たったひとつの夜。2時間半ほどのライブ。ワンマンライブとしては長いほうかもしれないが、人生の中ではミクロな、遠くから見ればひとつの点のような時間である。でも、その時間の中で、まるで旅をしているようだった。遙か宇宙の果ての星々から、小さな心の片隅の部屋まで、音楽は様々な場所を経由するように生き生きと鳴り響き、そこで揺れ動く色とりどりの感情や景色と出合った。最後はとても深く、孤独で、それゆえに温かな場所──果てと果てが出合うような場所に辿り着いた。そんな旅だった。旅というものは、振り返れば物語のようにも見えてくる。思えばずっとそうやって全力で旅をして、物語を描いてきたバンドのライブだった。
BUMP OF CHICKENが現在開催中の全国ツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous」。9月4日にリリースされたフルアルバム『Iris』を引っ提げて行われている同ツアーの、9月15日に行われた愛知・バンテリンドーム ナゴヤ公演1日目を見た。ツアー日程の中では初日の埼玉・ベルーナドーム公演に続く2ヶ所目、本数としては3本目となるライブである。この原稿が世に出る頃にもツアーは続いているので、セットリストのすべてを記述することは控えるが、その夜バンテリンドーム ナゴヤで私が観たことや感じたことを少し書かせてもらおうと思う。(以下、本誌記事に続く)
文=天野史彬 撮影=太田好治、ヤオタケシ
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年12月号より抜粋)
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【JAPAN最新号】今、あなたを見つける旅へ──アルバム『Iris』を引っ提げて始まった「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous」名古屋公演レポート
2024.10.30 12:00