LUNA SEA @ Zepp Tokyo

LUNA SEA The End of the Dream ZEPP TOUR 2012「降臨」“RISING ERA”

LUNA SEA @ Zepp Tokyo - pics by KEIKO TANABE  (写真は12月15日公演のものです)pics by KEIKO TANABE (写真は12月15日公演のものです)
「LUNA SEAってバンドの情報だけがどんどんでかくなって。もう一度、LUNA SEAってバンドを一から作り直してみたいと思いました。でも、神出鬼没のバンドなんで、観たいときはお早めに(笑)」。新章の幕開けに掛ける意気込みと、それを凌駕する自信に満ち溢れた、不敵かつ憎めない調子で、RYUICHIはそう告げていた。5人それぞれの活動や別動プロジェクトがありながら、なぜLUNA SEAなのか。その理由を音に込め、まざまざと描き出してしまうZEPP TOURのファイナル。REBOOTプロジェクトのときも感じたが、ツアーにおけるLUNA SEAの、あの5人の呼吸が創造するロックなバンド感という のはやはり破格だ。それを今、ライヴ・ハウスのサイズに押し込めてしまうということの意味も含めて、ロック・バンドとして立つLUNA SEAを改めて知らしめるステージであった。

ダブルAサイド・シングル『The End of the Dream / Rouge』のリリースに先駆けて11月から大阪でスタートし、名古屋、福岡、札幌を経て東京公演に辿り着いた12年ぶりのライヴ・ハウス・ツアー。決して小さくないとは言えLUNA SEAにとっては 会場のサイズがサイズなので、福岡と札幌は2デイズ、大阪・名古屋・東京はそれぞれ3デイズのパフォーマンスが行われ、公演ごとにセット・リストが異なる。東京3デイズのファイナル“RISING ERA”は、メジャー・デビュー 以降90年代に、破竹の勢いでシーンを席巻した頃のLUNA SEAによる、つまりは超王道セット・リストである。

LUNA SEA @ Zepp Tokyo
“IN FUTURE”でさっそくRYUICHIが荒ぶる声出しを一発、オーディエンスが目を見張るような瞬発力でそこに食らいついてゆくオープニングから、アイデアを詰め込む初期の作風を残しながら強引に捩じ伏せてゆく“Dejavu”(個人的に、LUNA SEAの鮮烈なブレイクを思い出させる一曲は、シングル曲よりもこの曲だったりする)。両足の怪我を押してステージに立っているはずのSUGIZO(ステージへの入退場のみ杖を使っていた)と、パンクな出で立ちのINORANのポジションが入れ替わり、『STYLE』期の2曲では聴く者を引き摺り回すようなJのリード・ベースが火を噴いていた。そして開演からものの20分ほどというところにドンと差し出される“TRUE BLUE”の必殺リフ。 ある程度予想はしていたものの、ライヴ・ハウスで目の当たりにするLUNA SEAの強烈なバンド感が、瞬く間に形を成してゆく。

LUNA SEA @ Zepp Tokyo
ステージ序盤の、鉄壁なのにひたすら前のめりなバンド感の立ち上がりに止めをさすのは、新曲“Rouge”だった。ゴリッゴリの音塊とともに妖艶なムードまで振り撒きながら《今夜の君を 離しはしない》と約束を果たしてしまう、あまりにもLUNA SEAなナンバーだ。この後には、性急さと鋭利さの興奮だけではなく、ステンドグラスのような映像を背負った“gravity”、お馴染みSUGIZOのバイオリンの悲しい調べが伝う“Providence”、そしてINORANの温かみのあるギター・リフレインとSUGIZOのフリーキーなノイズが交錯する“TRUE BLUE”のカップリング曲“FALLOUT”と、重厚でドラマティックなLUNA SEA の一面も見せてゆくのだが、「東京ドームで言えば最前ブロックのみんなと、今日はライヴをお届けしています。今はとても閉塞感のある時代だけど、俺たちの音楽とみんなのパワーで、新しい夢を見つけていければと思います」とRYUICHIが導いた新曲“The End of the Dream”で再び立ち上がるロックな手応えが、今回のステージを象徴していたと思う。《つき進めこの時を どこまでも鮮やかに》という確信のラインが、研ぎ澄まされたバンド・サウンドの中に弾け、煌めいていた。それは『The End of the Dream / Rouge』で遂に、磨き抜かれた、新しい王道のLUNA SEAが形を成したと言っていい。僕はファイナルしか観ていないので、他の日程で披露された“THE ONE –crash to create-”はぜひ聴いてみたかったし、こんなテンションでプレイされる“TIME IS DEAD”なんかも凄かっただろうなという思いはあるけれども、たとえどのような選曲であれ、今回のライヴ・ハウス・ツアーが、『The End of the Dream / Rouge』のヴァ イブを中心にした構成とテンションで貫かれていたのは間違いないだろう。

LUNA SEA @ Zepp Tokyo
本編の終盤からアンコールにかけてはもはや、手の付けられないほどの熱狂だった。“STORM”の暴風圏ギターを繰り出すSUGIZOを、背後から抱きしめるRYUICHI。“ROSIER”のJの台詞パートでは、それを掻き消すほどの怒号のような歓声が上がり、“TONIGHT”のイントロではINORANの跳ね上がるような鉄板リフが、これまた燃え盛るような嬌声を誘う。今回、真矢のドラム・ソロが無かったのは残念だったけれど、パワーだけでなく表情豊かな彼のドラム・プレイは随所に散りばめられていて最高だったし、アンコールで最初に姿を見せ、ステージ袖に向かって両手を振り、他の4人を呼び入れるときの彼の仕草は、ちょっと卑怯なレヴェルで愛くるしく、お茶目であった。アンコールの3曲も終えて最後までステージに残っていたSUGIZOは、水のペットボトルを2階席にまで投げてよこしてみせる。元気なのは充分わかったけれど、お願いだから体を大事にしてくれ。

そう、新しいLUNA SEAのZEPPツアーは、まだ序章にしか過ぎない。12/23には大阪城ホール公演、翌12/24には仙台サンプラザホールで復興支援ライヴが行われ、1月にはいよいよの武道館6デイズ(!)が控えている。ロック・バンド=LUNA SEAの今の姿を、ぜひ目の当たりにして欲しい。(小池宏和)

SET LIST
SE: 月光
01: IN FUTURE
02: Dejavu
03: G.
04: END OF SORROW
05: TRUE BLUE
06: Rouge
07: gravity
08: Providence
09: FALLOUT
10: The End of the Dream
11: STORM
12: DESIRE
13: ROSIER
14: TONIGHT

EN-1: I for You
EN-2: BELIEVE
EN-3: WISH
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