SISTER JET Present’s “our world” @新代田FEVER

SISTER JET Present’s “our world” @新代田FEVER - SISTERJETSISTERJET
3ピースでまっしぐらに駆け抜けるロックンロールの万能感。その目も眩むような輝きに胸を熱くさせられた、痛快な一夜だった。昨年末にサポートベーシストのオオナリヤスシが正式加入し、再び3ピースバンドとして始動したSISTER JETの東名阪ツアー「SISTER JET Present’s “our world”」のファイナル=東京:新代田FEVER公演。go!go!vanillasとHAPPYをゲストに迎え、ぴったり3時間にわたって熱演が繰り広げられたステージで、新生SISTER JETが華々しい産声を上げてくれた。

SISTER JET Present’s “our world” @新代田FEVER - HAPPYHAPPY
■HAPPY
開場時からゲストDJの加藤直樹(BRITISH PAVILION/CLUB INBETWEENERS)が心地よいトラックを響かせた場内に、トップバッターとして登場したのは今うなぎ上りに注目度を高めている京都出身の5ピース・HAPPY。ボブ・ディランみたいなユルもじゃヘアーをなびかせるAlec(Vo/G)を筆頭に、どこか日本人離れした風貌でステージに現れた5人に目を奪われたのも束の間、曲に入るなり更にブッ飛ばされた。イントロのギターストローク一発で、その場の空気をサイケデリックに染め上げてしまう訴求力。Ric(Vo/Syn)の手によるシンセの音色が彩りを添える中、洋楽の血を脈々と受け継いだドリーミーかつ洗練されたロックンロールが、あくまでも伸び伸びとしたムードの中で放たれていく。先月にはアメリカの一大フェス「SXSW 2014」への出演に伴う全米ツアーを慣行したばかりの彼ら。そこで格段に逞しくなったバンドの筋力を、中盤の“Wake Up”ではソリッドな音塊とともに見せつけてくれた。後半のスロー・チューンではAlecとRicの重層的なハーモニーで心地よい酩酊感を生み出し、“Lift This Weight”“Lucy”などのアップ・チューンでは弾けるような高揚感を生み出して大団円。6月には初の全国ツアー「Happy Tour 2014 Wake up Lucy!!!!!」も開催されるし、類稀なるセンスと日本人離れしたヴァイブスを兼ね備えて快進撃を続ける彼らの動向は、今後さらなる注目の的となりそうだ。

SISTER JET Present’s “our world” @新代田FEVER - go!go!vanillasgo!go!vanillas
■go!go!vanillas
最新シングル“HORROR SHOW”で威勢よくライヴの口火を切ったのは、go!go!vanillas。つんのめったビートでオーディエンスを一気に飛び跳ねさせると、そのまま雪崩れ込んだ“非実在少女”で更なる猛ダッシュ。「君たちの世界を見せてくれ。踊って帰れよー!」という牧達弥(G/Vo)のアジテートから突入したハイテンションでは、骨太なアンサンブルとともに伸びやかな歌声を届けて、場内のパーティームードを高めていく。その後も、蝶ネクタイ&短パン姿の長谷川プリティ敬祐(B)がグルーヴィーなベースラインを響かせれば、爆裂ドラムで応戦するジェットセイヤ(Dr)が「今日晴れたのは何のパワーか知ってる? ジェットのパワーだよ! 皆さん、もっとジェットボーイ&ジェットガールになってもいいんじゃないですか!?」と自らの名前とSISTER JETにかこつけてフロアを煽り立てていく始末。その脇で寡黙にギターを掻き鳴らす宮川怜也(G)とのギャップも含めて、どこまでも自由で無邪気な魅力を振りまいていく4人である。とは言え、単にハイテンションで暴れまくるだけではないのが彼らのミソ。中盤の“人間讃歌”や“アクロスザユニバーシティ”では、日々をポジティヴに生き抜くための応援歌として聴き手を奮い立たせるロックンロールが、牧の熱っぽいヴォーカルとともに高らかに響いていた。コール&レスポンスならぬコール&ウィスパーで会場全体の囁き声を導いた“ビッグモンスーン”を経て、ラストを飾ったのは“オリエント”。どこまでもアッパーに突き抜けるサウンドで場内に爽快な風を吹かせ続けた、至福極まりないアクトだった。

