SISTER JET @ 日比谷野外音楽堂

SISTER JET @ 日比谷野外音楽堂
SISTER JET @ 日比谷野外音楽堂
SISTER JET @ 日比谷野外音楽堂 - pics by 平沼久奈pics by 平沼久奈
6月6日(日)SISTER JET @ 日比谷野外音楽堂

SISTER JETが日比谷野外音楽堂でワンマン。キャリアとかを考えると、はっきり言って無謀だが、「無謀だからやるんです」ということは明らか。チケット代は、前売り1000円・当日1500円の特別価格。やはり、というかさすがに、満員にはなっていなかったが、「おお、こんなに集まったんだ!?」って驚くほどの数が集まっていた。大成功といっていいと思う。
で、集まっただけでなく、「このライブ、絶対いいものにしてやる」「楽しい時間にしてやる」という気概みたいなものが、そのお客さんたちから、なんかもう、むんむんと立ち昇っていた。
会場に入って、それを体感した時点で、まだ始まってもいないのに、「あ、今日、いいライブになるわ、これ」と思うほどでした。そして、本当に、まさにその通りになりました。

BGMが消えてSEがかかり、ステージ後方の殴り書きみたいな「SISTER JET」フラッグがスルスルを上がり、客席みんなが、手にした「SISTER JET」の小旗(駅伝の時振るサイズね)をばたばたと振る中、ベースのショウサカベはフラッグを振り回しながら、ドラムのケンスケアオキは自転車にまたがりながら、登場。で、「ワタルくんいねーよ。みんなで呼んでみようか」客席「ワタルー!」「声が小さくてきこえないってよ」というやりとりをしたあと、ワタルS、会場最後方から、客席をつっきって、というか、ねり歩いて登場。
で、ライブが始まりました。二度のアンコールを含めて全20曲。セットリストは以下。

1 恋してクレージー
2 ラブコメ
3 SATURDAY NIGHT
4 I know
5 JET BOY JET GIRL
6 DJ SONG
7 8ビートはパンク少年のもの
8 カウント2
9 SURRENDER
10 ONO-WAY
11 I my ガール Romantic ボーイ
12 デイドリームビリーバー
13 ナミダあふれて
14 さよならポケット
15 to you
16 MR.LONELY

アンコール
17 キャラメルフレーバー
18 Hellogoodbye days
19 La La Dance

アンコール2
20 6月6日

ワタル、今日が28歳の誕生日だったそうで、「俺のバースディ・パーティーにようこそ」みたいなことを、何度も叫んでいた。「いいね、天気よくてよかったね! こういう日、なんていうの? みなさん、来年から、こういう日がきたら『ワタル日和』って呼んでください」と、舞い上がるあまり、よくわからないことも言っていた。8曲目、“カウント2”では、お客さんに「1,2」コールを何度も練習させた上で、それにのっかって曲に突入したりもした。
アンコールでは、まずひとりで出てきて、ドラムセットの上に立って客席の写真を撮った。続いてメンバーも出てきたら「じゃあこれから撮影タイム。今だけ写真撮っていいよ」と、3人で前に立って、みんなに撮らせたりもした。で、「これから俺たち、上がり続けるんで。このまま宇宙まで上がっていく。落ちたら解散」と宣言し、今日のために作ったという新曲“6月6日”を、アコギを弾きながら歌い、ライブをしめくくった。

あと、最後にこういうことも言っていた。
「僕たちのワルノリに付き合ってくれてありがとう。これからもどんどんワルノリしていくんで。悪いほうに悪いほうにいくんで、よろしく。絶対楽しいから」

これ、観ながら僕が感じていたこと、正にそのまんまだったので、思わず笑ってしまった。
つまりですね。ブログにもちょっと書いたけど(これ → http://ro69.jp/blog/hyogo/35688)、確かに「ワルノリ」している、この人たち。僕の形容でいうと、「いい気になっている」。
開演前のSEは、The Whoなんかのブリティッシュ・ビート。3曲目はベイ・シティ・ローラーズのカバーで、9曲目はチープ・トリックのカバー。どっちも僕くらいの年代のバンドマンだったら、やるのちょっと気がひけるくらいの超有名曲。12曲目はモンキーズの曲だけど、やる前に「今日は空の上で見てるかもね」と言ったことでも明らかなように、歌詞、ザ・タイマーズがカバーした時のバージョンでした。なお、最初ピアニカで始まったんだけど、失敗してやり直す羽目になり、「空の上で怒ってるよ」とも言っていました。
あと、カバーじゃなくてオリジナルだけど、コード進行とメロディの展開が「もろにオアシス」な曲、このバンド、結構あると思う。特に13曲目、“ナミダあふれて”。歌詞を英語にしたら、もうほとんどオアシスの未発表曲にしか思えない。それから、歌い方において「もろにボビー・ギレスピー」な曲も、結構見受けられます。

というようにですね。偉大な先人たちが作ってきたロックンロールへの、ちょっとどうかと思うほど無邪気で熱烈な盲信が、もう、徹頭徹尾ほとばしりまくるライブだった。というか、元々そういうバンドだけど、この日は日比谷野外音楽堂という憧れの地に立ったことで、それがよりいっそう加速していたように思う。
言うまでもないが、そんな偉大なロックンロールたちに触れたからって、その影響で自分もギターを持つようになったからって、自分まで偉大ですごいもんになれるわけではない。という客観性や批評性がない、この人たち。その威を借りて、なんか自分まですごいもんになったように勘違いしている。思い込んでいる。そこを疑っていない。で、その勢いのまま、ステージに立っている。

という、その感じが、もう最高だった。楽しいけどバカ。バカだけど切ない。かっこいいけど軽い。軽いからブルー。観ていて、聴いていて、「ああ、ロックンロールって、こういうもんだよなあ」と、ずっと考えていた。いや、100%「こういうもん」ではないとは思うけど、「こういうもん」ではないロックンロールもいっぱいあるけど、でも、「こういうもん」であるロックンロールも、確実にあると思う。そしてそれは、すっごく、ありだと思う。
そのことを立証する全20曲だった。「新曲です」って披露した、7曲目なんて、もう、タイトルだけで泣きそうになりました、私は。

なお、最後に、次の東京でのワンマンも発表していた。12月15日(水)、日本青年館だそうです。ワタル、「ドリフ撮ってたとこだよ!」と何度も言っていたが、『全員集合』って渋谷公会堂だよ! とつっこみたくなった。でも、帰って調べたら、日本青年館でもやっていたことが判明した。失礼しました。ただ、あの番組、特殊な回を除いて基本的に生放送だったので、「撮ってた」という表現は違う、と、リアルタイムで観ていた世代としては、思います。
でも、そんな揚げ足をとる必要、まったくないとも思います。(兵庫慎司)
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