椿屋四重奏今年2月にリリースされたメジャー1stアルバム『TOKYO CITY RHAPSODY』を携えての全国ツアー『椿屋四重奏 TOUR\'08 〜CITY OF SILVER〜』の東京公演。「東京の街」をテーマに紡がれたアルバムの楽曲たちがいよいよ、ここ東京で鳴らされ、このアルバムの世界観が完成する。
ステージ上に不規則に入り組む照明のトラスが、煩雑で混沌とした東京の街を表現しているよう。「今の椿屋四重奏をしっかり見てもらうために、このZepp Tokyoという場所でやりたかった」とMCでも中田が言っていたが、まさに『TOKYO CITY RHAPSODY』というアルバム、そして椿屋四重奏が思う「東京感」を表現するにはうってつけの場所だったと思う。
4月からツアーが始まり今日まで約3ヶ月間、その一公演一公演で良いエネルギーを得てきたんだろうなというのが、演奏を聴いた瞬間に伝わってくる。4人が奏でる音は明らかに椿屋四重奏でしか鳴らせないもので、曲が持つ世界観を4人がそれぞれに感じ、それを表現するためにプレイヤーに徹する姿を垣間見ることができた。誰か一人が突出するわけでもなく、一つのバンドとしてとてもバランスのとれた状態であることがよく分かる。それは、椿屋四重奏がまだ3人だった時の楽曲“舌足らず”を聴いてよく分かった。以前、4人になってまだ間もない時にライブでこの曲を聴いた時、なんだかすごく歪なものに聞こえたのだけど、今日は全く違う響き方をしていて驚いた。4人の結束が高まっていて、すごくいい。
激しいリズムとドロッとした感情が絡み合う“パニック”では所狭しとステージを行き来しながらハンドマイクで歌い、アコースティックギターを抱えながら穏やかにそして切なく“小春日和”を歌い、ドラマティックな曲展開で手に汗を握るようなゾクゾク感を憶える“LOVER”では刹那的な感情が溢れんばかりに胸を突いてくる。中田のボーカリストとしての表現力もより一層磨きがかかったようだ。6月に九州地方を回っている時に喘息がひどかったそうで、今日もMCでは時折、咳き込んでいたりしたけど、喘息とは思えないほどに声はすごく伸びやかで、艶やかだった。
一曲一曲がすごく濃厚で、重厚。そして、バラエティに富んでいて、聴いているといつの間にか椿屋の世界に翻弄されている自分がいる。自分たちの世界にリスナーを引き込むのが本当に上手いバンドだなと改めて思った。
「活動し始めて8年経つけど、あまり追い風が吹いてる感じがしなくて。むしろ、向かい風がビュンビュン吹いてて。でも、ツアーを回ってやっぱりこのバンドがいいと思った。間違いじゃなかった」というようなことを中田は言っていた。思い描いていた通りにはいかない現実を素直に受け止めて、今自分たちにできることを表現していくことが大事だと気づいた今の椿屋四重奏は強い。本編ラストに演奏した“不時着”はまさに今の彼らを表したような歌だ。どこにたどり着こうと前へ進むしかない、そんな想いを力強く歌い上げた。
アンコールでは色々とサプライズもあり、(7月12日に仙台でツアー・ファイナルなので、現時点では書けないのですが・・・)これからの椿屋四重奏を期待して待っていて大丈夫だと思う。そして、いつもライブで必ず言うけど、彼らが目標としている武道館という場所に着実に近づいている予感もこのライブから伝わってきた。向かい風に立ち向かっていく彼らをこれからも追い続けたい。(阿部英理子)