NANO-MUGEN FES.に2日連続で出演、その後の単独公演ということで、アッシュのファンとしては、なんともたまらない日々。今回の来日は、今年3月に行われた『トワイライト・オブ・ジ・イノセンツ』を引っさげての列島縦断ツアー以来ぶりとなる。
燃え盛る炎のようなレッドライトに照らされたステージ、登場した3人の気さくさは相変わらずで、フライングVを手にしたティムは青と黒のボーダーのポロシャツにジーンズ、ベースのマークは緑のTシャツにジーンズといったラフな出で立ち。ちなみに今夜のティムの第一声は「サンキュー・トーキョー」。しかし、繰り出される音は鋭い。2曲目にして早くも登場した“バーン・ベイビー・バーン”で場内沸騰。さすがアッシュ・クラシックスとも言える1曲なだけに、一緒に歌えるオーディエンスが多い、と思いきや、続いての、最新作収録の“ユー・キャン・ハブ・イット・オール”でもハンドクラップや「Hey」「Oh〜」と合いの手が気持ちよく入る!! 新旧問わず、実に楽曲が愛されていることがわかる。
一転してステージがブルーの照明に切り替わり、ザ・ポリスっぽいギターのアルペジオが印象的な、疾走間溢れる“リチュアル”に。『トワイライト・オブ・ジ・イノセンツ』は、アッシュ持ち前の抜群のメロディ・センスが、これまでない形でドラマチック/メランコリーに表出した作品であり、少なからずファンを驚かせたが、この作品の収録曲が、ライブの構成の上で強いアクセントとして作用。新作の中でも新機軸を象徴する“ポラリス”などは、彼らのパフォーマンスの世界観に奥行きを与えている。
キャリアとともに磨きをかけてきた演奏力に支えられ、こうした起伏に富む展開が無理なくハマる。特に本編を締めくくった“トワイライト・オブ・ザ・イノセンス”のスケール感は圧巻。壮大なカタルシスをもたらす、まさにスタジアム級のアンセム。昨年のフジでもオーディエンスを恍惚とさせたが、アッシュを次のステージへと押し上げる1曲であることは間違いない。
それにしても、リックは本当に良いドラマーだと思う。『メルトダウン』時のパワーアップぶりは喝采ものだったが、新作での意欲的試みに彼のスキルは相当貢献している。元気印のアッシュが新たな表現力を手にし、前進し続けていること、そしてそれを場内が一体となって祝福しているかのような瞬間が何度も訪れた。
“カンフー”“ジャック・ネイム・ザ・プラネッツ”“Oh Yeah”といった人気曲も続々登場。当然のように合唱で応えるオーディエンスが、なんとも頼もしい。そんな観客からのリクエストに応えて、当初予定になかった“ロスト・イン・ユー”(『1977』収録)も披露された。
これまでのベスト的セットリストで、たっぷり3曲披露されたアンコール含めて全20曲以上をパフォーマンス。最新作発売後、ここ日本における数回のステージを見比べただけでも、その成長ぶりが顕著な彼ら。早くも次の新作への期待感でいっぱいになるが、ティムのMCによれば、どうやら、現在着々と制作が進行しているもよう。
NANO-MUGEN FES.の模様も即日ライブレポでお届けしているので、是非チェックしてみてください。(森田美喜子)
アッシュ @ リキッドルーム恵比寿
2008.07.23