京都大作戦2011〜今年も楽しむ覚悟でいらっ祭!〜(1日目) @ 京都府立山城運動公園

「闘う時がきたぜ! いくぜおらああああ!」とか「もう必死! 出てる人もスタッフも、みんなが同じこと思ってる。『京都大作戦』大成功、みんなが祈ってる! 俺は最後まであきらめない!」とかトリのステージで叫び上げる10-FEET・TAKUMAの声は鬼気迫るテンションに満ちている――が、それは取りも直さず、早くも今年で4回目(台風直撃で中止になった2007年の回を含めれば5回目)を数える10-FEET主催のロック・フェス『京都大作戦』1日目の会場が、出演アーティストを高揚感の彼方へと押し上げていくとんでもなくカオティックな熱量と、それでもフェス全体としては至ってピースフルな運営を可能にするオーディエンスの意識とが高次元で融合された、まさに一種の理想郷的な爽快さに満ちていたからに他ならない。歓喜のあまり、10-FEET自身が尋常でないテンションにならずにいられなかった、ということだと思う。

昨年同様、メイン・ステージ「源氏ノ舞台」1日8アクトとサブ・ステージ「牛若ノ舞台」7アクト、さらにストリートボール・リーグ=SOMECITYのエキシビジョン・マッチなどが行われるインドアの「鞍馬ノ間」、という3ステージ構成で開催されている『京都大作戦2011』。前日に梅雨明けが発表され、これ以上ないくらいの炎天下の中、メインMC=MOBSTYLES・田原104洋がオン・ステージ! 「北海道から来た人!」「沖縄から来た人!」と毎年同様のコール&レスポンスをしていく中で、「東北から来た人!」でフィールドに挙がる手に、ひときわ大きな拍手が巻き起こり……11:30、恒例の60秒カウントダウン、そして「3年ぶりに帰ってきたぜ! 京都のウッドストック・『京都大作戦』へおこしやす!」—―まさに3年前の『京都大作戦2008』でも1日目トップバッターを務めたROTTENGRAFFTY・N∀OKIの絶叫とともに、いよいよ『京都大作戦2011』開幕!

ROTTENGRAFFTYがいきなり“IMPOSSIBLE IZ NOTHING”でヘヴィ・ミクスチャーとダンス・ロックの境界線を決壊させながら「俺たちの夢でありお前たちの夢でもあった『京都大作戦』が始まったんだよ! 初日の一発目に選ばれたからには、こんなもんじゃねえんだよ!」(NOBUYA)とばかりに地元の誇りに満ちあふれた号砲をぶち上げたかと思えば、『京都大作戦』初登場となるTHE BACK HORNは一転して“コバルトブルー”“闘う君よ”でオーディエンスの身体も魂も紅蓮の炎で包むロックの闘争空間へと「源氏ノ舞台」丸ごと叩き込み、祈りそのもののような“世界中に花束を”で優しくも荘厳な世界を描き出してみせる。同じく初登場となるフラワーカンパニーズは“恋をしましょう”で会場を一気にタガの外れたロックンロール空間へと染め上げながら「これこそ自然エネルギー! タービン回せるんじゃねえのか!」(圭介)とばかりに“深夜高速”やラストの“真冬の盆踊り”まで魂全開大爆走! 「世界中にはいろんな『作戦』があると思うけど、『京都大作戦』は世界中のどんな作戦よりも幸福で、最高のフェスだと思います!」というのはACIDMAN・オオキ。“world symphony”や“赤橙”を経て“ALMA”の雄大なサウンドスケープで夏空を銀河に塗り替える――というスペクタクルを35分のアクトに盛り込んだ、意欲的なアクトを見せていた。そんな「源氏ノ舞台」のアクトの一方で、THE TRUST BLAST/Vibedred/若旦那/韻シスト/I-RaBBits/MAN WITH A MISSION/F.I.Bといったラインナップの「牛若ノ舞台」も大盛況! 今年ソロ・デビューを果たした湘南乃風・若旦那がアコギをバックに朗々と歌い上げたり、「人間のみなさん楽しんでますか! 次の曲聴いて死んじゃってください!」と謎のオオカミ集団=MAN WITH A MISSIONがハイパーでハイブリッドなサウンドを轟かせたり……というアクトで、幾度も入場規制の熱狂ぶりを見せていた。

