないけど…アメリカでもやるかもしれないです。(日本は)朝5:00くらいだと思うけど。気合のある人はぜひ!」とも言っていた。今日のLITEの音楽に僕はダンスミュージック的な要素を感じたけど、たぶん人によって捉え方は様々だろう。全パートのユニゾンによるキメや所々に絶妙なタイミングでタメが入ったりするカッコよさや超絶テクニックはやはりロックだったりする。前回見た時は、終始山本のドラムに目が釘付けだったし、彼が叩き出すドラミングにアブストラクト~ヒップホップの要素を感じていた。初めてみた時は、ディレイやトレモロをふんだんに使用した武田のギタープレイで、もっとロックに特化した印象を持っていた。見るたびにバンドの印象が変わる、というのは特段珍しいことではないけれど、ライブを観るたびにそこに透けて見える音楽性が全く異なるのもLITEの音楽の面白さだと思う。(古川純基)
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