GO!FES 2012(1日目) @ 幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール

東日本大震災の影響で中止された昨年を経て、約2年ぶり2度目の開催となったGO! FES 2012。17日・18日の2DAYSにわたって計16組のアーティストが出演する当フェスのレポートを、RO69では2日連続でお届けします。以下は、その1日目。出演アーティストは出演順に、倉木麻衣/SEKAI NO OWARI/溝渕 文/ステレオポニー/BENI/Perfume/JUJU/FUNKY MONKEY BABYSです。

倉木麻衣
オープニングMC鮎貝健の「昨年の開催中止を経て、ついにこの日を迎えました!」という開会宣言に続いて、複数のダンサーを従えステージに颯爽と舞い降りた倉木麻衣。スパンコールがギラギラと輝く黒のジャケット&黒のパンツという出で立ちで、1曲目の“Stand Up”から激しいダンスを披露していく。序盤はサンバ、ラテン、R&B、ロックンロールなどパワフルな楽曲で果敢に攻め立て、終盤はしっとりとしたバラードや“Love.Day After Tommrrow”などのアッパー・チューンで煌びやかに上り詰めていくステージ。披露される曲はとにかく多彩だったけど、すべてに共通していたのは常にステージの中心で舞い踊り、フロアに向かって拳を突き上げ、涼やかな歌声を響かせる倉木麻衣の求心力の高さだ。特にダンサーが掃けて情感溢れる「祈りの歌」を1人で届けた“Strong Heart”のエネルギーはすごかった。フェスに参加すること自体がレアなアーティストだけど、それ故にショウアップされたステージの完成度の高さと、「すべてのオーディエンスとひとつになろう」とする倉木麻衣の真摯な姿がはっきりと見て取れた40分。フェスの幕開けを告げるにふさわしい、圧巻のアクトだった。

SEKAI NO OWARI
「うおー!」という地鳴りのような歓声に迎えられたSEKAI NO OWARI。1曲目“スターライトパレード”から幕張メッセを大きく揺らすと、続く“虹色の戦争”では満場のオイ・コールを誘発! 煌びやかなエレクトロ・ビートとピアノの音色を基調としたファンタジックな楽曲世界からは想像もできないほど、野性味あふれる熱狂が幕張メッセを包んでいく。その後もレーザービームが場内を飛び交った“世界平和”、モニターに象徴的な歌詞が映し出された“Love the warz”、ステージ両脇からシャボン玉が放たれて幻想的なムードを作り上げた“不死鳥”など、さまざまな演出効果を駆使して楽曲ごとに濃密な音世界を築き上げていく彼ら。「世界平和」や「生と死」というテーマと真正面から向き合ったメッセージは、時にビックリするほど深い批評性に富んでいるけれど、それをメロディと演出の力でキャッチーに伝えていく手腕には、ライブを観るたびに驚かされる。MCでのメンバー同士の奔放な掛け合いも、まだオリジナル・アルバムを1枚しか出していないアーティストとは思えないほど堂々たるもの。ラスト“インスタントラジオ”では映像/レーザー光線/シャボン玉が入り乱れる祝祭空間を生み出して、無敵のセカオワ・ワールドを完遂させた。

溝渕 文
サウンド・チェック中には「イエーイ!」とオーディエンスに手を振っていた溝渕 文。本番では一転して、深みあるブルージーな歌声をしっとりと響かせていく。今日の空模様とリンクするような1曲目の“雨粒”から、聴き手をじんわりと癒す包容力に満ちた楽曲を次々と披露。ホーン隊や鍵盤を交えたバンド編成で紡がれるジャジーなサウンドの上で、母なる大地を思わせる清らかさと大きさを湛えた溝渕 文のヴォーカルがどこまでも伸びていく。本人は「こんな大きなステージでやるのは初めてで、ものすごく緊張しています」と言っていたけれど、真っ直ぐとフロアを見つめて芯の太い歌声を届けていくその佇まいは、凛とした強さに満ちていたと思う。軽快なリズムでハンドクラップを誘った“CHARGE”を経て、ラストを飾ったのは「このステージのために作った曲があります」と紹介された新曲“マリー”。ふくよかなホーンの音色が映えるスロー・チューンに乗せて、透明で艶やかな歌声を伸び伸びと広げてくれた。

ステレオポニー
SHIHOの激しいドラミングで幕を開けたステレオポニーのステージは、初っ端から漲るガールズ・パワーがパンキッシュに炸裂! ダイナミックなリフとビートがせめぎ合う“effective line”“I do it”を畳み掛け、幕張メッセを業火の只中へと引きずりこんでいく。逸る思いを剥き出しにしたようなAIMIの無防備なヴォーカルもいい。迷いや不安を抱えながらも前へ前へと進んでいく勇猛果敢なロックンロールに導かれ、フロアから突き上がる拳もみるみる熱を帯びていった。赤黒いグルーヴがトグロを巻いた新曲“stand by me”などを経て、「一緒に踊ろうか!」と口火を切った“ビバラ・ビバラ”“星屑カンテラ”“ヒトヒラのハナビラ”3連打ではフロア中の手とタオルが揺れるダンス・タイムを創出。ラストは最新アルバムでコラボレーションを果たしたserial TV dramaのギター隊=新井・稲増をゲストに招き入れ、“狼”“Blowin’ in the world”をエネルギッシュにプレイして華やかなクライマックスを迎えた。

