筋肉少女帯 @ 赤坂BLITZ

筋肉少女帯 @ 赤坂BLITZ
筋肉少女帯 @ 赤坂BLITZ - pics by 亀山哲哉pics by 亀山哲哉
「昨日は対オランダ戦の中、ここまで世間からアウェーか!と思われるような人たちが集まってきてくれました!」「アウェーな人間が集まって、こんなにいい世界ができあがっているじゃないか!」という大槻ケンヂの絶叫に、怒濤の歓声で応えるオーディエンス!……復活後の筋少ワンマンでもフェスのステージでも半ばネタのように(しかしほとんどマジで)MCで繰り返してきた「そもそもロック・シーンにおいてずっと味わってきたアウェー感」「それに加えて『今』の時代に差し掛かってますます強く絡みつくアウェー感」「そして同時に、『筋肉少女帯のファン』であることによってリスナーが味わってきたメインストリームからのアウェー感」を、復活第3弾にしてついにメイン・テーマに据えてしまった最新アルバム『蔦からまるQの惑星』。そのリリース・ツアー2日目にして赤坂BLITZ・2デイズの2日目。2006年の再始動から約4年。「40代も半ばになってくると、2日目始まるまでがキツいね! 始まっちゃえば、もう肩が外れようが何しようが……」というオーケンのボヤキが、橘高文彦(G)/本城聡章(G)/内田雄一郎(B)、そして鉄壁のサポート陣=三柴理(ピアノ&Key)&長谷川浩二(Dr)の超絶テクが編み上げる暗黒背徳ゴス・メタル/ロックンロールへの格好の序章となっていく――という展開にも、もはや「お馴染み」「お約束」を越えた濃密なコミュニケーションと異様な高揚感が宿っている。

ツアーはこの後、大阪/名古屋を回って7月9日の東京・リキッドルーム恵比寿公演まで続くので、このレポートではセットリスト掲載は割愛するが、本編15曲・アンコール5曲の中に『蔦からまるQの惑星』全11曲中9曲を盛り込む意欲的な内容。ハンドマイクの大槻/内田/橘高/本城がRIP SLYME状態でステージ前っ面に並んでみせた“ワインライダー・フォーエバー”(「俺らが並んでる図は『笑点』に似てるね?」と大槻も自ら笑っていた)や“アウェー イン ザ ライフ”“暁の戦力外部隊”をはじめ、「中央線アングラ・カルチャー魂逆噴射」的な世界観を描くことよりはむしろ、「報われないアウェーなオーディエンス1人1人」に途方もないロックのエネルギーを差し伸べることで「今、ここ」の空間を僕らのホームにしてしまおう――という直球で切実な意志が前面に出た、アグレッシブなステージだった。

そして。「6月21日は筋肉少女帯のデビュー記念日! つまり、21日の深夜0時で、筋肉少女帯はデビュー23年目に突入します! 23年……仲直りしてよかったあ!」(大槻)のMCをはじめ、この日はやたらとポジティブな追想モードの言葉が飛び出していたのが印象的だった。

大槻「若い頃は、最前列の女の子のおっぱいをモミモミして『モーレツ!』って言わせてから“モーレツ ア太郎”に行ったりしてたけど……あの頃の自分が今、目の前にいたら、説教するね!」

橘高「何を説教するの? 『今のうちにバンド名変えとこうよ!』とか?(笑)」

大槻「何言ってんだよ! いいバンド名だよ!」

橘高「言ってたじゃん! 『やっぱバンド名がいけないのかなあ?』って」

大槻「まあ、確かにね。『シーズン2』(前作)の時も……『蔦からまるQの惑星』って、『シーズン2』より売れたんですよ。『シーズン2』、やっぱりジャケットがいけないのかなあ?って(笑)。でも、筋肉少女帯っていうのはいいバンド名ですよ!」

……とか、「物販で湯呑みを作って『さすがに売れないだろうなあ』と思ったら完売。お客さんみんな年取ったんだなあ。湯呑みが売れるバンドじゃしょうがないよ!」と失笑を誘ってから“あのコは夏フェス焼け”に雪崩れ込んだり、さらには橘高や三柴“エディ”理とも掛け合いMCを繰り広げたり、内田が家から持ってきたビワの実(枝ごとごっそり!)を事あるごとにいじったり……この日のBLITZはそれこそ「アウェー」感など微塵もなく、誰もがげらげら笑いながら拳を突き上げて歓喜の極みを体感して生きていける「筋少共同体」の堂々たる「本拠地」となっていた。

革ジャン風ドレス(?)など何パターンも衣装を披露していた橘高の快速ギター・ソロはいよいよ冴えまくっていたし、“踊るダメ人間”など随所で飛び出す長谷川のツーバス・ドラムはいちいち横隔膜を揺さぶる音圧を誇っているし――といったディテールの1つ1つは、筋少の今なお変わらない血中メタル濃度の高さを明確に示している。その一方で、前述の“ワインライダー・フォーエバー”のライム合戦や、“若いコとドライブ~80'sから来た恋人~”のヴァン・ヘイレンかってくらいのベタなシンセ・ポップ感を聴けばわかる通り、『蔦からまるQの惑星』はいわゆる「メタル/ゴス/ハード・ロックの高濃度結晶体としての筋少」という従来のパブリック・イメージに100%添った作品ではない。しかしだからこそ、新たな変化やトライアルを盛り込んだ『蔦~』は、「復活版・筋少」という場そのものが「『みんなの思い出の中の筋少』を再現するアルバム3発の打ち上げ花火」ではなく「この先も存在し続ける『今、アウェーな僕ら』の共和国」であることを物語っていたし、この場にいた誰もがそれを肌で感じていたと思う。2時間半にわたってフロア一丸歌いまくり踊りまくりの狂熱の一夜。最後はあのビワがフロアに投げ込まれ大団円! 最高だ。次は6月27日・大阪BIG CAT公演!(高橋智樹)

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