アーティスト

    GOOD4NOTHING @ SHIBUYA O-EAST

    GOOD4NOTHING @ SHIBUYA O-EAST
    GOOD4NOTHING @ SHIBUYA O-EAST
    3/1から全国19公演(5月中旬以降の8公演はワンマン)という長期スケジュールで駆け抜けてきた、ベスト盤『GREATEST HITS!?』及びシングル『RIGHT NOW』を携えての『RIGHT NOW TOUR 2012』ファイナル。その間には中国でのツアーも行われ、『JAPAN JAM 2012』ではスコット・マーフィーそして世良公則と豪華セッションも披露。更に新作のレコーディング、韓国に飛んでライヴと、想像を絶するような濃密さで活動履歴を更新してきたGOOD4NOTHINGである。

    メンバーが一斉に華々しいコーラス・ワークを浴びせかける“RIGHT NOW”を合図として、まるで渦を巻くように猛烈にモッシュ&クラウド・サーフが繰り広げられる歓喜のフロア。ここから『GREATEST HITS!?』の全曲、『BACK 4 GOOD』からも数曲、そして唐突に繰り出されるファスト&ショートなナンバーの数々という、まさにベスト・オブ・G4Nなステージになった。この日の関東は、ただでさえ梅雨の気配をひしひしと感じさせる高い湿度に見舞われていた(翌9日に梅雨入りと発表)が、それに加えO-EASTはパンク・キッズの汗と熱気でムンムンである。

    “Turning”で閃光のごときライトハンド奏法を披露していたU-tan(Vo./G.)が、「オイッスー!! オイッスー!!」といかりや節挨拶で景気良くファーストMCに繋ぐ。「今日は、数あるライヴの中からO-EASTを選んでくれてありがとう! 3月に始まったツアーも遂にファイナルってことで、最後まで飛ばしてくんでよろしくお願いします!」とすぐさま次の楽曲に向かうのだった。大勢のオーディエンスを引き摺るように力強く爆走する“Opportunity All Around”、ステージ中央で大人しくプレイするはずもなく飛び回っているTANNY(Vo./G.)との、華麗なツイン・ヴォーカルが交錯する“WE CAN GO EVERYWHERE”。いくらベスト盤ライヴとはいえ、このダレ場のなさ、メロディック・パンクとしてのフックの引き出しの多さは改めて凄い。

    がっちりと練り込まれたバンド演奏、そして緊迫した集中力の中から弾き出される呼吸。ライヴ・バンドとしてのG4Nのこうした地力の高さは、普通に考えたらメンバー間の互いに互いを限界まで追い込むような切磋琢磨の積み重ねによってしか生まれ得ないものだ。10年を軽く越えるキャリアの中ではおそらくそのとおりのことが行われてきたはずなのだが、彼らのステージではそれも含めて、高いレヴェルで「遊んでいる」ヴァイブレーションを強く感じる。生身の人間が正面衝突してしのぎを削る活動も、もともと幼馴染みの遊び友達から始まったバンドの延長なのだと。そんな楽しさが、ステージ上においても視覚的にももろに表れていて、惹き込まれてしまうのである。

    GOOD4NOTHING @ SHIBUYA O-EAST
    GOOD4NOTHING @ SHIBUYA O-EAST
    「たーのしいなー! 今日、初めてライヴ・ハウスに来た人おる? ようこそ!(U-tan)」「どう見ても百戦錬磨な感じやけどな。オオォォォーて(TANNY)」「3月からツアーやって、遂にO-EAST。長かったな。途中海外に行って、レコーディングもして(U-tan)」「いつも同じ気持ちで、ってのは心掛けてるんやけど、やっぱ今日は違うな! 今までのぶん、全部出して帰るからな!(TANNY)」と2人の掛け合いから繰り出されるのは、ダンサブルなキラー・チューン“It's My Paradise”だ。MAKKIN(Ba./Cho.)も膝からスライディングを見せて高揚感を煽る。でも、この曲は確かに必殺曲なんだけど、決してここが最高到達点ではなくて、メロディック・パンクのあらゆる構成要素を楽しみ尽くそうとする筋金入りのパンク・キッズばかりなのが、また頼もしい。「パンク・ロックは好きですかー!?」という問いかけから“PUNK ROCK IS MY LIFE”も決まる。