BENI
いまだ冷めやらぬステレオポニーの熱気を鎮めるかのような、硬質なR&Bサウンドで幕を開けたアクト。黒いシースルーのトップス&トリコロールのフリルスカートという出で立ちで現れたBENIは、オープニング・チューンの“ユラユラ”から切れ味鋭いダンスでフロアを魅了していく。キラキラとした笑顔でステージを所狭しと動き回るその姿は、キュートそのもの。しかし彼女が放つ歌声は、驚くほどパワフルかつ男前だ。特に“もう二度と”“恋焦がれて”などの切ない恋心を綴ったバラードでこそ、鍛え上げられたヴォーカルのしなやかな強さが際立っているのがおもしろい。中盤には3月21日にリリースを控えたカヴァー・アルバム『COVERS』から、EXILEの“Ti Amo”英詞ヴァージョンを披露。終盤は“Darlin’”“ギミギミ”“Oh yeah”とアタック感の強いエレクトロ・ビートで押しまくるアッパー・チューンをノンストップで歌い上げ、全11曲のアクトを煌びやかに締め括った。

Perfume
オープニングSEの強烈なエレクトロ・ビートが放たれるなり、ハイ・ジャンプの嵐と化した幕張メッセ。そのまま“レーザービーム”へ雪崩れ込むと、文字通り無数のレーザービームが乱れ飛ぶステージ上で一糸乱れぬダンスを披露する3人に、地鳴りのようなオイ・コールが送られる。聴き手の腰を無尽蔵に揺らすビートとキャンディ・ヴォイスで彩られた楽曲そのものの輝きは言うまでもないけれど、Perfumeのライブを観るたびにもっとも胸が揺さぶされるのは、何かにとり憑かれたようにノンストップで踊り続ける3人のストイックなパフォーマンスだ。MCでの旺盛なサービス精神も含め、常に高いテンションでライブを展開していくさまは、まるで見えない敵と闘っているみたい。特に「この日のために作った」という銀ギラの衣装を纏った今日の3人は、鉄の鎧で武装したジャンヌ・ダルクみたいな強靭なオーラを放っていた。“ねぇ”“スパイス”など最新アルバムの楽曲が中心の前半を経て、“チョコレイト・ディスコ”“ポリリズム”“Puppy Love”の連打で一気にクライマックスへと上り詰めた電光石火のアクト。その圧勝ぶりを物語るように、ステージを去る3人の額の上で大粒の汗がキラキラと輝いていた。

JUJU
1曲目“この夜を止めてよ”の歌い出しの一声で、場内の空気を一変させてしまったJUJU。続く“素直になれたら”では、イントロが鳴った途端に「おぉー」というどよめきがフロアを包み込む。どちらも、シーンのど真ん中で確かなポジションを築いてきたアーティストとしての貫禄を感じさせる、象徴的な一幕。しかしステージ上のJUJUは、あくまで肩の力が抜けている。「今年初のフェスですが、ここからは皆さんがあまり知らないバラードも沢山やります」とクールに告げてみたり。R&Bのスローなリズムにゆらゆらと身を委ねてみたり。そんな開放的なムードに満ちているからこそ、観客1人1人に語りかけるように届けられるしなやかなヴォーカルは、乾いた土に水が染み込むようにすべてのオーディエンスを癒しているように思えた。GO! FESへの出演は今回で2度目となるJUJU。ラストは「またこの場所で会えることを信じて歌います」(“Trust In You”)、「明日からの皆さんの毎日がやさしさで溢れますように」(“やさしさで溢れるように”)と、ふたつの祈りの歌を届けて大団円。大らかで慈愛に満ちた歌声に、会場全体が包まれた至福のアクトだった。

FUNKY MONKEY BABYS
GO! FES 2012、1日目のヘッドライナーはFUNKY MONKEY BABYS! まずはSEに乗ってステージに勢いよく飛び出したDJケミカル、ひとしきりステージを飛び回ってターンテーブルにつくと、いきなりボン!という爆竹の特効が! そのまま“希望の唄”へ雪崩れ込めば、これまた勢いよく現れたファンキー加藤&モン吉がスピーディーなライムをブチかまして満場のハイ・ジャンプを誘っていく。その後も広いステージの端から端まで猛ダッシュで駆け回りながらエネルギーを爆発させていく3人は、とにかく「熱い」の一言。2曲目が終わった時点で早くも酸素ボンベを吸引しているファンキー加藤の姿にはさすがに笑ったけれど、それだけパフォーマンスに全力を尽くしている証だろう。「哀しみの向こうの幸せにたどり着けるように歌います!」(“あとひとつ”)とか、「(幕張メッセが)ひとつになって不可能を可能に変えましょう、絶望を希望に変えましょう!」(“ちっぽけな勇気”)とか、いちいち熱い思いに溢れたMCも胸を突く。ファンモンが歌う肯定のメッセージは決して目新しいものではないけれど、それを過剰なほどの熱さと実直さで伝えることにより、他の誰しもが真似できない大きなうねりとなってリスナーの胸を揺さぶっていくというファンモンならではの魔法が、この日のアクトには確かに生まれていた。本編ラスト“西日と影法師”で木漏れ日が降り注ぐような温かな祝祭空間を生み出した後は、アンコール“悲しみなんて笑い飛ばせ”でフロア中のタオルを旋回させて大団円。8時間半にわたって熱狂で彩られたGO! FES 2012初日を締め括るにふさわしい、最高のフィナーレだった。さあ、2日目も乞ご期待!(齋藤美穂)
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