「今のバンドだと、ハーモニーや音楽性の糸ですべて繋がってくるように思えるんだ。
たとえば、あるアルバムから1曲だけ聴いて、それから10年後のものを聴いたりすると、まるで別のバンドのように思える一方で、そのふたつの曲を繋ぐものもまた見えてくるんだよね」
それにしてもキング・クリムゾンの来日公演は異常だった。かつてのインプロ黄金期を思わせるファナティックなオーラを発散しながら、オールタイム・ベストの楽曲群を惜しげもなくパフォーマンスし続けたのだ。日替わりで自在に変容する壮大な「クリムゾン組曲」には脱帽するしかなかった。しかしそれゆえ、これは大いなるフィナーレなのか?という不安がどんどん膨らんだ。
このインタビューは日本公演の初日直前に行われたもので、今やバンドのスポークスマンとなったジャッコ・ジャクスジクに、現在のクリムゾンに何が起こっているのかを訊き尽くしている。
「ロバート(・フリップ)は何を考えているのかまったくわからないよ」と言いながらも、「ロバートの頭の中」の呆れたエピソード、ギャヴィン・ハリソンありきで始まったトリプル・ドラム・クリムゾンのメカニズム、ライブ活動終焉をほのめかすフリップの乾杯の辞など、核心を突く発言を次々にしてくれた。けっして知ったかぶりをしない、いかにもこの人らしい誠実さが印象的だ。
完成間近というスタジオ新作や公式ドキュメンタリーのリリースを待ちながら、いずれはフリップ先生の気が変わるのを期待したい。(茂木信介)
キング・クリムゾンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。