ゲストのSNUFF(すごい演奏だった。あと、このバンド、20年近く前に、メロコアもスカコアも全部先取りしてたんだなあ、と今さらだけど思ったりもした)が終わって、20時にステージに出てきた段階から、いつもの横山健と違う。もちろん、テンション高い音を出しているし、勢いよく歌ってはいるんだけど、なんというか、顔が違う。
あの、いつもの、ものすごい頭のいい小学生みたいな、「理知的キラキラ」みたいな笑顔、出ない。表情が硬いというか、無表情というか、うっかり気をぬくと万感胸に押し寄せて感極まってしまうのを、無表情になることで抑えているみたいな、そんな感じ。ヘラヘラケラケラ笑いながらのゆるーいMCはいつも通りだし、サージを泣かそうとしてわざとしんみりしたことを言ってみたりもするんだけど、無理。隠せてない。もちろんサージも、後半はしんみりしたなんとも言えない顔をしてたけど、南&ガンちゃんもそうだけど、大将がもう、後半になるにつれて、さらに、輪をかけてそうなっていく。ああ。やっぱり寂しいんだなあ。
アンコール。ステージの両側に、サージへの寄せ書きがびっしり入ったフラッグが飾られる。「“スキヤキ”(“上を向いて歩こう”。サージが歌う曲)やってー」というフロアからの声に、横山健、「それは一番最後にやるから。“スキヤキ”が始まったら、それで終わりだから」と答え、メンバー同士頭をつき合わせて「なんの曲やろうか?」って相談して、3曲ぐらいやって、「次は何やろうか?」って、また頭をつき合わせて――をくり返すのは、KEN BANDのいつもの光景だけど、なんだかそれも、今日ばかりは「ライブが終わってしまうのをなるべく引き伸ばしたい」みたいに見えた。
いつもは、アンコール終わって気分よかったら、一人で弾き語りやるんだけど、今日はやらない。アコギ持ってきてない。サージと一緒に終わるから。ってことを横山健が宣言して、最後のバースに突入。オーラスに、宣言どおり、“スキヤキ”をサージが歌って、1時間50分のステージは終わった。演奏終了後も、大量のステッカーやピックをフロアにばらまきまくったり、フロアのオーディエンスをバックに記念撮影をしたり(おなじみのライブカメラマンTEPPEIが撮ってた)、なかなかステージを立ち去りがたい感じでした。
演奏も選曲もよかったけど、そんなバンドの心情のドキュメントがそのままモロ出しになってしまっていたのが、なんだか、とても、いいライブでした。なお、MCで言ってたけど、後任のベーシストはもう決まっているそうです。バンドは止まらないそうです。(兵庫慎司)
1.Cherry Blossoms
2.Pressure
3.Why
4.Empty Promises
5.Summer Of’99
6.Stay Gold
7.Torn
8.Go With The Flow
9.Jealous
10.Ten Years From Now
11.Ricky Punks
12.Ricky Punks II(The Lamepire Strikes Back)
13.Funny Things
14.Fuck Up, Fuck Up
15.Running On The Winding Road
16.Longing(A Quiet Time)
17.Not Fooling Anyone
18.How Many More Times
19.I Gotta Go
20.Believer
アンコール
21.Popcorn Love
22.I Love
23.Walk
24.Lucky
25.Eight-Hour Drive
26.Going South
27.Can’t Take My Eyes Off Of You
28.Dead At Budokan
29.Sucky Yacky