    MCの最中に「先週の日曜日、なにしよったん?」「日曜日? Sunday?」といった前フリからいきなり“Sundays”といったファスト・ナンバーに傾れ込むのも楽しい。“1.2.3...”が《イー、アル、サン、スー》と歌われてしまうあたりはさすがに中国帰りだ。U-tanとTANNYがアコギを抱え、2人きりで“Count To Four”を披露する一幕も盛り込まれていた。“Life Will Be Fun”はメロディが際立つ弾き語りでスタートし、途中からリズム・セクションが加わるというダイナミックな展開へ。弾き語りは中盤の休憩タイムという親切設計でもあったのか、“RULE OF A SELFISH GUYS”や“PASSAGE OF TIME”ではジャンプにモッシュにシンガロングと、完全に体力を回復させて応酬するオーディエンスである。「やばい、うれション出そうや」とTANNY。

    またもやファスト・チューンが盛り込まれたMC。SUNE(Dr.)がカウントにフェイントを織り込むような茶目っ気も覗かせる。やはり、真剣勝負の遊びなのである。U-tanはメンバーとの出会いを振り返りながら、「こうパッと横見たら、まだまだ夢の途中やけど、幸せやなあと思ってね。今日初めてきた人もちらほらいるみたいやけど、夢のかけらを持ってってね」としみじみ語っていた。MAKKINが異様な湿気の海をスーイスーイと気持ち良さそうに泳ぐ素振りも見せて、チャーミングなメロディが弾ける“LET'S DRIVING THE SEA SIDE”へ。“Stick With Yourself”では、フロアで無数の肩車がブレイクダウンしてゆくさまが壮観であった。さすがに最後はU-tanもTANNYも少し喉がキツそうだったけれど、新曲だろうか、賑々しいコーラスのリフレインが映える“Broken Radio”で本編フィナーレを迎える。やり切った感がしっかり伝わってくるパフォーマンスであった。

    GOOD4NOTHING @ SHIBUYA O-EAST
    GOOD4NOTHING @ SHIBUYA O-EAST
    アンコールではこれもお馴染みの光景、ヴォーカル2人が上半身裸で登場する。「次もまた成長して、ライヴ・ハウスで会おうぜ。夢、あっためとけよ!」とU-tanが告げ、ダブル・アンコールまでたっぷり敢行してくれた。にもかかわらず、SUNEがスティックをプレゼントして去った後も、OIコールを繰り返しながらなかなか帰ろうとしない貪欲なオーディエンスがちらほら。長期ツアーを終えたG4Nだが、今後も数多くのライヴ予定が組まれているので、ぜひチェックを。ROCK IN JAPAN FES.2012への出演は8/3(金)。秋頃に届けられるという新作も、今から楽しみだ。(小池宏和)


    SET LIST

    01: RIGHT NOW
    02: J.C.
    03: Maximize
    04: Perfect Future
    05: Turning
    06: Opportunity All Around
    07: Let's Make The Future
    08: WE CAN GO EVERYWHERE
    09: KEEP YOUR FACE UP
    10: I'm Free!
    11: It's My Paradise
    12: SOUL ALIVE
    13: Let's Go
    14: PUNK ROCK IS MY LIFE
    15: LIFE IS SUCH ONE
    16: Sundays
    17: 1.2.3...
    18: WON'T
    19: Home
    20: Count To Four (ACO)
    21: Life Will Be Fun (ACO)
    22: CALLING MY NAME (ACO)
    23: RULE OF A SELFISH GUYS
    24: PASSAGE OF TIME
    25: 27
    26: Never Too Late
    27: Flying high
    28: LET'S MEET TOGETHER AGAIN
    29: LET'S DRIVING THE SEA SIDE
    30: M×S×N
    31: Stick With Yourself
    32: In The Mosh Pit
    33: Cause You're Alive
    34: Broken Radio

    encore
    01: So long
    02: HELLO 61
    03: Get a "FORTY"

    encore-2
    01: Life Will Be Fun
    02: Drive or Scrap?
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