SISTER JET Present’s “our world” @新代田FEVER - SISTERJETSISTERJET
■SISTER JET
そして。ビートルズの“This Boy”のSEに導かれてステージに現れたのは、この日の主役・SISTER JET。冒頭の“hello goodbye days”からソリッドな音塊が炸裂し、会場の空気をスパークさせていく。3ピースならではのシャープな輝きと、夢とロマン溢れる瑞々しい輝きに彩られた、色彩豊かなアンサンブル。個人的にSISTER JETのライヴを観るのはかなり久々だったのだけど、その輝きが色褪せるどころか一層ヴィヴィッドに立ち上っていることにまず驚かされる。さらに“8ビートはパンク少年のもの”を高速BPMでブチかますと、ここで早くも新曲“スーパービッグ”を投下。WATARU.S(Vo/G)の鋭利なギターリフとKEISUKE.A(Dr)の四つ打ちビートを皮切りに、白煙を上げんばかりの豪快なロックンロールが走り出すこの曲は、新生SISTER JETの幕開けを飾るにふさわしいパワフルな牽引力を持っていた。間奏では「新学期になりました。今日このクラスの皆に新しいお友達を紹介したいと思います。横浜から転校してきました、ベース・オオナリヤスシ!」という粋なメンバー紹介も。それに続いて意気揚々とベースを弾き鳴らしたオオナリヤスシに、フロアから拍手喝采が送られたのは言うまでもない。

その後も、ライヴ定番チューンに2つの新曲を織り交ぜたセットリストでフロアを揺さぶっていく3人。WATARU.Sの伸びやかな歌声が届けられた“to you”“キャラメルフレーバー”、怒涛のダンス・タイムを築いた“La La Dance”“DJ SONG”の連打は勿論すばらしかったけど、この日の聴きどころは、やはり新体制で生み出された新曲の瑞々しい輝きだろう。故郷である福生への想いを「F.U.S.S.U.S.A.」というコールとともに解き放ち、SISTER JETの真骨頂ともいえるガレージ・パンクが高らかに炸裂した“FAKE L.A. pt2”。KEISUKE.Aがメイン・ヴォーカルを務める中、フックの効いたメロディとゴリッとハードな音塊がフロアに押し寄せた楽曲。抑え切れない衝動を音に変えたような一点突破のロックンロールには、今まさに新たな季節を迎えたSISTER JETの血気盛んなエネルギーに満ち満ちていた。終盤には、2年ぶりのフル・アルバム『XXX』を6月11日にリリースすることも発表! そして最後は“Young Pretender”を猛スピードで掻き鳴らし、「騒げ騒げ騒げー!」というWATARU.Sの絶叫とともに狂騒的な祭囃子が打ち鳴らされた“リバティシティマシンガン”であっという間のクライマックスへ。メンバーがステージを去っても鳴りやまない拍手喝采が、この日の圧勝感を何よりも物語っていた。

SISTER JET Present’s “our world” @新代田FEVER - SISTERJETSISTERJET
アンコールでは、「3人になって、今バンドの状態がすげぇいいです。そしてアルバム作って、SISTER JETは日本で一番かっこいいなと思います。それをサポートしてくれる皆さんも日本一素晴らしいと思っています。俺としては今回がファーストアルバムだと思っているので、楽しみにしていてください」と力強く告げるWATARU.S。そのまま甘美なメロディとシンプルなギターロックが駆け巡る新曲を披露すると、「新しいSISTER JETです、よろしく!」と再びのメンバー紹介を経ての“さよならポケット”でフィニッシュ。ニュー・アルバムを引っ提げた全国ツアーも決定しているので、新生SISTER JETの瑞々しいエネルギーに間近で触れたい方は是非チェックを。(齋藤美穂)
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