YUKI×銀杏BOYZ @ Zepp Tokyo

YUKI×銀杏BOYZ @ Zepp Tokyo - YUKIYUKI
YUKI×銀杏BOYZ @ Zepp Tokyo - 銀杏BOYZ銀杏BOYZ
YUKI×銀杏BOYZ @ Zepp Tokyo - 銀杏BOYZ銀杏BOYZ
YUKI×銀杏BOYZ @ Zepp Tokyo - YUKI×銀杏BOYZYUKI×銀杏BOYZ
一昨日・昨日とレポートしてきたホットスタッフ30周年イベント『BLACK AND BLUE』のZepp Tokyo3デイズ、最終日はYUKIと銀杏BOYZという「全然違う」「客層まったく別」「でも物理的には共通項あり」という組み合わせ。ご存知だとは思いますが、物理的な共通項というのは、YUKIのパートナーであるYO-KINGが、以前銀杏の数曲をプロデュースしたことと、おそらくそれが縁で銀杏の“駆け抜けて性春”にYUKIが参加したことです。あと、YO-KINGと峯田で「不足の美」というヒップホップ・ユニットを組んで、2、3回ライブをやっていたりもした。

先攻はYUKI。“ふがいないや”で始まり“虹の橋”で終わった全10曲、約1時間のステージ。いやあ、いいわ。演奏がいい。つまりメンバーがいい。歌がいい。それ以前に、曲が圧倒的にいい。って、何を食っても「うまいですねえ」「おいしいですねえ」しか言えないダメなグルメレポーターみたいな芸のないことを書いているが、ほんとそんなことしか言えないような、無心で目と耳から情報を得ているだけでニコニコしてくるような、幸せなライブでした。

こないだツアー・ファイナルの武道館観たばっかりなのに(ここでもレポートしました)、全然新鮮。代表曲の連発の間に、こないだのツアーではやんなかった曲をはさんだりして、今日しか観ていない人とツアー観た人の両方にとって、価値のあるセットリストになっているとこも憎い。

それから、別に今始まったことではないが、YUKIの曲ってどれも、サビに入った瞬間の爆発力がすごい。これは物理的に何がどうすごいかとても説明しづらいんだけど、聴いていると気分がブワッ!とあがるというか、歌詞の内容がどうとか音楽的にどうとかいう以前にやたら高揚するというか。メロディがすばらしいから、いい作家を集めているから、というのもあるが、誰が書いたどの曲も一様にそういう効果を持っているってことは、要は歌がすごい、というか歌っている人がすごい、ということだ。あたりまえだ。あたりまえだけど、ライブで目の当たりにしていると、そんなあたりまえのことをつい一生懸命書きたくなるくらい、それが本当にリアルにわかる。YUKIより上手いシンガーや声域が広いシンガーや声量のあるシンガーはいくらでもいるだろうけど、こういう「昂ぶり」や「楽しさ」や「興奮」を、そして逆の「切なさ」や「悲しさ」や「空しさ」も、ダイレクトに伝えて聴き手の感情をコロコロ動かしてしまうという点において、YUKIと並ぶ人はそういないと思う。

続いて銀杏。峯田がハーモニカを持ってひとりでステージに現れ、自分の後ろの床に、何か額縁みたいなものを丁寧に置いてから、マイクを握る。今からやる曲は鎮魂歌であることと、この曲を「今ここに来てくれた人たちに」「ここに来れなかった人たちに」「秋葉原で人を刺した加藤くんに」「秋葉原で刺されてしまった人たちに」捧げる、ということを告げた上で、“人間”を歌い始める。ひとしきり歌って、ひとしきりハーモニカを吹いて、をくり返しているうちにメンバーが登場、演奏に加わっていく。2曲目“No Future No Cry”終わりで、村井くん、フロアへダイブ。代わりに峯田がドラムをばしゃばしゃ叩く。3曲目“SEXTEEN”終わりでアビちゃんが、5曲目“SKOOL KILL”終わりでチンくんがダイブ。峯田は……とばなかった。暴れたりむちゃしたりするよりも、歌うことと話すこと(MCで)に,心血を注いでいるように見えた、今日の峯田は。

2階席がある会場だと、必ずその2階席へ乱入し、走り回ったり男の客にディープキスを強要したりするのが峯田の常だが、今日はやらなかった。2階があるのに乱入しなかった峯田を観たのは、ここ2年くらいで初めてかもしれない。峯田と銀杏の、なんか新しいモードを感じたライブだった。って、こないだの大阪でのライブでは大暴れで満身創痍になったらしいから、最近毎回そうなわけじゃないんだろうけど。

ライブは全部で9曲。6曲目は、“銀河鉄道の夜”をリメイクして“銀河鉄道の夜 第二章 ジョバンニに伝えよ、ここにいるよと”と改題して演奏。確かに、アレンジとか歌詞とかサビのメロディとかが新しくなっていました。あと、MCで言っていたけど、年末〜年始の「せんそうはんたいツアー」、フジテレビで放送されたけど、あれのノーカット版をDVDにして出すそうです。『新興宗教銀杏BOYZ』というタイトルにするそうです。それから、それ以外にも、今年はこれからリリースいっぱいするそうです。本当だな。それから、後ろに置いたのは、祖父と祖母の写真だそうです。昨日、夢に出てきたから、ライブを見せようと思って写真を持ってきたそうです。

で、アンコール。これは期待するなというほうが無理でしょう、と思っていたら、やっぱりやってくれました。“駆け抜けて性春”、YUKI登場! 峯田のメロディ、YUKIが歌うと魔法がかかるかかる。あと、YUKIの声、通る通る。CDよりもいっぱい一緒に歌ってくれました。峯田、いや峯田だけじゃなくて銀杏全員、一回もYUKIと目を合わせていなかったのがほほえましかったです。うれしさとてれくささが入り混じりまくってたんだと思う。(兵庫慎司)
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