NANO-MUGEN FES.(1日目) @ 横浜アリーナ

NANO-MUGEN FES.(1日目) @ 横浜アリーナ - PHANTOM PLANETPHANTOM PLANET
NANO-MUGEN FES.(1日目) @ 横浜アリーナ - ストレイテナーストレイテナー
NANO-MUGEN FES.(1日目) @ 横浜アリーナ - ASIAN KUNG-FU GENERATIONASIAN KUNG-FU GENERATION
昨年はお休みだったから2年ぶりの開催となる、ASIAN KUNG-FU GENERATIONがオーガナイズする2日間のフェス、1日目の今日の出演は、アナログフィッシュ/9mm Parabellum Bullet/PHANTOM PLANET/トクマルシューゴ/ASH/ストレイテナー/THE YOUNG PUNX!/Stereophonics/ASIAN KUNG-FU GENERATIONの9組。で。頭のアナログフィッシュからトリのアジカンまでホール内に居続けた結果、個々のライブ・アクトがどうだったとかの前にまずこれをちゃんと書いておかないと、と最も強く思ったのは、いいフェスになった、ということだ。

というのもですね。よく知られているように、アジカンは自分達が盛り上がりたいとか成功したいとかいうよりも、ロックそのものを盛り上げたいし成功させたいという意志の方が強いバンドだ。なので、アジカンがメジャー・デビューした2003年から始まったこの『NANO-MUGEN FES.』は、彼らがでっかいバンドになって以降は、言わば「アジカンのロック啓蒙フェス」になった。洋楽はすばらしいんだからもっと聴こうよ、あるいは、そこまで知られてないけどすばらしいバンドはいるんだからもっと注目しようよ、という、アジカンがファンにプレゼンするようなラインナップになった。1.アジカンと親交のある人気バンド。2.新進気鋭のニューカマー。3.アジカンが、心からいいと思っているからぜひファンにプレゼンしたいバンド。4.洋楽。の、4つのタイプのどれかに、今日の出演バンドも分けられると思う。

が、このうち4が最も難しかったのだ。2005年、初めてここ横浜アリーナでやった時などは、洋楽バンドの出番になるとフロアはガラーン、飲食エリアは大混雑。「……これ、アジカンの意志は正しいけど、現実は厳しいよなあ」と、とても複雑な気持ちになったものです。かといって、お客さんが悪いってもんでもないから、よけい難しい。うーん。

というような状況だったのが、2006年でずいぶん改善され、今日の、特に中盤以降に至っては、ASHの時もYOUNG PUNX! の時もStereophonicsの時もフロアは大賑わい、という理想的なことになっていたのだった。無論、自然になったわけではない。運営のしかたやプレゼンのしかたや事前の準備などなどで、アジカンががんばったからこうなったんだと思う。偉い。と、素直に称賛させてほしい。オーラスの、アジカンのアンコールあたりでは、そのいいムードの集大成みたいな、とても幸福な空気がホールを満たしていて、スタンドのてっぺんで観てたんだけど思わずフロアに下りてしまいました。

では、各バンドのショート・レビュー。なお、ASHとアジカンは明日も出るので、ネタばらしになっちゃうから割愛します。詳しくは明日。

1.アナログフィッシュ

デビュー以来、ゴッチが自分のラジオ番組でプッシュしたり、ツアー初日の下北沢シェルター(から必ずツアーを始める、アジカンは)のゲストに招いたりしてきたアナログフィッシュ、『NANO-MUGEN』初登場。1曲目からいきなりハンドクラップで迎えてくれたフロアのあったかさもあって、そしてバンドの演奏自体のキレとコクもあって、大ウケと言っていい大健闘。“Hello”で始まり“ダンスホール”“スピード”とたたみかけ、“夕暮れ”でしっとり聴かせて“アンセム”“Sayonara 90’s”と健太郎の大名曲→下岡の大名曲でしめくくるという、完璧なセットリストだったのも勝因。後でMCでゴッチは「“Sayonara 90’s”いい曲だよねえ……あんないい曲、俺に書けるかなあ」と言っていた。リップサービスもあるだろうけど、それだけでもなかったと思う。

2.9mm Parabellum Bullet

先輩のステージに呼んでいただいた、ってことなどお構いなし、ハコがでかいのもおかまいなし。ただの「いつもの9mm」、もう荒れる暴れる。ってライブだったのが最高だった。卓郎、MCで「バンドの表記を、9mmから9ナノメートルに変えてもいいくらいです」と、呼ばれたことの喜びを語る。あと、「今日は横浜で花火大会なんでしょ? でも、みんなも、ここでなんかを打ち上げに来たんでしょう!」という名MCも披露。名MCすぎて、あとで転換中のMCで出てきたアジカンメンバーたちがパクってました。さらにゴッチも、「名MCだったねえ」と称賛していました。全8曲、“Discommunication”や“The World”“Supernova”などのライブの定番曲に加え、「今アルバムを作ってるんですけど、秋に出るのに夏にぴったりなサマー・チューンができてしまいました」と新曲も披露。こないだのツアーのSHIBUYA-AXでもやっていたけど、赤坂BLITZの凛として時雨との対バンの時はやっていなかった、インストの曲。総じてフロア大満足の内に終了。あと、ギターの滝のアクション、というか暴れ方、私は異様に好きで気付くといつも彼ばっかり観ているんだけど、何が気持ちいいって「ギターの演奏に支障をきたすことを一切気にしていない」点だってことが今日わかりました。そのままつき進んで、いつの日か一切弾かなくなるくらいの次元まで到達してほしい。

