「新木場コースト、あーそびーましょー!!」と、上江洌清作(Vo/B)が屈託の無い笑顔を爆発させると、2500人のオーディエンスでみっちり埋め尽くされたフロアから、超絶スケールの大歓声がわき上がる! MONGOL800が2009年以降に発表した他アーティストとのコラボ曲やカヴァー曲、そして未発表の新曲を纏めたアザーワーク集『etc. works2』のリリース・ツアー『MONGOL800 ga LIVE4』の新木場スタジオコースト公演。5月下旬の台風2号の影響による沖縄でのツアー・キックオフ2公演の延期、そして清作の喉の不調による本公演直前の岩手・北海道3公演の延期など、道中様々なトラブルに見舞われながらも、いよいよツアーは終盤戦。決して万全とは言えない状況の中行われたこの日のライブだったが、終わってみれば、モッシュ、ダイブ、ハンドクラップ、シンガロングにオイ・コール−―ほぼ全編を通して場内をせわしなく飛び交っていた全身全霊のコミュニケートに、終始胸が熱くなりっぱなしの2時間だった。
ツアー途中のため詳細な曲目や曲順を明かすことはできないが、この日は『etc. works2』からの楽曲を中心に、これまでにリリースされた全アルバムの中からまんべんなく全22曲を披露。書ける範囲で言ってしまえば、この日のセットリストは“あなたに”“小さな恋のうた”などのライブ鉄板の曲の他にも、儀間崇(G)がメインボーカルを執った曲や、久しぶりに披露された壮大なスロー・バラード。更には沖縄節全開の曲や、打ち込みサウンドを導入し、清作のボーカルにリヴァーブをかけまくったダブっぽい曲もあったりと、モンパチの全旨味を堪能し尽くせるような超強力な構成。その中でも圧巻だったのは、沖縄三線界のプリンス=よなは徹をゲストに迎えて披露された“こいのうた”(GO!GO!7188のカヴァー)である。清作はアコースティック・ギター、高里悟(Dr)は琉球太鼓と、それぞれ楽器を持ち替えて始まったしっとりとした前半部から、徐々に熱を帯びていくバンドサウンドがフロアの情感を煽っていった中盤部、そしてまさかのサプライズが飛び出して場内の祝祭ムードが一気に跳ね上がったクライマックスと、音楽的にもエンターテイメント的にも、ここにきてますます成長した感のあるバンドの地力の高さを存分に見せつけていた。
また、心配されていた清作の喉の調子も、さすがに全快復とまではいかなかったようだが、随分と良くなっていた。本編中のMCで「いやー、復活! 頑張ります! ちょいちょいおそるおそるですけど(笑)」なんて冗談も飛ばしていたが、ひとたび演奏が始まると普段と比べても遜色のない声量でしっかりと歌を届けてくれていた清作は本当に頼もしく、こちらが見ていてハラハラするような場面は一度もなかったように思う。
そして、この日もまさにそうだったのだが、モンパチのライブを観ているといつも驚かされることがある。オーディエンスが半端じゃなく「あったかい」のである。たとえば“小さな恋のうた”の時なんてほぼ全編シンガロング状態だったし、それ以外の曲でも基本、ずっと拳振り上げっぱなしで、隙あらば大声を張り上げて一緒に歌う。これは他のロック・バンドのライブでもよく見られる光景かもしれないが、モンパチのライブの場合、フロアの前も後ろも、みんながそれをやっているのである。要するに彼らのライブは、オーディエンス間の(高い地点での)温度差のなさ具合がずば抜けているのである。それはもちろん、オーディエンスがバンドを心から愛しているからということに他ならないのだが、思うに、彼らのライブのスタイルにも、その一因はあるのではないだろうか。
ご存知の通りモンパチは、(ユニークすぎるにも程がある前説は別として)演奏中にあまり派手なライブ・パフォーマンスをしない。やったとしても、時折清作や崇がスッと前に出てきて、ソロを弾いて、またスッと戻っていくぐらいの、こういう音楽性のバンドとしては異例なぐらいの淡白さ。目立ったアジテーションもなければ、MCもどこかゆるい。つまり彼らのライブは何も押し付けてこない分、バンドによって「楽しまされる」のではなく、オーディエンスが思い思いに「楽しむ」仕様に特化しているのである。だから誰も脱落することはなく、会場が温度差なく盛り上がっていけるのである。そうやって、フロアが能動的に一体となっていく光景は、かくも開放的で、愛に溢れていて、美しい−―ということを改めて感じることができたのが、この日のライブだった。
なお本ツアーを7月10日(日)の沖縄宜野湾でのワンマンで締めくくった後のモンパチは、ロッキング・オンが主催するROCK IN JAPAN 2011(8月5日(金)出演)を含む全国各地の夏フェスに出演、そして10月には地元沖縄で、音楽フェス『What a wonderful world!! 11』をオーガナイズすることが決まっている。モンパチの季節=夏が訪れるのが、今から非常に楽しみだ!(前島耕)
MONGOL800 @ 新木場スタジオコースト
2011.06.30