GRAPEVINE×GREAT3 @ SHIBUYA-AX

今年、デビュー15周年を迎えたGRAPEVINE。そして、今年、実質8年ぶりに活動を再開したGREAT3。まさか、この二組の対バンを2012年に見ることができるなんて……! 感慨を抱く人たちが詰めかけたSHIBUYA-AXは、ぎっしりと埋め尽くされていた。

先攻はGREAT3。まずは、“Emotion”からスタート。真っ赤な照明に照らされるバンドを、じいっと見つめるオーディエンス。私はサマーソニック以来だったのだが、あの時のスペシャル感を越えて、当たり前にバンドとして固まっているように感じた。片寄明人(Vo&G)、白根賢一(Dr)、そして新たに加わった若きベーシストjan、さらには重要なサポートメンバーである堀江博久(Key)と長田進(G)の5人は、ステージ中央に固まるような立ち位置で、互いに目を合わせ、グルーヴを確かめていく。そして2曲目は“DISCOMAN”。ゆらゆらとオーディエンスが踊り出せば、片寄も演奏後に「凄く楽しい」と笑顔を見せる。

MCでは、片寄がGRAPEVINEと絡めた話を展開。まず、堀江がGRAPEVINEのサポート・キーボーディストである高野勲と「めちゃめちゃ仲が悪いんですよ」……ってホント!?(笑)。続いて、長田進を紹介し、「GRAPEVINEのファンの人は、知ってるんだよね?」……そう、彼は両バンドともプロデュースしているからだ。さらには「僕も田中くんみたいに、髪の毛の間から前を見てみたいです」なんて、どう対応していいかオーディエンスを困らせたりして(笑)。でも、今、彼がGREAT3を、音楽を、心から楽しんでいることが、こんなところからも伝わってきた。なお、GREAT3が活動休止前にやった最後のワンマンの会場が、SHIBUYA-AXだったということで、「ここでやる機会をくれたGRAPEVINEに感謝です」とも述べていた。

11月にリリースされたニューアルバム『GREAT3』からも何曲か披露されたが、やはり最も響いたのは“彼岸”。「先に旅立った友達に捧げた曲」という片寄の言葉からはじまったが、この言葉と音をリアルに鳴らせるのは、今のGREAT3だからだと思わずにいられなかった。ラストはイントロで歓声が挙がった”Soul Glow“。心地いい空気で会場を満たして、ステージを降りていった。

そして、いよいよホストであるGRAPEVINEの出番だ。自然体でステージに現れると、亀井亨(Dr)がパワフルにドラムを叩きだし、田中和将(Vo&G)が「こんばんは~」と挨拶すると、“真昼の子供たち”へ。田中は歌いながらニコニコと楽しそうだ。年々高まる、演奏の破壊力と、リラックスした表情のギャップが、彼らの凄味を際立たせていると思うのは、私だけだろうか。続いては“reverb”。いきなり、長らく愛されている名曲の登場である。とは言え、GREAT3との対バンだから、懐かしい楽曲が多かったりするのかな? という予想も立てていたのだけれど、この日の彼らのセットリストは、キャリアを満遍なく網羅したものであった。田中の伸びやかな歌声が響いた“Darlin’ from hell”や、パーカッションセッションも登場した“YOROI”など……。これは、今の自分たち丸ごとで、GREAT3に対峙したということだと思う。MCでも、田中はGREAT3に対し「久々に見て感動しました」と素直にリスペクトを吐露。「昔話をすると、僕らが結成したての頃に、地元の大阪のFMで“DISCOMAN”を聴いて、おおっ! ってなって。いつか東京に行ったら、仲間に入れて欲しいと思っていて。満を持してようやく!」と、今日への思いを語っていた。

中盤には、演奏後の田中の「一番ヒットした曲です」という冗談めかしたMCから“豚の皿”も登場。そして、「お待たせしました、本日のアニキ!」という田中の紹介で西川弘剛(G)のギターソロが冴え渡った“suffer the child”と、オーディエンスの熱を高めていき、ハイライトとなった“FLY”では、たくさんの手が挙がる。そして、しっとりと“指先”で本編を締め括った。さらにアンコールには、「監督連れて来た!」と、長田を伴ってステージへ。そして“エレウテリア”を演奏し、特別な夜を彩った。

田中はMCで「今日は平均年齢が高い?(笑)。年寄りも楽しんで下さい」と彼らしく毒づいていたけれど、こっちからしてみたら、GREAT3やGRAPEVINEのようなバンドが、ずっとカッコよくいてくれるから、幾つになってもロックが楽しいんだよ!と言いたくなった。出会った頃は、ちょっと大人びているように感じて、それでも付いていきたかった彼らの音楽。でも今、しっくりと味わうことができていて、それが堪らなく嬉しかった。また、こういう対バン、ぜひぜひ企画して欲しい!(高橋美穂)

セットリスト

<GREAT3>
1 Emotion
2 DISCOMAN
3 Little J の嘆き
4 Sampedro Gold
5 彼岸
6 R.I.P
7 Under The Dog
8 エデン特急
9 レイディ
10 Soul Glow

<GRAPEVINE>
1 真昼の子供たち
2 reverb
3 冥王星
4 Darlin' from hell
5 NOS
6 YOROI
7 Neo Burlesque
8 豚の皿
9 棘に毒
10 suffer the child
11 FLY
12 指先

~アンコール~
13 エレウテリア

公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする