NICO Touches the Walls @ 渋谷C.C.Lemonホール

NICO Touches the Walls @ 渋谷C.C.Lemonホール
NICO Touches the Walls @ 渋谷C.C.Lemonホール
NICO Touches the Walls @ 渋谷C.C.Lemonホール
NICO Touches the Walls @ 渋谷C.C.Lemonホール
NICO Touches the Walls @ 渋谷C.C.Lemonホール
NICO Touches the Walls @ 渋谷C.C.Lemonホール
『NICO Touches the Walls LIVE 2010 EAST×WEST “Apollo & Luna”』は、9月25日の大阪城野外音楽堂における“Day of Apollo”編、つまり野外における日中公演と、渋谷C.C.Lemonホールにおける“Night of Luna”編、つまり夜のホール公演とで構成されたワンマン・ライブ・シリーズである。先の「これまでツアーしたことのない場所を廻って、それぞれ異なる新曲を披露する」『ミチナキミチ』ツアーといい、NICOの2010年のライブは何かとコンセプチュアルで、かつ新たな試みを次々に展開してゆくものになっていてとても面白い。

ソールド・アウトとなった“Night of Luna”編は、まず対馬の性急なドラムが転がり出し、最新シングル“サドンデスゲーム”のフレーズが鳴り出したところで、文字通りステージに掛けられていた幕が切って落とされる。「シブヤー! 指定席だからって、ちぢこまってんじゃないのー!?」という光村の挑発的な言葉からも分かるように、いきなりロックなモードを叩き付けるNICO。そして鋭い反応でこれに応えるオーディエンスである。続く“風人”での印象的なハンド・クラップを、座席で総立ちになったままバッチリと決めてゆくのであった。

「平日なのに、多くの方にお越しいただいてありがとうございます! 今夜は月というテーマで、実は僕らにとって初のホール・ワンマンです。3月に武道館で先にやっちゃったんで、順番が違うんですけど……誰かの伝説によると、“武道館はライブハウス”ということなんで(笑)。大阪とは180°違う趣向で、あれもこれも今日のために用意してきたので、全部、目に焼き付けて帰ってください!」

何本もの帯がパラレルに弧を描いて垂れ下がるようなバックに、色とりどりの照明が映り込んで美しい模様を描き出している。そんなステージで“サラ=レイニーデイ”といったインディーズ時代からの今となっては珍しい楽曲を披露したり、悲鳴を上げるような古村のギターでスタートする“そのTAXI,160km/h”で早くもオーディエンスの大きなシンガロングを導き出したりと、今回のNICOのステージはまったく展開が読めない上に、驚き混じりの熱狂をもたらしてくれる。

「最初から飛ばし過ぎて、マイクに頭ぶつけて血が出た」と光村。「このC.C.Lemonホールは、当時は名前が違ったんですけど、6年ぐらい前、バンドを結成して半年ぐらいのときに、とあるコンテスト(TEENS’ MUSIC FESTIVAL)に出まして。惜しくも準優勝だったんですけど、《LOTTE賞》ということでクランキー・チョコを一年分もらいました。本当は優勝したかったんだけどね。さっきやった“そのTAXI~”は当時の曲で、6年越しの鬱憤を晴らしてやりました! そりゃあ血も出るわ」。

『“Apollo & Luna”』は新しいライブの試みだが、実は過去のリベンジを果たす裏テーマもある、と。今度はステージのバックに幻想的なPV風映像が映し出され、“かけら-総べての想いたちへ”の後に続いた曲群は、キャリア初期のNICO作品を視覚/聴覚的に改めて今のNICOの手で提示する時間にも思えた。夜/月というテーマにもずっぱまりの曲群だ。開演して間もなくの時間帯は、意気込みが強過ぎたのかバンドのコンビネーションが少し乱れる瞬間もあったけれど、スローな曲も挟みながら、ここはもう野間康介のサポート・キーボードを含め盤石である。あと、古村のギターは、幾つかの楽曲の間奏で聴かせるあのテクニカルで情感に満ちたスパニッシュ風のギター・フレーズを含めて、本当に素晴らしいものになっているように思う。

“武家諸法度”の爆発力のあるパフォーマンスの中で野間のオルガン・ソロの見せ場を作ったかと思えば、ドラマー・対馬、わざわざ曲中にブレイクを設けてまで「トーキョー! ビタミンCとってんのかぁぁ!?」と、C.C.レモンのボトルをグイっと煽る。サービス精神旺盛だな。そして坂倉が煽り立ててOIコールとともにスタートした“Broken Youth”では、満場のオーディエンスがエッジの立ちまくったあの日本語ロックのメロディをなぞるのだった。

いや、この曲ばかりではない。NICOの曲を聴くと、かつて「日本語でカッコよくロックをするのは難しい」と言われていたあの時代はなんだったんだろう、と考えてしまうことがある。光村の歌唱力だけではなくて、日本語ロックとしてのソング・ライティングそのものがそういう高いレベルにあるのだ。マイケル・ジョーダンを観て育った世代のバスケットボール選手がときにマイケル・ジョーダンのようなプレイを見せてしまう衝撃を、まだ若いはずのNICOの日本語ロックにも受け止めてしまう。「やばい、今日おれ、伝説級に楽しいよ!」とは光村の言葉だ。なんと幸福で、高度なコミュニケーションなのだろう。優れた日本語ロックというやつは。

“アボガド”で巻き起こされた壮観なウェーブ(でも、光村のボウリングの仕草は今回はなぜかなかった)ののち、“THE BUNGY”ではなんと、曲タイトルが煌めく巨大な電飾看板となってステージに降下してくる。この一発のためだけに作ったのか!? 大胆なことをする。光村と古村の2本のギターが激しいデッド・ヒートを繰り広げ、そしてオーディエンスは「オオオオオー」という歌声をホールに満たしていった。「美しい! 美しいぞシブヤー!」と昂る光村である。

いよいよの本編最後は、珍しく古村と坂倉の前にもそれぞれスタンド・マイクが設置された。最終ナンバー“泣くのはやめて”でコーラスを入れるためなのだが、ここで古村が一言。「昨日、パスポート取ったんですよ。まさかとは思いますが今日、外国から来られたお客さんっています?……え? マジで!? アメリカから!?」。すごいなそれは。そして光村「ライブを観に来てくれるお客さんがいてくれて、楽しんでくれてる笑顔があって。それがある限り、僕らは思いを音に乗せて届けたいと思ってます。場所はどこでもいいんです。やれればいいんです」。そう、まさにそんな感慨に辿り着くような、幸福なコミュニケーションと、具体的な手触りの熱狂があるパフォーマンスだった。逆に言えば、すべてのアイデアやギミックは、そこに辿り着くために用意されるべきものなのだ。それがよく分かったステージでもあったということだ。

アンコールでは、ちょうどこの日からTVアニメ『NARUTO』のテーマ曲として使用される“Diver”も披露された。焦燥感混じりのアッパーな一曲。現状はまだ「着うた」リリースのみだが、いずれパッケージとしても届けたい、と光村は語っていたので、楽しみにしていて欲しい。更には10/8公表のニュースとして、11月25日(木:イイニコの日)に、渋谷WWWでのライブも決定! 詳しくは彼らのオフィシャルHPをチェックして頂きたい。(小池宏和)

セット・リスト
1.サドンデスゲーム
2.風人
3.ホログラム
4.サラ=レイニーデイ
5.そのTAXI,160km/h
6.ビッグフット
7.かけら -総べての想いたちへ-
8.幾那由他の砂に成る
9.夜の果て
10.Image training
11.ほっとした
12.武家諸法度
13.Broken Youth
14.N極とN極
15.アボガド
16.THE BUNGY
17.泣くのはやめて

EN1.Diver
EN2.(My Sweet)Eden
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