トニー・アイオミ、17歳の時に指の先端を事故で切り落とした顚末が動画に
2015.02.22 14:00
今年に入ってから新作制作に取りかかることを明らかにしているブラック・サバスだが、トニー・アイオミが右手の指の先端を事故で切り落とした時のことをまとめた動画が公開されている。
動画はトニーのインタヴューにアニメーションを合わせたもので、事故の顚末とその後のトニーの奮闘ぶりを振り返ったものになっている。トニーは溶接工場で働いていた17歳当時、鉄板の裁断作業中に右手の中指と薬指の先端を切り落とす事故に見舞われたという。左利きのトニーは右手でフレットを押さえることになるため、一時はギターを諦めることも考えたというが、工場の上司はジャズ・ギタリストのジャンゴ・ラインハルトが火災で火傷を負い、それがもとで左手の薬指と小指が麻痺してしまった後も左手は人差し指と中指だけで演奏する技をマスターして復活したことをトニーに教えて励ましたという。
その後、トニーは欠けてしまった指の先端部分にプラスチックを当ててフレットを押さえる練習に励み、さらに当時はゲージの細い弦はまだ生産されていなかったため、バンジョーの弦を流用して指への負担を軽くしていたという。さらにチョーキングなどのテクニックを容易にするため、弦の張りを緩めてキーを下げてチューニングする技法を身につけ、さらにこのチューニングのギターをベース・アンプに通すなどして独自のサウンドを開発していったという。
トニーはインタヴューで指の先端がなくなってしまって打ちのめされたけれども、そのおかげで新しいサウンドと新しい演奏スタイルを生み出すきっかけにもなったと説明していて、まさに災い転じて福となすようなことになったと振り返っている。
なお、バンドは新作をさらに制作して最後のツアーに乗り出すことを明らかにしているが、トニーは『13』制作中にリンパ腺がんを発症してからのツアーと自身の健康について次のように語っている。
「アルバムを出してからツアーに出て、28か国で81公演をこなすことになったんだよね。ほんとに楽しめたんだけど、でもね、しんどかった……6週間ごとにイギリスに戻ってバーミンガムからちょっと行ったところにあるソーリハルのパークウェイ病院で治療を受けなきゃならなくてね。点滴を受けて、がん細胞を覆って抑え込んでいく抗がん剤を処方されるんだよ。それから自宅に戻って数週間かけて体力を戻さないとバンドに戻れなかったんだ」
「さらに困るのは、がんのせいで飛行機で移動すると血球が影響を受けるんだよ。ホテルに着いた頃には動悸もきてるし、震えもきてるし、それまでなったこともないような状態になるんだよ。あまりにもひどくて、もう治らないんじゃないかと思ったくらいだからね」
トニーはツアーが終わって2か月してようやく健康状態も落ち着いたと振り返っていて、治療も昨年夏で終っていることを明らかにしている。
「だけど、外科医の話ではがんがなくなったとは思ってないという話なんだ。完全になくなったといえる可能性は30パーセントあるらしくて、でも、またがんが再発する可能性はかなり高くて、しかもいつ起きても不思議じゃないというんだ。だから、人生観がすっかり変わっちゃうんだよ。あと10年生きるかもしれないし、あと1年かもしれないっていう。ほんとにわからないんだ」
トニーの動画はこちらから。