1 DJやついいちろう
18時オープン、19時スタートのイベントだったので、開場中の1時間はやついくんがDJするんだろうな、途中からでも聴きたいな、と思ったものの、会社を出るのが遅れ、私が着いた時は最後の1曲でした。すみません、やついくん。曲は彼の定番、チャゲアスの“YAH YAH YAH”。お客さんを踊らせまくりながら、あいさつやアオリやトップに出るアーティストの紹介やらをハイテンションでこなす、やついくんでした。
2 レキシ
元SUPER BUTTER DOG/現(って言っていいのかな、いいよね、解散はしてないし)100sのキーボーディストでセッション・ミュージシャンでプロデューサー的なこともやる男、池田貴史のソロ・プロジェクト。ご存じない方のためにひとことで説明すると、「どファンクにのっけて日本の歴史のことを歌う」というコンセプトのユニットで、3月16日に2 ndアルバム『レキツ』が出たところです。ライヴについてひとことで説明すると、「歌っている時間」よりも「演奏しながらお客をあおる時間、もしくはしゃべってる時間」の方が長い、そんなステージをやる人たち、というか人、です。池ちゃん、一応自分用にキーボード1台置いていて、たまにぐしゃーって弾くんだけど、基本的にはバンド・メンバーの渡(風味堂)に任せっぱなしで、延々とあおったり、しゃべったり、お客にからんだり、そして歌ったり、という、やりたい放題なステージ。その結果、4曲で45分。30分を超えたあたりから「押してるー」「怒られるー」「特に曽我部さんに怒られるー」などと言いながら、決して巻こうとはしない池ちゃんでした。大笑い。「おもしろきゃいいのか?」と「おもしろきゃいいのだ」が延々とバトルを続け、最後に後者が僅差で勝ちました、みたいな印象でした、トータルで。
途中、『三国志』の馬超の衣裳で、やついくんも登場。『タモリ倶楽部』の「手作りヨロイ特集」を参考に、自作したそうです。「それダメ! 中国だから。日本史じゃなくて世界史だから」と、池ちゃんに否定されながら、そして手作りヨロイのパーツをぼろぼろ床に落としながら、“きらきら武士”を一緒に歌っておられました。
3 西寺郷太(NONA REEVES)
DJ。1曲目、COMPLEXの“BE MY BABY”。そして2曲目、「日本ロック・ミュージシャン界1位のマイケル・ジャクソン・マニア」(2位はトライセラ和田唱。あ、私が勝手につけた順位ですが)の面目躍如、“BILLY JEAN”。で、次は、「やついくんのミックスCDに入っていてびっくりした曲です。僕も昔聴いて、『日本語でこんなかっこいいことやれるんだ』って思った」という説明のあと、エレクトリック・グラス・バルーンの“SUMMER KING”をかけました。しかし郷太さん、「DJのSUGIURUMNがやっていたバンドです」という解説はもちろん必要だけど、「このあと出てくる丸山晴茂くんが、サニーデイの前にいたバンドです」という事実も、言わないと。なんで言わないかなあ。と思ったが、考えたら、このシングルが出た時は、晴茂くんもうエレグラやめてたかも。だからかも。
そして、最後の1曲、「ここでゲスト、僕がプロデュースした人たちです」と紹介、アホウな衣裳に身を包んだエレキコミック+ラーメンズ片桐仁が登場。この3人がレギュラーを務めるTBSラジオ『JUNK ZEROエレ片のコント太郎』から生まれたユニット、「危険日チャレンジガールズ」として、持ち歌“FUNKY FUN!!!”を披露。郷太もマイクを持って歌に参加。大ウケでした。
4 andymori
えーと、曲目とか曲順とか、どれくらい詳しく書いていいのか、ちょっと迷います。ツアー中とかじゃないから、書いたっていい気もするが、翌日(つまりこれがアップされる日)、同じ渋谷で、ここO-EASTから徒歩5分のところで、ライヴあるのです、andymori。フラワーカンパニーズのイベント『シリーズ人間の爆発』のゲスト、渋谷クラブクアトロ。まったく同じセットリストでやるかもしれないし。
よし。やめた、曲名書くの。基本、これまでの代表曲たちと、ニュー・アルバム『革命』の曲たちが、いい感じで入り混じったセットリスト。1曲が短いので持ち時間が少なくても曲数たっぷり聴ける、という利点がandymoriにはあるが、にしても、驚くほどに、よい意味で「抑揚がない」、このバンドのライヴって。と、観るたびに思う。いや、観るたびにというか、観れば観るほど、強くそう思う。どう「抑揚がない」のかというと、「代表曲とそれ以外の曲の差がない」という意味において、です。つまり、全部いいのです、曲が。最近、ほかのバンドでも同じようなことを書いた気がする。誰だっけ。そうだ、plentyだ。同じ事務所所属だ。そういう会社なのか、フェイス・ミュージック・エンタテインメント。そんなことはいいですが、聴いているともう狂おしくて、喉がつぶれるほど叫んだり、壁にがんがん頭を打ちつけたりしたくなります、ほんとに。
