スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2014 @ 赤坂BLITZ

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スペースシャワー列伝JAPAN TOUR。2007年からスタートして今年で7回目。これまで数々のアーティストを輩出し、今や新人アーティストの登竜門ともいえるイベントだ。今年参加したのは、現在進行形の音楽シーンを切り拓く4組=KANA-BOON、キュウソネコカミ、SHISHAMO、go!go!vanillas。切磋琢磨しながら全国7都市を共に廻り、辿り着いたツアーファイナルの地・赤坂BLITZ。そこで4組が見せてくれた景色とは――充足感で満ちた約3時間半の模様をレポートしていきます。

■赤色のグリッター
スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2014 @ 赤坂BLITZ
オープニングアクトは、本サイト「RO69」が主催するアマチュア・アーティストのコンテスト「RO69JACK 13/14」で優勝してCOUNTDOWN JAPAN 13/14出演を果たし、スペースシャワー主催オーディション「Day Dream Believer」でも優勝した赤色のグリッター。先日高校を卒業したばかり(!)だという彼らは、この日はオープニングアクトということもあり、演奏したのは“愛の舌打ち”“ハナミズキ”“あの人”“未来飛行機”という4曲。けれど、その短い時間のなかでも聴き手一人一人に対峙するような鋭利かつ繊細なサウンドで確かな存在感を残していった。

■SHISHAMO
スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2014 @ 赤坂BLITZ
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4組のうちのトップバッターはSHISHAMO! 宮崎朝子(Vo,Gt)の弾き語りから始まる“あの子のバラード”から会場は引き込まれるかのように聞き入る。赤坂BLITZをすっかり3人のものにしてしまった。「今日の出演者の方々はみなさん素敵なバンドマンばかりで、この中の誰かをお目当てに来ている女の子もいると思うんですよね」という宮崎の言葉(ちなみに、「SHISHAMO観に来たよ!」という声に対して「あ、そういうのいいです」とクールに返答していた。こういう手厳しいところも彼女の魅力かもしれない)から 、“バンドマン”へ。キュートだけどどこかシニカルなSHISHAMOワールドが繰り広げられる。「列伝ツアー」ではなくて「スぺ伝ツアー」という呼び方を広めたいという話や、卒業式の日の朝みたいに寂しいという話をしながら、「最初は不安だったけど楽しかったね」(宮崎)、「そうだね」(松本彩/Ba、吉川美冴貴/Dr)と笑いあう姿が微笑ましい。「ここからが後半です。楽しんでいきましょう!」と始まった “僕に彼女ができたんだ”以降、ここからもう一段階アクセルを踏むかのように3人の音がエネルギッシュになる。普段のかわいらしい声からのびやかなファルセット、巻き舌までを操る宮崎のヴォーカルは見事だし、笑顔でフロアを見渡しながら演奏する松本と吉川はどんどんグルーヴを高めていく。「SHISHAMOのタオルじゃなくても、手でもいいから、盛り上がっていきたいので回してみませんか」と松本がレクチャーをする“タオル”では、サビの≪ぐるぐるぐるぐる≫という言葉に合わせて回されるいくつものタオルが、フロアを色鮮やかに飾った。そのままラストの“恋する”まで駆け抜けていった。

■go!go!vanillas
スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2014 @ 赤坂BLITZ
スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2014 @ 赤坂BLITZ
短パン1人と革ジャン1人(長谷川プリティ敬祐/Ba、ジェットセイヤ/Dr)がはしゃぐ一方で、他の革ジャン2人(牧達弥/Vo,Gt、宮川怜也/Gt)は落ち着いた様子でステージに登場したのはgo!go!vanillasだ。「今日は楽しんで帰りましょう!」と鳴らされたのは2月にリリースされた2000枚限定シングルから“オリエント”だ。思い思いに体を揺らすオーディエンスを眺める4人は満面の笑顔で、この場所を楽しんでいるであろうことが読み取れる。「テンションはどんな感じですか? そんなもんですか? 俺たちのテンションを見せてやるよ!」という宣言通り、“ハイテンション”ではタガが外れたかのように4人の音が爆発。牧はめちゃくちゃ叫んでるし、宮川は盛んにステージの前方に出てくるし、プリティはくるくる回ってるし、セイヤは時には立ち上がりながら全身を使って叩いている。文字通り「ハイテンション」以外の何物でもない。プリティが「やっぱりファイナルはテンション高いね!」と言うとおり、オーディエンスだって負けちゃいない。「モッシュとかダイヴとかライヴの楽しみ方はいろいろあるけど、まずは横ノリから!」とフロアがゆるやかに揺れた“ミスタースウィンドル”では、セイヤのソロが炸裂し、演奏が終わったあとに立ち上がってドラムから離れた彼に、牧がすかさず「どんだけテンション高いんだよ」とツッコむ(笑)。コール&レスポンスならぬコール&ささやきが敢行された “ビッグモンスーン”、ミラーボールが回るなか≪声を枯らして 讃美歌を歌って≫と唄い上げる“人間讃歌”と、最後までそのテンション&熱量で爆進。隅から隅まで、ご機嫌なロックンロールを鳴らしきった。

