ACIDMAN @ 日本武道館

ACIDMAN @ 日本武道館 - all pics by 河本悠貴(Kawamoto Yuki)all pics by 河本悠貴(Kawamoto Yuki)
ACIDMANの新章が始まった――。そう快哉を叫びたくなるような、素晴らしいアクトだった。バンド結成15周年&メジャー・デビュー10周年となった昨年は、初のベスト・アルバムやアコースティック・アルバムのリリースなど、アニヴァーサリー企画が目白押しだったACIDMAN。そこから2枚のシングルを経て、2年3カ月ぶりのオリジナル・アルバム『新世界』の発表、さらにはプライベート事務所「FREE STAR」の設立――と、表面的な軌跡をなぞってみても、彼らが次なる一歩を踏み出し始めていることは歴然としているが、その本気度をリアルに突きつけるような甚大なエネルギーが、この日のアクトには渦巻いていたのだ。最新アルバム『新世界』を引っ提げたツアーのファイナルであり、自身4度目となる日本武道館公演。これは、バンドが大きな節目を迎えたエポック・メイキングな一夜として、ACIDMANのバンド史に深く刻みこまれていくはずだ。

ACIDMAN @ 日本武道館
ACIDMAN @ 日本武道館
オープニング映像を投射したステージ前方の白幕が左右に開き、そのすき間から豪快なセッションを奏でる3人の姿が露わになって幕を開けたアクト。1曲目“SUSY”に入ると、ステージ背後いっぱいにコズミックな映像が映し出され、ACIDMANの大規模ライヴならではのスペクタクルな光景が描かれる。近年の彼らにしては珍しいゴリゴリのハードコア・チューン“NO.6”では、演奏する3人の姿がビジョンに大写しに。その後も“swayed”では緑のレーザー光線が放たれたり、“Further ~夜になる前に~”では青い光を天井に揺らめかせて深海のようなムードを作り出したりと、巧みな演出でライヴを彩っていく――が、そのエネルギーの源となっているのは、やはり3人が放つ音の力だ。大木のしなやか且つソリッドなギター/サトマの強靭なベースライン/一悟の荒々しくパワフルなドラミング、そして柔らかな透明感を湛えたままウィスパーとスクリームの間を行き来する大木の歌声は、あらゆる時空を飛び越えてしまうような凄みに満ちている。3ピースという最小限の形態にかかわらず、いや、最小限の形態だからこそ生まれる壮絶なヴァイブスが、ライヴにひときわドラマティックな感動を与えているのだ。「ここは武道の聖地ですが、僕たち武道はできません。でも音楽はメチャクチャ得意なんですよ!」とライヴ中盤で告げたのは一悟。さらに「今日のライヴどうか盛り上がって……今日のライヴどうか、今日のライブドウカン盛り上がって帰ってください!」と、武道館にかけたダジャレを繰り出して失笑を買っていたが、自らの音楽に対する自信や手応えが確かなものであることは、その圧巻のパフォーマンスが何よりも証明している。

ACIDMAN @ 日本武道館
ACIDMAN @ 日本武道館
そして――。“ALMA”を経て、「今回のアルバムには坂本龍一さんがピアノで参加してくれた曲があって……」と披露された“風追い人”「前編」「後編」以降の、終盤の流れが素晴らしかった。万物の流転の中で、今こうして生きている意味と価値に目を向けること。ちっぽけな人間としての自らの非力さを認めながら、巨大な世界や宇宙に立ち向かおうとすること。そして、そんな途方もない闘いの末に見出した「世界はたった1秒で変えられる」という強靭な意志が、ロード・ムービーのように並べられた曲順の中で見事に表現されていく。“FREE STAR”“to live”“カタストロフ”の連打で加速させたテンションのままに突入した“新世界”では、機械トラブルで演奏を中断するシーンも。しかし「こんなんじゃ世界は生まれ変われないので、もう1回やります」という大木の口上でオーディエンスの喝采を浴び、更なる高みへと上り詰めてしまった局面も含めて、この日のライヴにはACIDMANの音楽の崇高なパワーを際立たせる、神がかり的なエネルギーが宿っていたように思う。本編ラスト“白光”の壮大なサウンドで銀河の彼方へ突き抜けるまで、その圧倒的なエネルギーが衰えることはなかった。

ACIDMAN @ 日本武道館
最新アルバムの楽曲を中心にしたセットリストで、本編ではコンセプチュアルな音のタペストリーを完遂。そのおまけと言わんばかりに、アンコールでは“ある証明”“Your Song”のライヴ定番曲が投下される。さらにダブル・アンコールでは、「命のこと、宇宙のこと、この曲が一番あらわしていると思います」という紹介から、“廻る、巡る、その核へ”を披露。豪雨のように降り注ぐドシャメシャな音像に乗って、ステージ両脇から真っ白な紙吹雪がはらはらと舞い散る。本編ラストでは、「『世界が終わる』と歌い続けることで、今日というこの瞬間の小さな幸せに気づけるようになりたい。きれいごとと言われてもいいから、本気でそういうことを歌っているバンドがいるってことを記憶の片隅にでも置いてほしい」と告げていた大木。その儚くも強靭なメッセージが形となって現れた、美しく感動的なフィナーレだった。(齋藤美穂)

アンコール
1. SUSY
2. NO.6
3. swayed
4. 君の正体
5. ラストコード
6. Further ~夜になる前に
7. スロウレイン
8. Can’t Help Falling In Love
9. ALMA
10. 風追い人(前編)
11. 風追い人(後編)
12. アルケミスト
13. FREE STAR
14. to live
15. カタストロフ
16. 新世界
17. 白光
アンコール1
18. ある証明
19. Your Song
アンコール2
20. 廻る、巡る、その核へ
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