& records 5th anniversary special show (+/−) @ 渋谷O-WEST

& records 5th anniversary special show (+/−) @ 渋谷O-WEST - +/−+/−
& records 5th anniversary special show (+/−) @ 渋谷O-WEST - nhhmbasenhhmbase
洋邦問わず、良質な作品をリリースするレーベル<&records>の5周年を記念し開催されたイベント。現在日本ツアー中の米バンド+/−(プラス/マイナス)ほか、国内からもbloodthirsty butchers、the band apart、nhhmbaseら同レーベルとゆかりのあるバンドが出演し、各バンドのパフォーマンスが生み出す熱気と、アットホームな雰囲気が同居する、記念イベントならではの、ほっこりした充実感に満ちた公演となった。

トップ・バッターを務めたのはthe band apart。都合で開演から5分ほど遅れての入場となったが、すでにフロアは2階までびっしり満員。ロックとフュージョンを土台にボサノバからファンクまで様々な音楽文法が重層的に織り込まれた、複雑ながらも、不思議とシンプルにすっと胸に入りこんでくる絶品のアンサンブルが、すっかり場内をヒート・アップさせている。

続いて登場したのがnhhmbase(ネハンベース)。ライブは初見だったのだが、とにかくパフォーマンスは、時空がゆがんだような予想もつかない音空間に、ソリッドかつファンキーな演奏でぐいぐいと聴き手を引き込んでいくようなトリップ感覚溢れるもの。バンド名の由来は、結成当時のメンバーの頭文字をとったところから来ているそうだが、このサウンド・スケープには“涅槃”という言葉も実にしっくりくる。特に、性別や年齢を超越したユーモラスにも甘美にも可憐にも重厚にも響く個性的な歌声を持つフロント・マンのマモルの才腕には、思わず目を奪われてしまう。激情型のピアノ弾き語りパフォーマンスなども圧巻。

そしてNYはブルックリンからやってきた3人組、+/−(プラス/マイナス)の登場だ。通算4作目、約3年ぶりとなる新作『エックスィズ・オン・ユア・アイズ』を発売したばかり。過去作品では実験精神が反映された先鋭的ポスト・ロック・サウンドも鳴らしていた彼らだが、新作はそうした季節を通過し今あらためて、“普遍的なギター・ロック・サウンド”を確信をもって響かせてみる、という清々しい開放感に溢れた作品となっていた。あまりにざっくりした言い方だけど、USインディ・ギター・ロックに一度でもやられたことがある人ならば、その琴線に触れるフレーズやリフがそこかしこにあるはず、と思わされる快作なのだ。確かな演奏テクニックを持つ彼らだけに、ライブではさらなる迫真性と熱量をもって聴き手にそのサウンドが届けられる。胸を締め付けるようなメロディ、繊細かつダイナミックにかき鳴らされる疾走感溢れるギター・アンサンブルには、これまで何度も心を震わせてきた。でもやっぱりこういうサウンドにしか切り拓いていけない景色がある。加えて、今どきの音楽リスナーの多くには潜在的に、時代性や趣味性とかを超えた“サウンドの強度”をシビアに見極めていく選択眼が備わっているんじゃないかと思うけど、そういう点でいえば、ここで鳴らされた彼らのサウンドには確実に“普遍性”とか“強度”があって、いつ聴いても聴き手に何かを訴えかけてくるような類のものだ。「チョリーッス!」と登場したり、盛り上がる客席に向けて「オイオイ、ダイジョウブ?」など、こちらが意表を突かれるほどに上手く使いこなせている日本語MCもかなり笑わせてくれた。

そして、bloodthirsty butchersの登場。+/−に「センパイ・バンドデス」とMCで紹介されていた彼らだけど、まさに貫禄とほとばしるエモーションが一体となった、圧巻のパフォーマンス。鳴らしてる音の方向性は違えど、通低する価値観と熱く真摯な魂をもった日米バンドに4組による約4時間の競演は、アンコールの“サラバ世界君主”で幕を閉じた。(森田美喜子)
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