『ZEPP! STEP! SMA!』 @ Zepp DiverCity Tokyo

『ZEPP! STEP! SMA!』 @ Zepp DiverCity Tokyo
『ZEPP! STEP! SMA!』出演:氣志團/すかんち/女王蜂/黒猫チェルシー/齊藤ジョニー

全国5都市を廻る、音楽事務所SMA、ライヴハウスZepp、そしてタワーレコードの3社によるコラボレーションイベント“LIVE! TOWER RECORDS 「ZEPP! STEP! SMA!」”の東京公演が、Zepp DiverCity Tokyoで行われた。SMAに所属する様々なアーティストが各地で出演しているが、特に東京公演のラインナップは濃さが尋常ではない。黒猫チェルシー、女王蜂、氣志團、そして極めつけはすかんち! ねえねえ、この組み合わせ絶対に狙ったでしょ?とイベント関係者に問いたい欲求に駆られながらお台場へと向かった。

『ZEPP! STEP! SMA!』 @ Zepp DiverCity Tokyo
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『ZEPP! STEP! SMA!』 @ Zepp DiverCity Tokyo
『ZEPP! STEP! SMA!』 @ Zepp DiverCity Tokyo
まずは開場中アクトとして齊藤ジョニーが3曲を演奏。そして、開演時間を迎えて現れたのは黒猫チェルシー。流石に濃いバンドの濃いファンが集結しているだけあって、全体的な盛り上がりはシビアである。しかし、メンバーは華やかでやんちゃなロックンロールを刻み付け、渡辺大知(Vo)は「一緒に!」と巻き込もうとしていく。リリースしたばかりのアルバム『HARENTIC ZOO』に収録されているポップチューン“恋はPEACH PUNK”は、そんな意思を後押しして、開かれたムードを生んでいた。大知は「面白がってくれれば幸いです」とも言っていたけれど、若手には珍しいロックンローラー然とした彼らの佇まいは、この日のオーディエンスにとって嬉しかったのではないだろうか。

『ZEPP! STEP! SMA!』 @ Zepp DiverCity Tokyo
『ZEPP! STEP! SMA!』 @ Zepp DiverCity Tokyo
二番手は女王蜂。アヴちゃん(Vo)は「好き勝手やっているお嬢さんたちを上手く扱ってくれているSMA、感謝です」と真摯に一言。SMAの中では新鋭のはずなのだけれど、存在感は群を抜いている。キーボードとギターをサポートメンバーに従えて演奏も鉄壁。アヴちゃんのパフォーマンスも、より繊細な表現に向かっているようだ。純粋に見て楽しめるエンターテインメントではあるけれど、それだけではなく、オーディエンスの抱えている感情も磁石のように弾き付けていく。フロアにちらほらと見える扇子を掲げた彼女たちのファンだけではなく、あっという間に虜を増殖させていった。

『ZEPP! STEP! SMA!』 @ Zepp DiverCity Tokyo
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そして、氣志團……かと思ったら、6人は楽器にスタンバイすることなく、サイリウムを手に“キズダラケの氣志團ちゃん”、“SUPER BOY FRIEND”と2曲連続で歌って踊ってまるでももクロちゃんのよう。怪我で療養中の白鳥雪之丞もここには参加しており、ユッキーのためでもあるのかな?何て思ったり。さらには勝手知ったるキッシーズはサイリウムを振って応戦。彼らとファンの阿吽の呼吸は、いつも感動させられる。そして、やっと楽器を手に取った“One Night Carnival”の曲中では、綾小路 翔は「思えば弊社はエイプリル・ミュージックとしてスタートし……」とSMAの歴史まで語り上げ、ロックシーンきってのwikipediaと言えるスキルを発揮(なお、最大のヒットはケミストリーの300万枚だそうです)。さらには早乙女 光はアイボになって登場したかと思えば、2階の袖に上がってトランペットを吹くなどアクロバティックに奮闘。翔やんのMCは長いし、まるでワンマンのよう。翔やん曰く「(自分たちはSMAの)リストラ候補筆頭。力にならない奴らは切り捨てていく事務所だからな」とリアルな現状を暴露(!!)していたけれど、そうだったとしても今日のライヴで帳消しになったんじゃないのかな。それくらいの熱演を見せてくれた。

『ZEPP! STEP! SMA!』 @ Zepp DiverCity Tokyo
『ZEPP! STEP! SMA!』 @ Zepp DiverCity Tokyo
トリは何と結成30周年、SMAに所属して24年になるという重鎮、すかんち。真っ青なジャンプスーツを纏ったROLLY(Vo&G)を中心として、ドクター田中(Key)、小川文明(Key)、小畑ポンプ(Dr)、そして療養中のshima-changの代わりに参加しているマルコシアス・バンプの佐藤研二(B)という布陣で、クイーンの“WeWill Rock You”の日本語詞カヴァーを披露。♪これからはじまるロックンロール・ショー、とオーディエンスの手を引くようなオープニングから、”ウルトラロケットマン“で、一気にすかんち・ワールドへ連れ込んでいく。個人的には20年ぶりに彼らのライヴを見たので、この5人のすかんちというところも、見た目とかスタンスが変わったメンバーがいるところも含めて、外タレの復活を見ているような感覚だった。“ラヴレターの悲劇”や“レターマン”といったナンバーには、時を遡るような気分になったけれど、それは聴き手の問題で、昔とは違う、今のすかんちがそこにいたと思う。とは言え、15年ぶりに演奏するという“OK! Baby Joe”などで、しっかりと特別な夜を演出し、SMAの元祖エンターテイナーとしての役割を全うしていた。

『ZEPP! STEP! SMA!』 @ Zepp DiverCity Tokyo
オーディエンスがアンコールを求める中、流れてきたのは懐かしの『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』のオープニングナンバー……あれ、どっちかっていうと裏番組の『ダウンタウンのごっつええ感じ』の方がこの日のキーなんじゃないの?と完全なアラサー以上の疑問を抱えていると、翔やんが「綾小路クソ麻呂」と名乗りながら司会風に登場。そして、今日の出演者を呼び込んで、オーディエンスに「何を聴きたいの?」と問うと「マジックポーション!」という声。ご名答! そして、『ごっつ』のテーマ曲だったすかんちの“恋のマジックポーション”を全員でセッション。ROLLYとアヴちゃんが向き合う姿の破壊力といったら! イベントって厳しい時代でもあるけれど、こういう大人の愉快な試みが起こるイベントを見極めて足を運ぶと、絶対に楽しいと思う。お腹一杯の夜をありがとう、SMA。(高橋美穂)
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