前作『ソングス・アバウト・ジェーン』が全世界で1000万枚を記録したマルーン5。アーシーなアメリカン・ロックと、R&Bやファンクのグルーヴをかけ合わせることで異常に快楽指数の高いサウンドを生み出した彼らだが、セカンド・アルバム『イット・ウォント・ビー・スーン・ビフォー・ロング』はそれを更に鍛冶研磨。そして、この日のライヴは、そうしたこれまでとの格の違いを見せ付けられるものだったと言っていい。
最新作と同じく“イフ・アイ・ネヴァー・シー・ユア・フェイス・アゲイン”でスタート。ヴォーカルのアダム・レヴィーンは昨日出演した『ミュージック・ステーション』と同じく角刈りとでもいうヘアスタイルで登場。アメリカではセクシー・シンボルにまでなっている人で、なんでそういうことになっているのか、自分には分からないが、サウンドのほうは完璧。前作のツアーのときはAC/DCのカヴァーを無邪気にやっていたりしたが、今回は「フュージョン」という言葉が思い浮かぶほどの求道精神で、アルバムの音を完璧に再現してみせる。しかも、“メイクス・ミー・ワンダー”“ハード・トゥ・ブリーズ”“サンデイ・モーニング”とヒット曲を連発しながら、それでもアンコールには更なる巨大アンセム“シー・ウィル・ビィ・ラヴド”と“ディス・ラヴ”が登場するのである。たった2枚で数多くのヒット曲を生んだマルーン5。そうした彼らの作曲センスを十二分に伝えるバンドとしての体力を身につけていた。(古川琢也)
マルーン5 @ ZEPP TOKYO
2007.06.23