POLYSICS @ 恵比寿リキッドルーム

POLYSICS @ 恵比寿リキッドルーム - pic by Kazumichi Kokeipic by Kazumichi Kokei
POLYSICS @ 恵比寿リキッドルーム - pic by Kazumichi Kokeipic by Kazumichi Kokei
POLYSICS @ 恵比寿リキッドルーム - pic by Kazumichi Kokeipic by Kazumichi Kokei
POLYSICS @ 恵比寿リキッドルーム - pic by Kazumichi Kokeipic by Kazumichi Kokei
今夏のROCK IN JAPAN FES.2010から新たに3ピース・バンドとして生まれ変わったポリシックスの、初となる全国ツアー『We are Back!! POLYSICS!!!』。ファイナルは東京・恵比寿リキッドルームである。みっちりと埋まったフロア(リキッドルームのライブでは、フロア最後方のエリアを関係者用に割り当てていることもあるのだけれど、今回の公演はそのエリアまで一般のお客さんで埋まっていた)は、客電がフッと落ちた瞬間に一気に沸き返る。大歓声を浴びせかけながら、紺色のツナギで身を包んだ3人のポリをステージに迎え入れるのであった。

ステージ上手にハヤシ、下手にフミ、そして中央後方にヤノと陣取ったトライアングルのポリは、いきなり爆裂インスト・ナンバー“Heavy POLYSICK”から“BUGGIE TECHINICA”の振り付けダンスへと繋いでオーディエンスを沸点へと到達させる。瞬く間の出来事だった。凄い。そしてボルテージ高くTOISU!コールを繰り出し、「帰ってきたぜエビスー!」と絶好調のハヤシである。“シーラカンス イズ アンドロイド”でシンガロングを誘った後には、「さっそく新曲やるかーい!?」とフミの高速ベース・ラインからスタートする“Mach肝心”へ。脱臼しながらも全速で転げるような、異様なグルーヴを叩き出している。シンセ音のフレーズを空中でキャッチするパントマイムを披露して笑いを誘うハヤシだが、なんだろう、まるで自分たちのバンドをイジめ抜くような、このハードルの高い作曲は。

フミがリード・ボーカルをとる、ヘヴィでパンキッシュな“How are you?”もプレイされる。ここでのハヤシはギターのネックに噛み付いていた。「TOISU! TOISU! TO-ISU!! こんばんは! ポリシックス、デース! 帰ってきたぜエビス! HISASU! HISA-SU!! カモン、ツアー・ファイナルだぜ! 思う存分ハミ出してこうぜー! TO-ISU!」。変わらないところは変わらない。「マンネリ」と「百発百中の必殺技」は似ているようで決定的に違う。何よりも違和感を覚えるのは、他でもない『We are Back!! POLYSICS!!!』というツアー・タイトルである。停滞していたバンドを「待っていた」感じがしないのだ。「ボヤボヤしていると置いていかれる」感じなのだ。それこそオーディエンスは、ポリのパフォーマンスに振り落とされないよう、必死に食い下がるようにして、盛り上がっているのである。日和った「おかえり」ムードでは、この熱狂は生まれない。

またもやの新曲“Boil”では、ヤノのブラスト・ビートにバンド一体型のリフが加わる。“人生の灰”でハヤシは胸を揉みしだく(もちろんタオルが詰め込まれていて後から取り出す)ような細かいパフォーマンスも挟むのだが、ハヤシのそうしたサービス精神過剰な部分は元々だとしても、3人のロックする集中力・緊張感は決して途切れることがない。「いやー楽しいわー。帰ってきたな、って気がします。ほんとみんなにね、エビスビール一杯ずつ奢りたいぐらい」。そこでフミがさっそく“第3の男”のメロディらしきものを口ずさむのだが「自信ないなら歌わないでくれる?」とハヤシにツッコまれている。3人の演奏も熱量が高い上にタイトだが、こうしたMCでの呼吸もいやにタイトになっている気がした。

「新曲も順調にレコーディングしたんでね。次も出来立てホヤホヤの曲を」と、今度はけたたましさと伸びやかなコーラスのフックを併せ持つ“Rock Wave Don’t Stop”が披露される。12月8日リリース予定の『eee-P!!!』の楽曲群が乱れ咲きしている。いや、ただ演奏されているのではなくて、本編の流れの中で実に機能的にこの新曲群が配置され、ライブの熱気に確実に貢献しているのだ。3人の呼吸が新しいポリの形を成すまで、彼らが表舞台に立たずにパフォーマンスを磨き上げ、鍛えていたことは分かる。生半なことではないが、かつての仲間のためにも、その仲間を共に見送ってくれたファンのためにも、彼らはそうするはずだ。そして更に、ハヤシは何をしたのか。3人のポリが、かつてのポリに拮抗し、或いは越えるための、新曲を書いたのだ。つまり「計算が合わない」。3人のポリが、かつてのポリに負けていない。新曲群に至っては間違いなく、かつてのポリを越えている。彼らはそういうことをやってのけているのである。

曲中に一旦ブレイクしてヤノの挨拶を挟み込んだ“Too Much Tokyo”ののちには、リリース未定の新曲“Don’t Cry”までもがプレイされる。最もユーモラスなパートが組み合わされて出来上がったような曲だ。リキッドルームでのイベントの思い出話にひとしきり花を咲かせると、「俺はこのリキッドルームのムンムンが大好きなんだー! みんなでデトックスしようぜ! 30代からのドモ○ルンなんていらねー! ポリシックスがいれば充分だー!」とハヤシが吠える。そしてライブ終盤戦は一気にポリのダンス性が解き放たれていった。フロア一面に高速スウェイが舞う“Digital Coffee”、間の手とともに拳が突き上げられる“Young OH! OH!”、“ワチュワナドゥー”ではハヤシがビール一杯を一息に飲み干し、“カジャカジャグー”では黒くうねるオーディエンスを前にギターからテルミンのようなエレクトリック・ノイズを放出する。最後を“Shout Aloud!”爆走のままくぐり抜け、嵐のような、ただし笑顔まみれの本編をフィニッシュした。

アンコールの1曲目に披露された、ビート・ロック風の曲調にハヤシの速射砲ボーカルが弾ける“踊れHeaven”によって、『eee-P!!!』に収録される新曲5曲はすべて聴くことが出来た。ハヤシ自身、「5曲だけど、フル・アルバムぐらい濃い作品」と語っていたが、本当にそうだと思う。そしてさらに、2011年3月4日、SHIBUYA-AXでのワンマン公演が決定したことも告知されていた。「3人になってからの集大成を見せる」という意気込みだ。アンコール終了後、「TOISU! TO-ISU! たのしー!」と地声で叫んで高速投げキッスを連発していたハヤシは、今回のツアーに確かな手応えを感じていたのだろう。(小池宏和)

セット・リスト
1:Heavy POLYSICK
2:BUGGIE TECHINICA
3:シーラカンス イズ アンドロイド
4:Mach肝心
5:Tei! Tei! Tei!
6:How are you?
7:FOR YOUNG ELECTRIC POP
8:Boil
9:Time Out
10:Hot Stuff
11:人生の灰
12:Rock Wave Don’t Stop
13:Too Much Tokyo
14:Don’t Cry
15:First Aid
16:United
17:Beat Flash
18:Digital Coffee
19:Young OH! OH!
20:ワチュワナドゥー
21:カジャカジャグー
22:URGE ON!!
23:Shout Aloud!

EN-1:踊れHeaven
EN-2:Get Back to 8-bit
EN-3:Pretty Good
EN-4:Speed Up
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on