■キュウソネコカミ
スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2014 @ 赤坂BLITZ
スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2014 @ 赤坂BLITZ
サウンドチェックから抜かりなかったのはキュウソネコカミだ。「リハから本気出しちゃっていいですかね?」と“お願いシェンロン”のさわりを披露。ヤマサキ セイヤ(Vo,Gt)が表面に「列伝」、裏面に「リハ」と書かれた段ボールを持ってきて、ヨコタ シンノスケ(Key,Vo)が「初BLITZ、初列伝! いけるのかい!?」としっかりと煽ってみせるあたりはさすが。既にエンターテインメントは始まっていたのだった。仕切り直してアントニオ猪木氏のテーマソング“炎のファイター”をSEにメンバーが再登場。「1・2・3・ダーッ!!」と声を揃えたところで “ネコ踊る”へ。ヨコタとオカザワカズマ(Gt)の極彩色のフレーズと、カワクボタクロウ(Ba)とソゴウタイスケ(Dr)が生み出す大きなうねりが、オーディエンスを狂騒の渦へ落とし込む。「赤坂一緒に唄ってくれるかい?」と煽っていた“サブカル女子”はもちろん、≪スマホはもはや俺の臓器≫でおなじみの“ファントムヴァイブレーション”でも驚いたのだが、1400人によるコール&レスポンスの声量が大きいし、その1400人が彼らの曲の歌詞を一気に叫ぶ瞬間は何というか、強烈だ。これだけの影響力&即効性を持ちながら「列伝に出たからといって、売れるとは限らんのじゃー! ここからがスタートじゃー!」とヤマサキは叫ぶ。「売れたら遠くに行く、っていう定型文があるけど。でも俺らは物理的に近いバンドだろ!? 近づきたいならそっちからかかってこい!」と挑発的な様子で“DQNなりたい、40代で死にたい”に突入。「日本で一番平和なサークル」という盆踊りサークルを出現させた新曲“KMDT25”(キマジメドウテイトゥエンティファイブ、と読むらしい)から巨大なコール&レスポンスを起こした“良いDJ”まで、フロアに嵐を起こして、去っていった。

■KANA-BOON
スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2014 @ 赤坂BLITZ
スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2014 @ 赤坂BLITZ
トリを飾ったのはKANA-BOON。各バンドが登場する前に「Next Artist is KANA-BOON!」といったVTRが流れるのだが、その時点で大音量のクラップが巻き起こる。このバンドに対する期待値の高さがよく分かる。1曲目は“ないものねだり”。飯田祐馬(Ba)と小泉貴裕(Dr)が展開する軽快なビート、谷口鮪(Vo)の透明感のある声と人懐っこいメロディ。古賀隼斗(Gt)が奏でるフレーズもポップで印象的だ。キャッチーな楽曲と音像が早くもオーディエンスを踊らせる。「君だって赤坂BLITZ 楽しみに来てんだろー!」という歌詞替えが会場をさらに沸かせ、サビでは「れつれつれつれつ 列伝ー」の合唱を巻き起こす。古賀と飯田が全身を使って楽器を掻き鳴らし、それを支える小泉のリズムの安定感が光った“ミミック”のあと、飯田がMC。満員電車で間違えて痴漢されたり、ホテルで清掃員のおばちゃんが突然部屋に入ってきたり、大好きな甘栗をパクられたり……列伝ツアーが始まってから何だかついていないのだそう。「何でだろうって考えたら、きっと俺がスペシャに加入してないからなんですよ!」と会場の笑いを誘う。「みなさん、心配だったらぜひスペシャに加入してくださいね」と谷口が綺麗に収めたところで、2月26日にリリースされたばかりのシングルから表題曲“結晶星”。先ほどまでとは一転、きらめきを帯びた4人のサウンドが穏やかに会場を満たし、フロアをクールダウンさせてくれる。小泉が刻むビートに合わせて「スペースシャワー (うん)列伝!」というコール&レスポンスからそのまま“1.2.step to you”、そして“盛者必衰の理、お断り”。バンドの全身全霊の演奏とオーディエンスの期待値がガッチリと噛みあって、多幸感に満ちた空間が出来上がった。

鳴りやまない拍手に応えてのアンコールでは、“A,oh!!”を披露。そして列伝ツアー恒例となっている出演者全員でのセッションは公演日にちなんでレミオロメンの“3月9日”。肩を組んで大きな口を開けて唄う谷口とヤマサキ。1本のマイクに寄り添うようにして唄う宮崎と牧。16人の笑顔を見ていて、きっと未来は明いな、と感じた。この4組それぞれ、既に来春からツアー等が決定しているので、ぜひ自身の目と耳で出会ってほしい。なお、この日の模様はSPACE SHOWER TVで後日放送予定なのでこちらもお見逃しなく。(蜂須賀ちなみ)

セットリスト
■赤色のグリッター
01. 愛の舌打ち
02. ハナミズキ
03. あの人
04. 未来飛行機

■SHISHAMO
01. あの子のバラード
02. バンドマン
03. 行きたくない
04. 僕に彼女ができたんだ
05. タオル
06. 恋する

■ go!go!vanillas
01. オリエント
02. ハイテンション
03. ミスタースウィンドル
04. アクロス ザ ユニバーシティ
05. ビッグモンスーン
06. 人間讃歌

■キュウソネコカミ
01. ネコ踊る
02. サブカル女子
03. ファントムヴァイブレーション
04. DQNなりたい、40代で死にたい
05. KMDT25(新曲)
06. ウィーアーインディーズバンド!!
07. 良いDJ

■KANA-BOON
01. ないものねだり
02. ミミック
03. 結晶星
04. 1.2.step to you
05. 盛者必衰の理、お断り

(Encore)
01. A.oh!!
(Encore Session)
02. 3月9日(レミオロメンカバー)
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