3.PHANTOM PLANET

4年ぶりのニュー・アルバムをリリースしたばかり、ロサンゼルスから来日。演奏が始まった瞬間に「うわっ」と思う。音がタイト! ギュッと締まっていて、硬質で、さしてへヴィなアレンジとかではないのに、リズムなんて直線的にドカドカ響いてくる。そんな無骨な音の、超王道の歌物ギター・ロックなんだけど、なんかダンス・ミュージックの匂いがしたりするのもいい(前はもっと露骨にそうだった気がするが、今は「匂い」くらいな感じ)。おそらく今日の出演者の中で最もアジカンのファンになじみのないバンドだったのでは、と思うが、しっかりフロアをつかんでステージを下りた。

4.トクマルシューゴ

私、初めてライブ観たんだけど、面白かった! 歌とアコギ担当の本人以外に、ドラマー、鈴を振ったりアコーディオンを弾いたりピアニカを吹いたりする女性、そしてトクマルの右斜め前方の床に直座りして、しかも韓国の座敷の宴会みたいに終始肩膝を立ててパーカッションを叩く人、の4人編成。アンプラグドで繊細できれい、だけどそれだけじゃなくてなんか豪快だったりワイルドだったりもする、不思議で謎でどんどんひきこまれる全10曲をプレイしてくれた。気付いたら、ホール全体がシーンとしつつもすごい集中力でステージを見つめていた。あと、音楽には関係ないけど、生で観ると写真とかよりもずっときれいな顔をしています、この人。(ここまで兵庫慎司)

5.ストレイテナー

本人たちも「(『NANO-MUGEN FES.』には)ほぼ毎回出演しています」と挨拶したように、今年で5回目の出演となるストレイテナーが登場。メンバーが現れるとともに会場は大歓声に包まれ、“ALIBI”でスタート。いきなり波打つようにアリーナには無数の拳がつき上がる。ストレイテナーのライブを観ると毎回のように思うけど、3人だけで鳴らしているとは到底思えない、凄まじい音圧に圧倒されてしまう。それに加えて、ライブで必ず盛り上がるお馴染みの鉄板曲は、聴く度にアレンジが変わって全く飽きさせない。特にひなっち。“BERSERKER TUNE”ではエフェクトをガンガンかけまくったり、ベースをタッピングしまくったり、毎回違う音を鳴らして楽しんでる。曲が進化してるとはこういうことを言うんだと改めて実感。そこから雪崩れ込むように“KILLER TUNE”でオーディエンスはジャンプしまくり一気に沸点に! ひとしきり盛り上がった後は、“AGAINST THE WALL”で内に秘めた熱を徐々に爆発させ、彼らのライブではもはや欠かせなくなったホリエがピアノを弾きながら歌う“SIX DAY WONDER”でじっくり聴かせる。この静と動のコントラストの心地よさもストレイテナーならではのもの。ラストはアリーナが巨大ダンスフロアと化した“DISCOGRAPHY”でガツンと締めくくってくれた。

6.THE YOUNG PUNX!

超ド派手で、過激で、カオスなステージ! ハル・リットソンとキャメロン・サンダースのUKダンスプロデューサー2人から結成される、THE YOUNG PUNX!。06年のNANO-MUGENにも出演してました。ロックもブレイクビーツもドラムンベースも何でも混ぜ込んだ雑多なサウンドと、会場を超カラフルでハッピーな空間に変えてしまうパフォーマンスにはフロアも大盛り上がり。アジカンの“アンダースタンド”をリミックスした“Rock Star(Understand)”では、もちろんオーディエンスも喜んで踊る踊る! 場内のスクリーンにはアニメーション映像と実際のステージ映像が入り混じり、キラキラの紙ふぶきが飛び出したり、メンバーはもはや衣装というよりはコスプレという感じの派手な恰好で、メインステージ以上に(彼らはDJ&ACOUSTIC STAGEだったのです)大がかりな演出。でも、何よりすごかったのはやっぱり生バンドによるダンス・サウンドの迫力でした。圧巻です。

7.Stereophonics

ステレオフォニックスが始まる前に、ゴッチがステージに登場。大きな声を出して盛り上がってもらうということで、ゴッチがシコを踏む! それに合わせて会場全体が「よいしょ!」と掛け声をかけ、会場からの大きな声が返ってきたところで「最後まで盛り上がっていきましょう!」とゴッチ退場。

そして、いよいよUKよりステレオフォニックスが登場。最新アルバム『Pull The Pin』を携えて今年の2月来日公演を行ったばかりだが、このNANO-MUGENのために早くも再来日。最新アルバムから“Bank Holiday Monday”で幕を明けると荒ぶるロックンロール・サウンドで会場は拳を突き上げ大盛り上がり。“It Means Nothing”や“Have A Nice Day”などポップなナンバーで中盤、穏やかな雰囲気を作り上げながらも、“Superman”で再びダークで骨太でエッジの効いたサウンドを鳴らす。約1時間のライブの中で一番のハイライトはやはり、ケリーによる“Maybe Tomorrow”の弾き語りだった。ケリーの掠れた歌声は艶があって、セクシーだ。オーディエンスも息を呑むように聴き入る。アリーナでこんな贅沢な気分が味わえるなんて、そんな機会を作ってしまったアジカンに感謝です。ラストはどこまでも突き抜けるように爽快なアメリカン・テイストなナンバー“Dakota”で締めくくられた。

というわけで、1日目のレポートはここまで。明日はASH、ASIAN KUNG-FU GENERATIONも含め、全ての出演バンドのレポートをお届けします! お楽しみに!(阿部英理子)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on