「源氏ノ舞台」後半も熱い! 「後ろのほうのサークル、マジ最高! 前のやつは、回れなくても、上へ上へ……あの山よりも、空よりも高く! もういいや! 宇宙まで行っちゃおうぜ!」と、灼熱の陽気をさらなる狂騒へ煽るのは難波章浩! “PUNK ROCK THROUTH THE NIGHT”に続いて「よーし、じゃあもう一発輝いちゃおっか!」と叩きつけるのはもちろんハイスタの“STAY GOLD”! 「9月18日、ハイスタの3人でこの曲やります。僕は興奮して、夜も毎日……夜も毎日……亀頭がぶるぶる震えております!」といったMCも、「『あの街』ってどこだ? じゃあ仙台、福島にしよう!」と披露した“TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS”も最高! 続いてはMINMI。浴衣姿の大編成バンドの前に「いくぞ『京都大作戦』! 今年もいくぞー!」と弾むように飛び出してきたMINMI、いきなり“シャナナ☆”“サマータイム!!”で広大なフィールドを一大タオル風力発電所へ変え、「2003年に作ってから1回も披露したことのない、『京都大作戦』のために作ったような曲!」というヘヴィ・ロック――というかメタル・ナンバー“Are Yu Ready Feat. 10-FEET”を投下、「ロックを感じたらこう、3本指出して!」というMINMIのコールでフィールドにはサークルとタオルと3本指がひしめくカオスに! 「震災のせいだけじゃなく、みんなの周りにもいるかもしれない笑われへん人のために」と“向日葵”を豊潤に歌い上げ、最後は“ハイビスカス”!  トリ前を飾ったのはサンボマスター。1曲目“青春狂騒曲”から「こんなもんじゃねえだろ!」「まだ恥ずかしがってるやつがいる! 恥ずかしがりに来たのか踊りに来たのかどっちだ!」「世界一、いや宇宙一のライブにしましょうね!」と力の限りに会場をアゲ倒し、“世界をかえさせておくれよ”“そのぬくもりに用がある”“世界はそれを愛と呼ぶんだぜ”といった必殺曲に加え猪苗代ズ名義の“I love you & I need you ふくしま”を汗と涙まみれで歌い上げる。「ロックンロールにはできんじゃねえかと思ってんだ!」と“できっこないをやらなくちゃ”で大団円!

そして10-FEET! それこそTAKUMAがど頭のROTTENGRAFFTYに乱入しては“切り札”でN∀OKIとWブルースハープをキメてみせたり、フラカン“真冬の盆踊り”の♪よっさほーい、よっさほーい、の掛け声につられてステージに出てきてでっかいコール&レスポンスを炸裂させたり「どじょうすくい」ばりのダンスを披露したり、MINMIの“Are Yu Ready”では「ロックンロール・レジェンド!」というコールに応えてスラッシュ・メタルかってくらいのヘヴィ・ギターを弾き倒したり……と、フェスのオーガナイザーの範疇を大いに超えまくった大活躍を見せ、会場の温度をさらに天井知らずに煽りまくっていたが、何よりヘッドライナーとして“hammer ska”や“1sec.”で会場をでっかく揺らす、TAKUMA/KOUICHI/NAOKIの音のスケール感と破壊力! さらに、“super stomper”では「鞍馬ノ間」出演の大阪籠球会が登場してTAKUMAの後ろでEXILEや千手観音ばりのパフォーマンスを見せたり、「難波兄さんです!」というTAKUMAのコールとともに現れた難波章浩とともに“NEW LIFE”“STAY GOLD”をやったり、“2%”では若旦那が乱入したり……といった百花繚乱コラボが、何度も「来年も必ずやろうな!」と叫ぶTAKUMAの言葉が、そしてアンコールの最後“VIBES BY VIBES”で「世界はそれを『京都大作戦』と呼ぶんだぜ!」というサンボマスター山口ライクなTAKUMAの絶叫が、1日目の成功を祝う打ち上げ花火のように誇らしく響き渡った。

2日目も、ここ京都からレポートします。(高橋智樹)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする