eastern youth @ 渋谷O-EAST

19:35、舞台暗転。うおおおおおと沸き上がる歓声の中、二宮&田森、そして……吉野寿がオン・ステージして右手のピースサイン高々と掲げて、「約束通り、帰って参りやした!(「けーってめーりやした!」と読んでください)。ただいま! ま、そう簡単に死ぬわけにゃいかんでしょ、俺は……まあ、死ぬかと思ったけどな(笑)」と挨拶すると、オーディエンスから巻き起こる魂の声はさらに天井知らずに高まっていく。そんな会場のヴァイブを、「さ、やりますか」という軽い合図から、“一切合切太陽みたいに輝く”の壮絶な3ピースのギター・ロック・オーケストレーションへと導いていく。そのリヴァーブの残響音まで含めて、凄まじいほどに激しく、鋭く、美しく鳴り響くギター・サウンド! 喉も裂けよとばかりの気迫の向こう側から、ありとあらゆる魂を鼓舞する波動が押し寄せる唯一無二の絶唱! もう、最高だ。

昨年9月、急性心筋梗塞のため自宅で倒れ、緊急手術を行った吉野。ツアー後半戦を全公演キャンセルし、その他のライブ予定もすべて断念して治療に専念していた吉野。そんな彼が、ついにワンマン・ツアー『極東最前線/巡業~ドッコイ生キテル街ノ中~』で半年ぶりに完全復活! ということで、福岡/岡山/大阪/名古屋/仙台/札幌と回ってきたツアーのファイナルとなるこの日。途中、吉野自身も「なんか、不思議な気持ちよ? なんかたくさん集まってくれて、ありがとうございます。でもよ、なんで今まで来なかったのかっちゅうことよ!」と血管浮かせながらMCしていた通り、この日のO-EASTはここ数年のライブの中では段違いなほどのぎゅうぎゅう超満員ぶりだし、フロアに渦巻く熱気も、「久しぶりにイースタンを観れる!」という歓喜よりも、「帰ってきたイースタンの姿を我が眼に焼きつけねば!」というとんでもない切迫感のほうを遥かに多く宿している。

そして何より、吉野のテンションがすごい。“いつだってそれは簡単なことじゃない”の鬼気迫る疾走感や、“明日を撃て”の速射砲のようなカッティングなど、昨年8月リリースの最新作『歩幅と太陽』からの楽曲が最上級に「今」のイースタンの切れ味を見せつけているのはもちろんだが、その合間に挿入される“沸点36℃”“踵鳴る”“夏の日の午後”といった必殺曲群の爆発力が一回りも二回りもUPしていて、特にトイズからのデビュー当時からやっている“夏の~”に至っては、エネルギーを溜めて溜めて溜めて、音にこめて撃つ!という姿だけでも、世界中のロック・ファンに見せて回りたいくらいの「魂のアート・フォーム」として成立してしまっている。吉野の爆裂っぷりはもちろん、二宮&田森のビートのダイナミックな訴求力も、この日のアクトの破壊力を格段に高めている。

「半殺しになってベッドの上で『お水ください』っつったら、綺麗な看護士さんがチューチューってしてくれて。いいもんだぞ!」とおどけてみせたと思ったら、「お花畑に寝転がってても……何も変わってねえんだよな。俺の価値は1000円ですか? 500円ですか? 何も変わってないんだよ! 頭にくることは『頭にくる』って言わせてもらうわ!」と、徹頭徹尾「哲学」と「逆ギレ」の極致みたいな吉野のMCは大人しくなるどころかさらにタチ悪く獰猛になっている。「入院していい人になってると思ったら大間違いだよ!」。まったくだ。

本編最後の“角を曲がれば人々の”の前に、「あんた誰? 『俺は吉野だけど、あんた誰?』……って、それだけのために歌うことにした! ロックかどうかとか、もう関係ないんだわ」と、悟りにも似た決意を語っていた吉野。独立独歩。自問自答。単にフラストレーションの爆発に終わるのではなく、それを真摯そのもののメロディと楽曲でもって「灼熱のアスファルトの街での生活を『その先』へ突き抜けるための自己探求」へジャック・インしてみせたイースタン。吉野の生命の危機を乗り越えて、自らのキャリアのみならず、音楽に向き合う動機そのものと向き合い、再び歩き出した3人の姿は、どこまでもタフで、感動的だった。本編15曲+アンコール2回できっかり2時間。最後の“青すぎる空”が、春の冷たい雨空を貫いて強く、でっかく響き渡った。(高橋智樹)



[SET LIST]

01 一切合切太陽みたいに輝く
02 いつだってそれは簡単な事じゃない
03 沸点36℃
04 荒野に進路を取れ
05 明日を撃て
06 踵鳴る
07 脱走兵の歌
08 夏の日の午後
09 砂塵の彼方へ
10 雨曝しなら濡れるがいいさ
11 黒い太陽
12 デクノボーひとり旅ゆく
13 まともな世界
14 街はふるさと
15 角を曲がれば人々の

EC1 夜明けの歌
EC2 青すぎる空