U2のボノやアダム、シリア難民問題についてヨーロッパの存続に関わると語る

2014年作『ソングス・オブ・イノセンス』

9月4日からイノセンス+エクスペリエンス・ツアーのヨーロッパ公演に乗り出したU2だが、シリア難民受け入れ問題について、なんかしらの解決策を見出さないとヨーロッパそのものが存在しえなくなると語っている。

5日に行われたイタリアのトリノ公演に臨んだボノは次のように観客に訴えかけたという。

「ヨーロッパとアフリカで直面している難民危機について、俺たちにはなんの答えもわからないけど、わかっているのはなんとかして解決しなきゃならないということで、さもないと、このヨーロッパという美しい理念は存在しえなくなってしまうんだ。どういう答えだろうと、なんかしら導き出さなきゃならないんだよ」

トリノでその前日に行われた初日公演でもボノはまだ答えはわからないと語り、しかし、みんなで力を合わせなければならないと訴えかけていた。一方でアダム・クレイトンはなぜヨーロッパの政府が「まともな対応ができないのか」ヨーロッパ人は今問い直しているはずだともライヴで語った。

今回の難民問題はシリア難民の3歳の男児が密航中にボートの転覆事故に遭い、トルコのリゾート地の海岸に遺体となって打ち上げられたニュースで特に注目されるようになっているが、ボノは"プライド"の歌詞の一部を「ある少年が誰もいない海岸に打ち上げられた」と変えて、今回の公演でこの少年のことを歌っている。

ボノはさらに「この世の中では胸を傷めるようなことがたくさん起きてるけど、今夜のこの会場は本当に喜びで溢れているよ。こうやってニュースを観ていると、ごくごく普通の人たち、それは俺たちみんなのことなんだよ、そういう人たちが本当に悪辣な行いも、溢れんばかりの愛を示すこともできるんだと思ってしまうんだ」と語り、「ネルソン・マンデラが言ってたように、いつだってことは成し遂げられるその時までは到底できやしないと思えるものなんだよ」と呼びかけてみせた。さらにボノは次のように観客に問いかけてみせた。

「みんなはどういうものがほしいのかな。国境も慈しみの心も閉め切ったヨーロッパ? それとも心が開かれたヨーロッパ?」

その一方でアダムは次のように語っている。

「ぼくたちはできるだけすぐに対応していきたいと思っているし、ここ数週間の難民についての報道からは、ヨーロッパ諸国の一般市民の間では、政府がどうしてこういう問題について正しい対応をしないのか、あるいはせめてやろうとしないのかという怒りがかなり持ち上がっているのが感じ取れるんだ」

ジ・エッジが「どの国も積極的に踏み出してこの問題と取り組むべきだと思うよ」と語る一方でアダムはバンド・エイドのようなイヴェントに乗り出す予定はあるのかという問いに対して「それは二次的な問題だと思うな。まず重要なのは、ぼくたちはそれぞれの国で政権担当者を選出しているわけだから、そうした担当者がリーダーシップを発揮しなきゃならないということなんだ」と語っている。

「ぼくたちはすべての問題について通じているわけじゃないから、すべての情報についても通じているわけじゃないんだ。でも、ヨーロッパから人道的なリーダーシップが発揮されるのはこの目で見なければならないよ」