先に謝ってしまいます。私、前の仕事が押しに押して、頭の1時間を見逃してしまいました。せっかくのデビュー10周年ライヴだというのに。10年前にデビュー・ミニ・アルバム『覚醒』をリリースした日と同じ今日、9月19日のライヴだというのに。 ただ、「せっかくの」と今書いたものの、10周年とかになるともっと普通、ベスト盤出すとか大々的なツアーやるとかトリビュート・アルバム出すとかそういう華々しい展開になるもんですが、あるいはレコード会社のスタッフとか事務所のマネージャーとかが「10周年ですんで!」とやたらめったら宣伝文句に使いたがるもんですが、そんなん一切なくて「そういえば10周年なんで一応なんかやっときます」って感じで、今日のC.C.レモンホール(渋谷公会堂)と、9月29日大阪城野音の二発だけ。このそっけなさが、なんというか、ほんとにもうバインらしいと思います。 で。もうひとつお詫びなんですが、今日のセットリスト、かなり、ものすごく特殊だったんですね。MCで田中が「こんなセットリストでやること、二度とないで」って言うくらい。なんだけど、9月29日の大阪がまだあるので、書くと明らかにネタばらしになっちゃうので書けません。すいません。ただ、その特殊さゆえにかなり新鮮で、そしてコアな意味でもマスな意味でも、みんなが聴きたい曲がいっぱい聴けました。ってことだけは言っときます。
にしても。「あんまり踊れない」「まったく暴れられない」「一緒に歌える曲もあるけどそうじゃない曲の方が多い」、つまりライヴでオーディエンスと共に盛り上がるのはあらゆる意味で不向きなのに、にもかかわらず、日本有数の鉄壁のライヴ・バンド。である、バインの真骨頂みたいなライヴでした。っていつもそうだけど。この夏観たのは三度目ですが、三度ともそうでした。もう5年ぐらいずっとそうであり続けている気もします。(兵庫慎司)
GRAPEVINE @ C.C.レモンホール
2007.09.19