WEAVERのおよそ1年ぶりとなる全国ツアー「WEAVER 3rd TOUR2011 ジュビレーション 〜太陽と月のパレード〜」のファイナル公演、渋谷公会堂2デイズの2日目。定刻を少し回った19時5分にメンバーが登場。会場を包む拍手喝采が自然とリズミカルなハンドクラップへと移行していき、いきなりの必殺曲“Hard to say I love you ~言い出せなくて~”でライヴがスタート。最近のWEAVERのライヴに欠かせない存在となった上モノ二人=芳賀義彦(G)、桜田泰啓(Key)をサポートに迎え、5人編成で届けられる瑞々しくも重厚なアンサンブルが冒頭から眩いスペクタクルを描き出していく。続いて杉本雄治(Vo/Piano)の「渋谷のみんな会いたかったよ! 今日はみんなで今年一番幸せな1日にしましょう!」という挨拶から“心の中まで”、河邉徹(Dr)のダイナミックなドラム・プレイから“管制塔”が立ち上がり、場内の熱気がグンと跳ね上がる。
ステージ前方に飛び出しハンドマイクで伸びやかな歌声を響かせる杉本、骨太なベース・ラインを屹立させてサウンド全体を支える奥野翔太(B)、そして多彩なリズム・パターンを駆使して楽曲の色合いを決定づける河邉。震災直後の4月に同じ渋谷公会堂(当時は渋谷C.C.Lemonホール)で見た彼らは、「この状況下で自分達は、音楽は何ができるのか」という問いと必死に格闘しているようであったが、その後「自分達が精一杯楽しむことがお客さんを楽しませることに繋がる」という答えを見出したのだろう。この日の3人は以前にも増して実に生き生きと音楽に向き合っている様子である。演奏中の彼らが見せる目の覚めるような笑顔に、思わずこちらの顔も綻んでしまう。また、そんな彼らの心境の変化はバンドの出音にも直結しているようで、音数の増加や細かいアレンジの変更ということでは説明しきれないほどに、カラフルなバンド・サウンドが帯びるドラマ性やスケール感が格段にパワーアップして、大きなホールに良く映えていた。
杉本の静謐なピアノ・イントロが会場を感動ムードに染め上げた“キミノトモダチ”を終えてからのMCでは、奥野が高校1年生の時にやった路上ライヴで、お客さんがナメクジしかいなかった(しかも終わる頃には潰されていた)という、WEAVER最初期(ちなみに当時杉本はギターを担当していた)の切ないエピソードを紹介。その後は杉本以外のメンバーがステージからはけて、杉本がピアノ弾き語りで“『あ』『い』をあつめて”をしっとり歌い上げる。続いて、奥野と河邉が戻ってきて、3人編成で“ネバーランド”“白朝夢”とノンストップで駆け抜けていく。そして、ライヴ中緊張のあまりしゃべれなくなるという河邉が、自身の声が録音されたタブレット機器を使って奥野と漫才風のちぐはぐなやりとりを行って会場の笑いを誘ったMCから、この日(12月21日)発売のニューシングルの表題曲“笑顔の合図”へ。桜田がシンセを使って再現する華やかなブラス・セクションや、河邉が刻む躍動感満載のツービートで彩られた、WEAVERのディスコグラフィの中でも屈指のポップさを持つこの曲が、場内を包み込む開放的でハッピーな空気を、クライマックスに向けて無尽蔵に高めていくのであった。
ライヴ終盤、彼らの大躍進のきっかけとなった“僕らの永遠 ~何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから~”、そして杉本のエモーショナルなボーカルが炸裂した“2次元銀河”を経て、デビューアルバム『Tapestry』に収録された“トキドキセカイ”が投下されると、場内のテンションはいよいよ沸点を突破。それに応えるかのように、立ち上がってシンバルを思いっきり叩き付けたり、勢いをつけすぎてスティックを吹っ飛ばしたりしていた河邉を中心に、メンバーの演奏もラストスパートがかかり始める。そして、星空を模した無数の電飾がステージを照らし、最高の雰囲気の中で届けられたラスト・ナンバーは“Shine”。大サビ直前、「今日はみんなのおかげで最高の景色が見れました! 最後は一緒に歌ってください!」という杉本の呼びかけで場内に巨大なシンガロングを巻き起こし、途方もない一体感でもってライヴ本編を締めくくった。
どこからともなく起こった「WEAVER!」コールで突入したアンコールでは、まずは杉本が「こうやって今日このステージに立って、みんなと音楽を楽しめたことを本当に感謝しています」とお客さんへの感謝を述べてから、来年春からの全国ライヴハウス・ツアーを発表。そして「僕たちがバンドを始めて最初のほうに作った曲で、3人の『伝えたい』という気持ちがとても詰まった曲です」という杉本の紹介から次回ツアーのテーマとなる“66番目の汽車に乗って”、「みんなの明日がもっともっと輝く1日になるように、思いを込めて歌います!」と“ティンカーベル”を立て続けに披露して、最後に深々とお辞儀。眩しい笑顔を振りまきながらゆっくりとステージを去っていく3人に、いつまでも惜しみない拍手が贈られていた。
「もう一度原点に戻り、3人だけで鳴らす音楽を全国の皆さんに届けたいと実感しています」と杉本がブログに綴っているように、サポートメンバーを迎えずに3人のみで行うことを決めた、来年3月からの全国31箇所33本のライヴハウス・ツアー「WEAVER Live House TOUR 2012 Piano Trio Philosophy 〜do YOU ride on No.66?〜」。彼らはこのツアーで自分達3人の音楽を今一度見つめ直し、一回りも二回りも大きく成長することになるのだろう。まだまだ終わりそうにないWEAVERの快進撃を、これからも見守っていきたい。(前島耕)
[セットリスト]
1. Hard to say I love you ~言い出せなくて~
2. 心の中まで
3. 管制塔
4. 春色グラフィティー
5. Letter
6. 青に変わって
7. キミノトモダチ
8. 『あ』『い』をあつめて
9. ネバーランド
10. 白朝夢
11. 笑顔の合図
12. 僕らの永遠 ~何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから~
13. 2次元銀河
14. トキドキセカイ
15. Shine
アンコール
1. 66番目の汽車に乗って
2. ティンカーベル
WEAVER @ 渋谷公会堂
2011.12.21