ART-SCHOOL presents「KINOSHITA NIGHT 2013」(2日目)@ SHIBUYA-AX

ART-SCHOOL主催による、恒例の対バン企画「KINOSHITA NIGHT」。かつてはShibuya eggmanなどの小規模会場で行われてきた当イベントだが、昨年6月に引き続き、今年もSHIBUYA-AXにて堂々2DAYSでの開催だ。2日目のゲストは、0.8秒と衝撃。とBIGMAMA。さらに転換中のDJアクトとして、お馴染み細美武士(the HIATUS)が参加。1日目に引き続き、木下理樹本人による陰アナでオーディエンスを沸かせた開演前から、場内はお祭りムードに満ちている。
なお、1日目のレポートはコチラ(http://ro69.jp/live/detail/79958)。

ART-SCHOOL presents「KINOSHITA NIGHT 2013」(2日目)@ SHIBUYA-AX
ART-SCHOOL presents「KINOSHITA NIGHT 2013」(2日目)@ SHIBUYA-AX
トップバッターを飾るのは、0.8秒と衝撃。。ステージに現れるなり「どうしたみんな、元気ねぇんじゃねえか!?」とオーディエンスを挑発しまくるフロントマンの塔山忠臣は、2曲目の“「町蔵・町子・破壊」”で早くもフロアにダイブ! キーボードを弾き鳴らしながらドスの効いた絶叫を響かせるJ.M.とともに、「こんなもんちゃうやろ!」「どんどん行くで!」と序盤から手加減なしのアジテートを繰り広げていく。4人のサポート・メンバーを加えた6人編成で放たれるサウンドも、圧巻の一言。パンク、ヒップ・ホップ、プログレ、ハードコアなどあらゆるジャンルのエッセンスと、剥き出しの衝動がガチンコでぶつかり合った音塊は、モッシュとダイブで揉みくちゃになったフロアをさらなるカタルシスの境地へ引きずり込むかのように、貪欲に鳴っていた。Tシャツを脱いで上半身裸になった塔山の「暴れるぜー!」のシャウトで幕を開けた終盤は、よりカオティックな展開に。不穏なメロディが彷徨う“シエロ・ドライブ 10050”、J.M.のキュートな掛け声が弾ける“鈴木アルビニくん”と最新アルバム『【電子音楽の守護神】』の楽曲を畳み掛け、ダークで、スリリングで、ユーモラスで、ポップなハチゲキサウンドの本領を堂々と見せつけてくれた。そして最後はズボンを膝まで下ろしてパンツ一丁になった塔山が、またまたフロアにダイブ!

ART-SCHOOL presents「KINOSHITA NIGHT 2013」(2日目)@ SHIBUYA-AX
ART-SCHOOL presents「KINOSHITA NIGHT 2013」(2日目)@ SHIBUYA-AX
ART-SCHOOL presents「KINOSHITA NIGHT 2013」(2日目)@ SHIBUYA-AX
ART-SCHOOL presents「KINOSHITA NIGHT 2013」(2日目)@ SHIBUYA-AX
転換中も休む暇なくオーディエンスを踊らせた細美武士の貫禄たっぷりのDJタイムを経て、2番手に登場したのはBIGMAMA。1曲目の“Mr. & Mrs. Balloon”から、金井(Vo/G)&柿沼(G/Vo)の伸びやかなコーラスと、スコーンと突き抜けたサウンドが、黄金の光とともに降りそそぐ。ハチゲキの激アグレッシヴなステージを終えて、まるで台風一過の青空が広がっているような清々しい光景だ。“#DIV/0!”“Zoo at 2a.m.”の連打でフロアのダンス熱を高めた後は、3月13日にリリースされた最新アルバム『君想う、故に我在り』から2曲をプレイ。満開の桜が咲き誇る今の季節にピッタリなポップ・チューン“春は風のように”、≪生きてく事は面倒臭い/だけど死ぬ方がもっと面倒臭い≫という心の迷いをストレートに吐露した“俯瞰SHOW”と、まったく相反するドラマを一糸乱れぬアンサンブルでクリアに描いてみせる手腕はさすがである。「僕たちには一生懸命ライヴしたり曲を作ったりすることしかできません。(中略)自分にとって一番大切なことが何かをずっと考えていました。音楽と、僕らの音楽を愛してくれる皆さんが僕にとって一番大切です。そんな感謝の気持ちを歌にしました」と届けられたバラード“君想う、故に我在り”とともに、より壮大で洗練された音世界を紡ぎはじめたBIGMAMAの「今」を華々しく象徴していた。ラストは“until blouse is buttened up”“秘密”の連打でダイブの波を巻き起こして終了。4月末からスタートする最新アルバムを引っ提げたツアーも楽しみだ。

ART-SCHOOL presents「KINOSHITA NIGHT 2013」(2日目)@ SHIBUYA-AX
そして20時13分、いよいよART-SCHOOLの登場。昨年のKINOSHITA NIGHTでは、木下理樹(Vo/G)と戸高賢史(G)のオリジナル・メンバーに、中尾憲太郎(B)と藤田勇(Dr)を迎えた新生アートのお披露目ライヴとして、前半8曲をすべて新曲で押し切るという離れ業をやってのけた彼ら。そこでオーディエンスの度肝を抜いたハードエッジなサウンドは、あれから9カ月強を経て、さらに進化していた。1曲目の“Dead1970”から容赦なしに爆発するソリッドな轟音。中尾と藤田が鳴らすブリブリ、ゴリゴリといった重低音と、木下と戸高が掻き鳴らす切っ先鋭いギター音が、土石流のように押し寄せてくる。しゃがれた声でシャウトし、上体を大きく揺らしながらギターを奏でる理樹を筆頭に、一心不乱の形相でプレイする4人。照明以外の装飾が一切ないガランとしたステージ上にあって、そんな4人が繰り広げる剥き身のパフォーマンスは、ひとたびボタンを掛け違えたら一気に空中分解してしまいそうな危うさと、それ故に放たれる鮮烈な輝きをこれでもかと放っていた。

そんなオープニングの勢いのままに、ライヴは定番曲を畳み掛けるセクションへ。超高速BPMで疾走した“車輪の下”“サッドマシーン”、つんのめったビートに抗うように美しく繊細な戸高のギター・フレーズがロマンチックな情景を描いた“左ききのキキ”“イディオット”など、もう何度も聴いたことのある楽曲が、新たな緊張感をもって耳に迫ってくる。メンバーの脱退や解散の危機など、これまで幾度とない苦難に見舞われてきたART-SCHOOL。しかしその度にバンドが逞しく生き返り、こういった既成曲にも新鮮なエネルギーを与えていることを思うと、とても感慨深い。さらに3月13日にリリースされた5000枚限定のミニ・アルバム『The Alchemist』の楽曲が続いた後半では、昨日に引き続き“Helpless”でサックス奏者の本澤賢士を、“The Night is Young”と“フローズン ガール”では女性ヴォーカリストのUCARY & THE VALENTINEをそれぞれゲストに招き、カラフルで奥深いサウンド・スケープを展開。特にダビーな打ち込みとセクシーなサックスをフィーチャーした“Helpless”の甘美な酩酊感は最高だった。

ART-SCHOOL presents「KINOSHITA NIGHT 2013」(2日目)@ SHIBUYA-AX
終盤のMCでは「実はこの日のために、気合いを入れてスーツを買ったんです!」と理樹。沸き返るフロアを前に、「こういう時って盛り上げるためにどうすんの?」(理樹)→「かかってこーい!とかコール&レスポンスするんじゃないですか」(戸高)→「えーと、じゃあ今から激しい曲を立て続けにやるので、少し……か、かかってきてください」(理樹)と、まったくキマりきらないアジテートで場内の失笑を誘った後は、“水の中のナイフ”からクライマックスへ向けて猛ダッシュ。“あと10秒で”で高らかなハンドクラップを引き起こして本編を終えると、アンコールでは“Heart Beat”など3曲を披露。さらにダブル・アンコールとして「21歳ぐらいの時に作った曲」という“FIONA APPLE GIRL”を瑞々しく奏で、2日日間に及んだお祭りを華々しく締めくくった。最後のMCでは、2年連続でこのイベントをSHIBUYA-AXで開催できた喜びを口にし、「また来年も会いましょう」と告げた理樹。その次なる開催を、ここからまた逞しく進化していくであろうART-SCHOOLのサウンドとともに楽しみに待ちたい。(齋藤美穂)

0.8秒と衝撃。
SE DJ x DJ
1. POSTMAN JOHN
2. 「町蔵・町子・破壊」
3. ビートニクキラーズ
4. Brian Eno
5. シエロ・ドライブ 10050
6. 鈴木アルビニくん
7. 02490850230・・・

BIGMAMA
1. Mr. & Mrs. Ballon
2. Jeffrey Campbellのスケートシューズで
3. #DIV/0!
4. Zoo at 2 a.m.
5. 春は風のように
6. 俯瞰show
7. 荒狂曲〝シンセカイ″
8. Paper-craft
9. 君想う、故に我在り
10. until blouse is buttened up
11. 秘密

ART-SCHOOL
1. Dead 1970
2. BABY ACID BABY
3. DIVA
4. 車輪の下
5. サッドマシーン
6. 左ききのキキ
7. BLACK SUNSHINE
8. イディオット
9. SWAN DIVE
10. Helpless
11. The Night Young
12. フローズンガール
13. 水の中のナイフ
14. UNDER MY SKIN
15. FADE TO BLACK
16. あと10秒で
アンコール 1
17. Heart Beat
18. ロリータ キルズ ミー
19. スカーレット
アンコール 2
20. FIONA APPLE GIRL
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