ストーン・サワー @ 赤坂BLITZ

ただただ感激。昨年の『LOUD PARK 10』@さいたまスーパーアリーナでコリィの絶唱を観た時にも、人間がありのままでここまでパワフルなエネルギー放射器になれるんだ!と驚愕したし(ちなみにその時は、その2年前にスリップノットとして、急逝したポールとともに同じステージに立っていたことを思い出したのか、幾度となく感極まったような表情を見せながらも、己のセンチメンタリズムをもぶっ飛ばすような勢いで戦慄のボーカリゼーションを聴かせていたのが印象的だった)、“メイド・オブ・スカーズ”“ゲット・インサイド”などヘヴィ/ラウド/ダイナミックの極みのような楽曲をアリーナ狭しとぶん回すジョイムズ/ジョシュ/ショーン/ロイのエネルギーはそれこそ玉アリの屋根をぶち抜いて空に届くくらいの強度を放っていた……あれからわずか4ヵ月。「シー・ユー・スーン!」と叫んだコリィの言葉通り、ストーン・サワーは日本に戻ってきた。今回のジャパン・ツアーは横浜/東京/名古屋/大阪の4会場を4日間で駆け抜ける超強行軍のスケジュールだが、その負担など宇宙の彼方へ吹き飛ばすくらいの迫力を、ツアー2日目=東京・赤坂BLITZ満場のオーディエンスに体感させてくれた。

ストーン・サワーの核弾頭級の破壊力をソリッドな楽曲と熱唱に封じ込めた冒頭の“ミッション・ステイトメント”をはじめ“デジタル(ディド・ユー・テル)”“アンフィニッシュト”“ヘジテイト”“セイ・ユール・ホーント・ミー”といった最新作『オーディオ・シークレシー』の楽曲を軸にしつつ、“リボーン”“メイド・オブ・スカーズ”(2nd『カム・ホワット(エヴァー)・メイ』収録)、“バザー”“ブロッター”(1st『ストーン・サワー』)などを網羅した鉄壁のリスト。1stの“モノリス”を久々にやったり、コリィがレスポールを抱えてメロディアスに歌い上げた“ヘジテイト”や後半の“バザー”~“スルー・グラス”の流れが轟音絨毯爆撃のようなアクトに緩急とドラマ性を与えていたり……と、「何をやったか」というライブの構成だけでも最高。だが、この日の彼らのアクトが最高なのは、それを「どうやったか」という点においてだ。

何より、本編12曲・アンコール2曲で約80分という比較的コンパクトなセットながら、それを「コンパクト」とはまったく感じなかったのは、その「音を発する」ということにかけての鬼気迫るほどの全身全霊傾けぶりにある。とにかくコリィ、徹頭徹尾パワー全開すぎ。歌、ダイナミックすぎ。NINのトレント・レズナーにも通じる、ぶっとい首を最大限に共鳴させて咆哮のようなボーカルを発するあの歌い方。そして、表情筋の限りを尽くして己のエモーションを歌に刻み込んでいく圧巻のパフォーマンス。スリップノットの時は仮面やコスチュームに隠れて見えないそれらの「シンガー=コリィ」としての表現のキャパシティが、1300人規模のBLITZの空間にごうごうと渦巻いていく。もちろん、観る方も徹頭徹尾大歓声! で、超人的なエネルギーで歌い、腕を振り回し、ドラム台から跳び、かかってこいとばかりにフロアを挑発しながら、「アカサカ、サワゲー!」「トベー!」など日本語MCで満場のフロアをさらに沸点越えの領域へと導いていく。「3つのお願いだ。手を挙げてくれ。俺と一緒に歌ってくれ。そして……(日本語で)トベー!」。怒号のようなぶっとい歓声! そのまま「ツギノ、キョクハ、メイド・オブ・スカーズ!(デス声で)」といった具合に、ただでさえ魂炸裂・大圧勝の音楽を、渾身のパフォーマンスでもって「触れる者すべてに人間の根源的パワーを感じさせるアート」へと昇華させていくのである。ヘヴィでメタルでハードコアでカオティックな側面を多分に内包したストーン・サワーの表現が、それでも聴く者を鼓舞するポジティブなロックとして響くのは、人間の可能性とコミュニケーションを「信じる」のみならず「体現する」コリィら5人のタフネスと覚悟があればこそだ。スリップノットでの奇怪なコスチュームは、異形のヘヴィ・ロックとしてのステイトメントであると同時に「世界の混沌に呑み込まれないための防護服」でもあった。が、ストーン・サワーのステージに立って演奏真っ最中のジョシュ&ジェイムズの脇腹をつっついてみせたりするコリィは、どこまでも人間の体温に満ちていて、朗らかだ。

“ゲット・インサイド”で最高のフィナーレを飾った後、アンコールで再びステージに戻った5人。「みんながラウドにスクリームするなら、あと2曲やるよ!」とコリィ。BLITZ割れんばかりのスクリーーム! “ヘル&コンシクエンシズ”のヘヴィ・サウンドを受けて、さらに勢いを増す歓声とジャンプと拳とクラウド・サーフの嵐に、コリィも感激を隠せない様子だ。「……この景色がどんなに素晴らしいか、俺には説明できないよ! アリガト! This song is dedicated to YOU! ナカユビタテロー!」の声とともに叩きつけるラスト・ナンバーは“30/30-150”! 最高にメタリックでラウドでヘヴィなサウンドと爆裂リズムが、巨大な銀色の弾丸のような輝度とスピード感でもって撃ち放たれ……真夏のような熱気を残して、ストーン・サワー東京公演は終了。そして今日は名古屋:CLUB DIAMOND HALL公演!(高橋智樹)

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