小山田、「今日はサニーデイと一緒にやれるというんでテンション上がってます」とひとこと。最初に会ったのは、曽我部の会社、ROSE RECORDSのオフィスで、PCで普通に仕事してた人が曽我部さんで、びっくりした、みたいなことを言っていた。はい、確かに、PCで仕事していたり、ネット通販のCDの宛名書きをしていたり、ママチャリで前と後ろに子供を乗せて下北を走ったりしている、そういうミュージシャンですね、曽我部さん。
DJとしては二度目の登場。こないだ出た曽我部ソロ収録の“なにもかもがうまくいかない日の歌”や、神聖かまってちゃん“ロックンロールは鳴り止まないっ”をかけたあと、「ゲストです!」とIMALUを呼び込む。で、IMALUとのユニット、「SUSHI PIZZA」で1ヵ月前に配信リリースしたシングル“マイティDISCO”を歌う。曽我部が書いた曲の歌詞にやついくんが手を加え、それをRAM RIDERがプロデュースした、華やかな4つ打ちのダンス・ポップ・チューンです。O-EAST、一気に、さらに、楽しい空気になる。
なお、やついくん、「デビュー・シングルにして最後のシングル!」と叫び、IMALUに「そんなこと言わないの!」ってたしなめられてました。
6 サニーデイ・サービス
まず曽我部、出てくるなり、“マイティDISCO”について、「いやあ、すごいちゃんとした曲になっててびっくりした。何年も前に書いた曲で、3分くらいで適当に作ったのに」とコメントしてから、ライヴに突入。昨日、自分のブログにも上げましたが、セットリストはこんな感じでした。サポート・メンバーなし、3人だけの演奏と歌でした。
恋におちたら
江ノ島
若者たち
ふたつのハート
NOW
サマー・ソルジャー
胸いっぱい
アンコール:コーヒーと恋愛
“江ノ島”と“サマー・ソルジャー”のせいだと思うが、全体に「夏」な感じの選曲。前日も青山CAYのイベントに出たせいだと思うが、プレイも安定していて(ってことは、安定していない日もあるってことですが)、もう、大変にいいライヴでした。しみじみと堪能しました。そう、夏を、「テンション高い」や「暑い」だけじゃなく、「しみじみと」みたいなニュアンスで感じさせてくれるのって、今も昔もこのバンドくらいだよなあ。と、観ながら思った。あ、あと、はっぴいえんどもそうか。ライヴ、観たことはありませんが。
なお、アンコールの“コーヒーと恋愛”には、やついくんも参加。間奏の、いつもは晴茂くんが吹くカズーのソロを担当するも、最初のひと吹きで見事に音が出ず、演奏ストップ。曽我部と田中に吹き方を教わって再トライ、完奏。拍手を浴びておられました。
7 DJやついいちろう
シメに3度目の登場。まず、これもDJやついのおなじみ、YUIの“C.H.E.R.R.Y”をかける。フロアいっぱいに腕が左右に振られる振られる、もう。そして、「ここで最後にスペシャルゲストです。KARAです!」と紹介、ラーメンズ片桐とエレキコミック今立がKARAのつもりらしい女装で登場、“MISTER”に合わせて踊りまくる。これ、ちょっと解説が必要ですね。曽我部がMCで「すごいおもしろかった」と言っていた、そして田中は「会場に行く途中でやついくんから『満員で入れません』ってメールが来て、帰った」と愚痴っていた、今年6月1日~5日に、六本木・俳優座で行われたエレキコミックのコント・ライヴ『第20回発表会 「NaNoNi」』。その中に、このネタ、あったのです。ネタというか、正しく言うと、コントの合間に流れる映像での企画。エレキのふたりが、ダンスの先生について「MISTER」の振り付けを猛特訓し、それぞれが正体を隠して自分のダンス映像をニコニコ動画にアップ、どんなコメントが書き込まれるか見てみよう、というものだったのでした。大笑いでした、それはもう見るも無残なコメントばかり書き込まれていて。というのを、生でやったわけです。そのことを知っている人も、知らない人も含めて、大ウケ。
そしてラスト1曲は、これもやついくんの定番、TRF“survivl dAnce”。フロアみんなジャンプしまくって、全編終了。最後に出演者全員を呼び込んで紹介とあいさつ、で、みんなをはけさせてシメようとしたところで、やついくん「ああっ、写真撮るの忘れてた! みんな、戻ってくださーい!」と呼び戻し、フロアをバックに全員で記念撮影。で、本当にすべてが終わりました。
最後にやついくん、「次はフェスをやります!」とか口走っていた。大丈夫か。でも確かにやりたくなるかも、これなら。と思わせるような、頭っから最後まで、すんごくよい空気が場を覆っていたイベントでした。どれかのバンドが、誰かのDJが、フロアの休憩時間になる時がない。最初からラストまで、あっついまんま。ROCK IN JAPAN FES.やCOUNTDOWN JAPANのDJブースの、ピーク・タイムがずっと続いているみたいなイベントでした。要はお客さんがいいんだけど、ただ、その「いいお客さん」を集めたのは、サニーデイでもandymoriでもレキシでもなく、やついくんの力だと思う。
「ちょっとくらいはアウェイかと思ってたら、なに? このホーム感!」
レキシのライヴの時、池ちゃんが思わず放ったこのひとことが、すべてを表していると思いました。(兵庫慎司)