ヤングスキニーの表現の根幹には一貫して「君と僕は違う」という事実があるように思える。ときにそれは「体だけでつながろうとするゴミ人間の歌」という形になって表れていたわけだが、ここに届いた2ndフルアルバム『BOY & GIRLS』において、その形が少し変わった。彼らは本作で、バラバラな君と僕が、本当の意味で出会い、つながることは可能なのか?──そんな問いに向き合おうとしているように思える。「わかり合えない」だけを突き付けるのでもなく、世間体に目配せした仲良しごっこでもなく、血と尊厳と優しさが通う、濃密なコミュニケーションを。このアルバムは“有線ラジオで僕の歌が流れていたらしい”という様々な人間の生と性が混線したノイズ混じりの景色で幕を開ける。そして直情的なパンクが激しく鳴り響き、プレイボーイというペルソナが表れ、ときに失意や寂しさが姿を現し、かと思えば露悪的ですらある言葉によって欲望が羅列される。そして最後には“誰かを救ってやる暇などないけど”という、あまりに無防備な独白に辿り着く。上辺とか見た目で音楽を聴いている人に、僕らの思っていることが全部届くとは思わない。音楽を人間の部分まで含めて聴いてくれれば、僕は嬉しい
この激しい音と言葉の奥にある透明な弱さと誇りに出会ってほしい。そのために必要なのは、ひとりで幸せになる勇気かもしれない。今回は4人全員インタビュー。彼らが今、自分たちの手で音楽を作ることを強く誇りに思っていることが伝わるだろう。
インタビュー=天野史彬 撮影=中野敬久
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年12月号より抜粋)
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