キング・クリムゾンが1973年から74年にかけて行ったヨーロッパ・ツアーの記録音源、通称「ブルー・テープス」が、ロバート・フリップのレーベル「DGM Live」から公式リリースされることが明らかになっている。
これは10月13日に初回生産限定でリリース予定の24枚組ボックス・セット『Starless』に収録されるもの。ロバート・フリップ、ビル・ブルーフォード、デヴィッド・クロス、ジョン・ウェットンというラインナップで敢行された1974年のヨーロッパ・ツアー音源を2トラックの1/4インチ・オープンリール・テープからマスタリングした「ブルー・テープス」は、今回初めて完全版としてリリースされることになる。
ジョン・ウェットンは今年5月、このバンドのコラボレーションのすごさにはいまだに驚愕の思いがすると「Something Else!」に語っている。
「どこからどこまでがインプロヴィゼーションなのか、誰にもわからない――俺たち自身にも、だよ。きちんと形になったものはあるんだが、そこへまたアドリブが入ってくる。クリムゾンのステージでは、即興が4割から6割だった。それが芸術の域にまで深められ、それぞれの曲が次の曲へと見事につながっていく。毎回違うんだ。一夜ごとに違うアレンジになるんだよ」
ウェットンは1973年の『太陽と旋律』前に加入、1974年の『暗黒の世界』『レッド』2作でも中心メンバーとして貢献したが、翌年、クリムゾンのライヴ盤『USA』発表の時点で、バンドはすでに活動停止状態になっていた。
「キング・クリムゾンにいたのは2年か3年だったが、本当に楽しかった」とその後UKやエイジアを結成したウェットンは言う。
「実際、大学に行くような感じだったね。誰にも奪うことができない資格をそこでもらったんだ。いい感じで進んでるときは、すべてがそこにある。リフががちゃがちゃしてつまらなくなってきたら、その瞬間に自然と何かが起きる――そして、美しい、リリカルな流れに変わっていく。まさに魔法だ。恐ろしくパワフルな魔法だよ」
40年ものあいだ青い箱に保存されていたことから「ブルー・テープス」と呼ばれるようになったこのテープは、CD20枚+DVD2枚+ブルーレイ2枚入りのボックス・セットのうち11枚を占める予定になっている。