サザンオールスターズ @ 日産スタジアム

サザンオールスターズ @ 日産スタジアム
いやぁ、すごい。バンドの復活どころか、日本の夏の到来までも盛大に祝ってしまうような、最高のステージ。もはや音楽シーンどころか国民的な関心事としての期待値の高さに真っ向から応えるような、堂々たる復活劇だった。2008年8月の日産スタジアム4デイズを最後に、無期限活動休止していたサザンオールスターズ。それから5年の時を経て、去る6月25日のデビュー35周年記念日に再始動を発表、8月7日に復活第一弾シングル『ピースとハイライト』をリリースした彼らのスタジアムツアー「サザンオールスターズ SUPER SUMMER LIVE 2013『灼熱のマンピー‼ G★スポット解禁‼』」が、ついに開幕。5年前に「またここでみんなと再会したいです!」と誓った約束の地=日産スタジアムで、その初日が行われた。

「まもなく開演します!」の場内アナウンスが流れた途端、いまや遅しとばかりに大きな拍手と歓声が沸き起こる日産スタジアム。そして「ついにこの日がやってまいりました。この5年間、私たちにとってひとつだけ足りないものあがりました。そうです、このバンドなくしては日本という国がおっ勃地ません! 人生のバイアグラ‼ 歌うマムシドリンク! いよいよ私たちの前にこのバンドが登場します!」というOPナレーションに導かれ、ステージ前方のセリから5人が登場! そのまま1曲目へ突入すると、イントロの数音が鳴らされた時点で場内は地鳴りのような歓声に包まれる。「この日」を待ち焦がれた観客の想い、メンバーの想い、この場に来ることができなかった日本中のすべてのファンの想い――それらすべてを受け止めるかのように、優しく大らかに鳴り響くメロディ。この日は37度を超える今夏一番の猛暑に見舞われたものの、じっとりとした暑さを一瞬で吹き飛ばしてしまうような、清涼感のある歌とサウンドの力に改めて驚かされる。

ツアー初日なのでセットリストの詳細を明かすことはできないが、デビュー曲“勝手にシンドバッド”から最新曲“ピースとハイライト”まで、サザンの35年の歴史を一挙振り返るような全32曲を演奏。演出にしても、もうなんでもありで、グウの音も出ないほどのド派手な演出のオンパレードだ。“みんなのうた”では桑田佳祐が客席に向かって特大ホースで放水する定番のパフォーマンスも行われ、オーディエンスは狂喜乱舞。もちろん彼ららしいエロネタやダジャレもライヴの随所で飛び出していて、この国きってのエンターテイナーぶりを惜しみなく発揮していく。新曲でいえば、原由子が作詞&ヴォーカルを務めた“人生の散歩道”では、『あまちゃん』のパロディで楽しませる一面も。さらに“ピースとハイライト”では、安倍首相/オバマ大統領/習近平国家主席/パク・クネ大統領らと思しき人々が肩を組んで踊るアニメーションが流され、現代社会の問題にストレートに切り込んだこの曲のメッセージを鮮やかに浮き彫りにしていた点も、今回のツアーの見どころだろう。

とはいえ、そこに復活という特別感が満ち満ちていたかというと、ちょっと違う。思えば、サザンがスタジアム級のライヴを行うのも、名曲だらけ・ド派手な演出だらけで観客を酔わせるのも、今にはじまったことじゃない。中盤のMCでは、「久しぶりにメンバーと再会しても別に普通なんですよね」としみじみ語った桑田。彼のイジりにとぼけたユーモアで切り返す4人のポーカーフェイスな姿を見ても、この日を「復活」という感慨の色だけで塗りつぶしたくないという想いがあったと思う。しかし、いや、だからこそ、「あのサザンが戻ってきた!」という歓喜が天高く突き抜けんばかりに立ち上っていたのも事実。イントロが鳴るたびにワー!っという歓声が沸き起こり、ビジョンに表示される歌詞テロップに合わせて、日産スタジアム7万人総カラオケ状態で巨大なシンガロングが巻き起こる光景が、何よりもそれを証明していたと思う。今この瞬間を共有できる喜びを爆発させるファンと、それを全身で受け止めて完全無欠なエンターテイントを構築していくメンバーの、親密すぎる共犯関係。それを35年という長きにわたって結び続け、しかも国民的なレベルにまで押し上げてきたバンドは、他にはいない。桑田はライヴ中に何度も「本当にありがとう!」と口走っていたが、その感謝の念を原動力として、ここから更に上り詰めていくだろう前向きなエネルギーがライヴ全体に満ち溢れていたことにも、胸を打たれた。終わってみればピッタリ3時間、常に鳥肌が立ち続けるような圧巻のステージ。個人的にはアンコールの最後の最後を飾った名曲連打に思いっきりヤラれてしまうなど、日本の音楽シーンのトップランナーとしての実力をこれでもかと見せつけられた、凄まじい一夜だった。

ここから9月22日の宮城スタジアム公演まで、全国5ヶ所9公演のスタジアム・ライヴを開催予定。彼らの地元=茅ヶ崎公園野球場公演(8月31日・9月1日)の模様は、全国の映画館でライヴ・ビューイングも実施されるという。こうして、2013年の日本の夏を思いっきり熱く盛り上げてくれるであろうサザン。その動向から目が離せないとともに、まずは圧巻のライヴで巨大な復活の狼煙を上げた彼らに、最大限の拍手を送りたい。(齋藤美穂)
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