メジャー1stアルバム『MICROMAXIMUM』(1999年)のイントロ・トラックがSEで流れる中、最初にステージに姿を見せたオリジナル・ドラマー=有松益男の姿に沸き上がる歓声! 開演前から汗と熱気に満ちていた下北沢GARDENが一気に熱を増していくーーBACK DROP BOMB久々のワンマンにして、有松の復帰後初ライブとなる『BACK DROP BOMB Solo Live Show "THE NEW ORIGINAL ONE"』。「BACK DROP BOMB始めます」の白川貴善の声とともに6人一丸となって“BOUNCE IT”へと流れ込めば、フロアはいきなりクラウドサーフ&サークルモッシュの嵐と化す! この日のライブはUstream&ニコニコ動画で生中継されていたのだが、アンコールのMCで「本当に来てくれた人がいちばん楽しめるようなライブに……」と白川も言っていた通り、身体ごと震わせる重低音と爆音アンサンブル、聴き手の思考や感情を直接揺さぶる白川&小島真史のライム&熱唱がもたらす途方もない高揚感は、やはりライブの現場で直接体感してこそのものだ。
この日のライブはそれこそBDBオールキャリア・ベスト的な選曲で、“BOUNCE IT”“BLAZIN'”“CLAP”まで『MICROMAXIMUM』の楽曲を畳み掛けたかと思えば、続いては『NIPSONG』(2003年)のイントロから“FLIP OUT”“MASTADABESTAH”“REMIND ME”へ、といった具合に『THE OCRACY』(2012年)までフルアルバム5作を網羅しつつ、2月6日発売の新作ミニアルバム『59days preface』から赤黒いギター・サウンド渦巻く“Road”を盛り込みつつ……という最強のセットリスト。彼らが歩んできたミクスチャーの歴史すべてが、再び有松&篭橋俊樹のコンビとなったリズム隊から繰り出される硬質ビート/ざくざくと空気を刻む田中仁&寿千寿の鋭利なギター・プレイ/発声すべてがファンファーレのような白川&小島の2MCーーつまり最高に鍛え上がった「今」のBDBのダイナミズムと剛性でもって鳴り響いているという、まさに狂騒天国と呼ぶしかない音楽空間! 1音1音を楽しみきろうとばかりに踊り、叫び、拳を突き上げるフロアの観客の歓喜が、会場の温度をがんがん上げていくのがわかる。
94年の結成からもうすぐ20年。ハードコアもスカもヒップホップもレゲエも融かし尽くした果てにまったく新たなミクスチャー・ロックを打ち立て、「時代への攻撃性」と「時代との連帯感」を両手に抱えながら、メジャーともカウンターとも異なる独自のスタンスでサウンドを放射し続けてきたBDB。そんな彼らの闘いの道程そのものが、この日の6人の音から滲んでくるように思えた。後半には「友達を紹介します。NARIさん!」という白川の言葉とともに、SCAFULL KINGのNARIが登場。NARIのサックスの目映い響きとともに鳴り渡った、本編ラスト3曲“TURN ON THE LIGHT”“THAT'S THE WAY WE UNITE”“YOU UP AROUND”のプレシャスな多幸感! 誰もが身体も心も熱くなったに違いない、激烈にして至福の時間だった。

アンコールは『THE OCRACY』のイントロから“PROGRESS”そして“NOISE KILLS”へ、というところで、オーディエンスの頭上で見覚えのある人がクラウドサーフを……と思ったらなんといっちゃんことLOW IQ 01で、そのまま悠々とステージに辿り着いて袖からライブを観たりしているのも、そんないっちゃんを「気のせいか、俺の中では死んだと思ってる人が……こういうことってあるんだね!(笑)」といじってみせるのも、同じ時代を生き抜いてきた盟友同士ならではの光景だ。白川がアカペラで♪I wanna say~と歌って会場をSCAFULL KING“WE ARE THE WORLD”のシンガロングで満たしてみせる中、今度はNARIだけでなくTGMX&AKIRATTも含めSCAFULL KINGホーン隊が勢揃い! 下北沢GARDENのステージを埋め尽くすように編成された4(白川・小島・田中・寿)-3(TGMX・NARI・AKIRATT)-2(篭橋・有松)の鉄壁のフォーメーションから繰り出される、1stミニアルバム『THE NEW SOUTH HAND BLOWS AND NORTH KICK BLOWS』(1996年)収録曲“Black sky above”の躍動し燃え盛る祝砲の如きアンサンブル! ついにはいっちゃんもたまらず乱入してステージを踊り回っている。続けて『THE NEW SOUTH HAND~』から“Bad News Come”、そしてラスト・ナンバーは“BACK DROP BOMB”! これまでのアーカイブだけでなく、触れる音すべてに驚愕&感激必至の輝度と硬度を与えていくだけのエネルギーとヴァイブが、今のBDBには確かにあるーーということを、アンコールで披露された新曲も含めて改めてリアルに感じさせてくれる、最高のアクトだった。(高橋智樹)
[SET LIST]
01.BOUNCE IT
02.BLAZIN'
03.CLAP
04.FLIP OUT
05.MASTADABESTAH
06.REMIND ME
07.ROAD*新曲
08.アティピカル
09.IN ORDER TO FIND THE NEW SENSE
10.GREATVIEW
11.NEVER SEEM TO LAST
12.SIGH
13.TURN ON THE LIGHT
14.THAT'S THE WAY WE UNITE
15.YOU UP AROUND
--ENCORE--
01.PROGRESS
02.NOISE KILLS
03.DIRTY BEATS
04.BLACK SKY ABOVE
05.BAD NEWS COME
06.BACK DROP BOMB